小説『IS インフィニット・ストラトス 〜超常の力を持つ者たち〜』
作者:黒翼()

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Episode4『吉井明久』



Side〜終焉〜

俺のことを話して一年。
つまりは三歳だ。
麗奈には新たに創った能力『力に制限を掛ける程度の能力』―――『能力制限(パワーリミット)』で、麗奈に宿る原石の力を、発動させないように制限を掛けるリボンで封じてあるため、暴走する必要は無い。

そして、そんな俺は幼稚園に通っている。
父さんたちには俺が転生者であることを教えてあるのに、通わされているのは、俺からしてみれば堪ったものではないが、悪意があるわけではないらしい。
なぜなら、そこに原石が通うということを嗅ぎつけたからだ、と言っていた。
確かに、能力の暴走を抑え込めるのは、そうはいない。
だが、だからと言って、わざわざ通わせる必要は無いんじゃないかと思ったのだが、悲しいことにもう慣れた。
まあ、俺が唯一仲良くしている奴としか、基本関わっていないからなんだが。

「あ、シエン君。 なにしてるの?」

「明久か。 いつもの如く、木陰でだらけているだけだ」

「ああ、やっぱり? まあ、そう言う僕も、シエン君としか遊べないからここに来たんだけどね」

彼の名前は吉井明久。
バカテスの主人公と同姓同名で、面影もある。
この世界にはバカテスの住民も、一応はいるようだ。
と言っても、この明久は原石。
ちなみに、姉である吉井玲は存在しない。
家族構成は違うようだ。

ちないに、自分に力があることは知っているらしく、明久は最初は誰も寄せ付けなかった。
俺は俺の能力について簡単に説明し、同類であることを信じさせて、『能力制限(パワーリミット)』で創った腕輪を渡し、肌身離さず持ち歩くことを約束させた。
おかげで、明久とは仲良く出来ている。
というか、この明久は異能の力を持つ以外は普通の人間なのに、他の子供とは違い、大人しく、そして大人だった。
そのおかげで、俺も話しやすかったということもある。

「で、力は制御できそうか?」

いつまでも俺の能力で抑え付けるのは不安だ。
何かの手違いで腕輪をしておらず、その時に能力が暴走してしまうと言うこともありえる。
だから、能力を暴走させることが無いように、異能の力を扱えるようにしなければならない。

「まだまだだよ。 暴走させそうになるときがあったからね。 まだこの腕輪は外せないよ」

明久が持つ力は、数ある能力の中でも相当強力な力だ。
その力は、光を操る能力だ。
光速はともかく、音速にも遠く及ばないが、それが暴走してしまえば、辺りは大惨事になる。
だから、何が何でも制御させなければならない。

「そうか。 俺も付き合うが、俺の知らないところでは使うなよ」

「うん、わかってるよ」

「ならばいい」

明久は俺の言葉を信じてくれている。
だから、俺は全力でそれに応えるまで。

「……暇だな」

「……暇だね」

にしても、元・高校生が幼稚園で紛れて遊ぶってのは、精神的に無理だ。
明久は、俺に合わせているのと、能力を持つが故に、他の子供たちとは一線を引いている。
幼稚園での時間は、大抵暇なのだ。
そして、精神集中をするのである。
能力を使うには、落ち着いていた方がいいからな。


Side〜終焉〜out



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