小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

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教室には、ほとんどの生徒が席に着いていた。
美奈は知らない顔ぶれに少し緊張しながらも、黒板に書いてある自分の指示された席に座った。
瑞穂の席が遠いため、誰とも話せない美奈は、ただ黙って座っていた。
そんな時、隣の男子が話しかけてきた。
その男は、西原漲(さいばらみなき)です、と名乗った。
「大沢美奈さんですよね? お名前が非常に似てるので、つい話しかけてしまいました」
「みなき・・・さん?」
「はい、そうです。よろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそ」
「あ、先生が来ました」
漲はそう言うと、教室の扉を指差した。
漲の言う通り、先生が来て
「これから体育館に行くぞ。出席番号順で廊下に並べ」
と言った。
「これから入学式ですね! さあ、行きましょう」
「ええ」
彼らは体育館へと向かった。

体育館のパイプ椅子に座ると、すぐに入学式が始まった。
開式の言葉、校歌、校長の話、閉式の言葉と、長い時間座った。
そのため、教室に戻った時には、皆がぐったりとしていた。
「だりーー」
「疲れたー」
「長かったわーーー」
など、だらしのない声が続いた。
そんな光景に美奈は少し微笑んだ。
『楽しくなりそう!』
美奈は学校生活に期待を膨らませるのだった。

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