小説『ファミリー』
作者:zebiaps(ZEBIAPS小説)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

『もう二学期かー・・・』
美奈は自分が書いた日記を見ながらそう思った。
最後のページが「頑張ろう」で終わっているこの日記。
・・・いじめの日々なんか日記で表すことなんて出来ない。
残したくない思い出だ。
美奈はその日記を机の上に置くと、ベットに横たわった。
『ミッズーと漲は上手くやってるかな』
美奈は何となく二人のことを想像してみた。
漲が瑞穂にアイスをおごっている場面が浮かんだ。
『漲は優しいからなー。そんな和やかな二人に比べて私は・・・』
美奈は憂鬱な気持ちになり、ベットにうつ伏せになった。
『今日だって・・・汗付きのシャツ顔につけられたし・・・私の人生って何なんだろ・・・。他にもそう思っている人いるのかな』
美奈はそう思って、ベットから立ち上がると、パソコンを立ち上げ、インターネットで「いじめ」と検索してみた。
そして、一つのサイトを開いた。
そのサイトは「つぶやき」という簡単に日常のことを書き込むことが出来るもので、美奈はそのサイトでいじめのことについて書き込んでいる一人の男性を見つけたのだった。
その男性のプロフィールを見ると、どうやら同じ学年の人のようだった。
彼の書き込みは美奈の心を刺激した。
「僕は、以前いじめを受けていました。その原因となったのが、幼馴染のある一人の女子でした。
彼女は、小学一年生の頃からいじめを受けていました。僕はその当時彼女とは違うクラスで、彼女がいじめを受けていることを知ったのは、小学三年生の頃でした。
その頃から僕は彼女を救いたいと思うようになり、彼女をいじめている人達に『やめろ!』と言って止めに入ったりしました。
それによって、僕もいじめを受けることになりました。
辛かった。今も辛い。
そして、一番辛かったのは彼女の死です。
彼女は、いじめに耐えられなくなってしまったのか、自殺してしまいました。
僕は彼女を救うことだけを考えていたのに。
彼女を失った今は何で生きているか分かりません。
僕も自殺しようかな。
いや、彼女の分まで生きてやる!!
彼女の分まで幸せになるんだ!!!」
『私よりも頑張っている人がいるんだ・・・』
美奈はパソコンの電源を切ると、明日の学校の仕度をした。
『やっぱり頑張らなきゃ!』

-46-
Copyright ©zebiaps All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える