ーpm7:30 都内某所
「ふふ。いい餌が釣れたみたいだね、稲白君?」
「あ、あぁお前か。まぁな。当たりのような気はしてたんだ。」
そこは、異質だった。
真っ黒な壁紙に、赤のソファー、白いノートパソコン。
一面ガラスのその部屋は、人が住んでいる、とは到底思えない。
生活感が全く無い。
真っ暗で、スポットライトが間接的に照らすのみの部屋は、
話している男達の輪郭が朧気ながら見える。
新原 麻斗
稲白 柊也
片殼 東羅
三人の男達はそれぞれ、性格を感じさせる場へ
佇んでいる。
麻斗は赤いソファーに座り、パソコンを弄る。
柊也はガラス窓に寄りかかっている。
東羅はただ黒い壁を背に、凭れかかっている。
「ねぇ、東羅。今日は何時だったっけ?」
「8:00に○×カラオケ屋。」
無愛想、というより、話すのが面倒臭そうな雰囲気を漂わせていた。
「首尾は?あぁ、君の事だから完璧だよね。」
ごめん、ごめんというような仕草をするが、まるで謝る気は無い。
「今日は何人`来る’かなぁ。」
「知らん。つか、お前も悪趣味だな。」
「それには同意だ。」
一人で話していた所を、二人が反応する。
ーま、いいけどさ。どうせ、ね....。
カタカタとパソコンを打ちながら口角を上げる。
そして、お目当てを見つけるとゆっくりと名をなぞる。
ー都内某所にて。pm7:50