小説『平凡な筈の僕らの非日常』
作者:白羽 心葉()

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僕はとある学校に通っている、否、通っていた学生だった。
ー風切 夕斗。
それが僕の名前....いや、もうそれすら違うかも知れない。

ただ何もた無い毎日に、呆れて何も考えなくなったのは何時だったんだろう。

思えば、それが全ての元凶だったのか...

何時ものメンバーで話していた、昼休み。
携帯の着信を知らすメロディが流れ出した。
「ごめん、ちょっと待って。」
そう言って僕は携帯を手に取る。
友達は他の子と話している。
「?」
見たこともないサイトからメールが来ていた。
一応、と思いメールを開ける。
「?!」
ガタタンッ
机があるにも関わらず、後ろに思わず下がってしまう。
「大丈夫か?」
驚いたように友達が話すのを止めてこちらを見る。
「え、あ..うん。」
自分のしたことさえ、一瞬判らなかった。
それ程にそのメールは明らかに異質だった。

彼の手放したその画面は真っ黒で、メールには見えない。
だが、唯一メールだと判るのは、宛先とタイトルがあったから。
メッセージは...文字が書かれていたと思われるソコには、ただ赤黒く
塗り潰されていた。

僕は気を取り直して自分の携帯を手に取る。
―あれ?
そこには先程のような異常など、何処にもなかったかのような普通の入力画面
があった。
但し、メッセージなどは何も無く、受信した跡だけが残っている。
先程表示されていたメッセージの内容はしかし鮮明に覚えていた。
彼はそんなにそれを不思議と受け止めるよう無く、自然のように受け入れていた。
―どうしよう...。
一抹の不安は心の隅に残っていたものの、それに無理矢理無意識で蓋をしていたのか、
―返さない訳にはいかないし...
もう、返さない事さえ考えてなかった。
「なあ、どうしたんだよ?」
余りにも固まっていたからか、また友達が話し掛けてきた。
一瞬、話そうか迷ったが、気がつけば話していた。

「....。」
話を聞いた友達は、黙ってしまう。

ーやっぱり、話さない方が良かったかな?

そう、思った所だった。
「やってみたらどうだ?」
不意にそう答えが返ってきた。
「え?」
予想だにしない答えが返ってくる。
僕が周りの友達を見回すと、他の友達も頷く。
「どうせ遊びだろ?そんな真剣に考えるかよ。」
笑い声が溢れる。
ー確かに。なんでこんなメールを真剣に考えてたんだろ。



それが全てのきっかけ。

単なる好奇心だった。

ー毎日に刺激が欲しい。

そんな各々の心が答えを弾き出したのか。
だが、それには大きな代償が伴った。

いきなり生活、平凡な日常を壊したのは、



今の自分から抜け出さない。
それは確かに簡単だ。でも、君はそれでいいのか?
変わりたいなら、誰も止めない。
なぜならそれは君自身だから。

もしも君が変わりたいなら。何があっても後悔しないなら。
さぁ、君はこんな単語を知っているか。
..............
.................
知っている、なら返信せよ。
但し、一切の保証はしない。君が手っ取り早く変わりたいなら、おいで。
知らないならば、知ればいい。




そんな一通の赤いメールだった。

-2-
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