小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

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「助けて・・・助けて・・・」
聖弥は助けを求めて走り続けていた。
しかし、周りは全て父と兄で、他には誰もいない。
「何で周りに家族しかいないんだよ・・・」
聖弥は疲れ果ててその場に座り込んだ。
そして、後ろを見た。
「確保ー!!」
父と兄がそう言いながら走ってきた。
聖弥は逃げる気力もなく、父に腕を掴まれた。
「離せ! 触るな!」
少しは抵抗したが、無駄だった。
聖弥は父に引っ張られ、車に乗せられた。
「どこに連れて行く気だ」
「とりあえず警察署だ」

愛里達は、数時間聖弥を捜し回った。
しかし、誰も見つけられることが出来ず、結局今日のところは解散となった。
それから、翔大の家に聖弥のことで電話がかかってきたのは解散してから二時間後のことだった。
「もしもし、尾崎ですが」
「警察の者です。翔大くんはいらっしゃるでしょうか?」
「ええ。今代わります。翔大!」
「なに?」
「警察の人から電話!」
翔大は不審に思いながらも電話に出た。
「もしもし、代わりました」
「翔大君ですね?」
「はい」
「実は、木村聖弥君のことでお聞きしたいのですが」
「聖弥!? 何ですか?」
「今、彼は事情聴取を受けた後に精神病院にいるのですが、いつからあの状態になったのか分かりますか?」
「精神病院・・・聖弥が教室を飛び出していったのが授業の三時間目だったので、それからだと思います」
「何の授業でしたか?」
「道徳です」
「内容は?」
「家族のことについてです。彼は家族のことで心に強いストレスを持っており、そのことについて話したことにより、彼の思いが爆発したのではないかと思います」
「今度、署で話を聞かせてもらえないでしょうか?」
「ええ。分かりました。あと二人聖弥のことについて詳しい人物がいるので、その二人も同行させてよろしいでしょうか?」
「ええ。構いませんよ。それでは後日また連絡させていただきます」
「分かりました」
翔大は電話を切った。
「聖弥・・・」
翔大は再び電話をとり、愛里と美奈に連絡するのだった。

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