小説『IS インフィニット・ストラトス 〜超常の力を持つ者たち〜』
作者:黒翼()

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前話の吉宗の能力に、『永遠の万華鏡写輪眼』を追加しました。



Episode8『帰還』



「ただいま戻りました」

終焉は、ミサイルを破壊し尽くすと、同じく破壊し終えて暇をしていた三人を回収して戻ってきた。
白騎士には、後々長点上機学園に来るようにと言っておいたので、この場にはいない。
それに、ミサイルを破壊し尽くしたのなら、あれ以上あそこにいる理由は、終焉には無い。

「お帰り。 いい蹂躪っぷりだったよ」

帰ってきた終焉たちに、臨也はそう言った。
確かに、終焉たちがしたことは蹂躪だ。
意思の無いミサイル程度、終焉たちからしてみれば、普通に潰せる。
単純すぎる作業に、欠伸が出るほどだ。
まあ、実際は出さないが。

「いい経験になったから、よかったですよ。 まあ、それでも終焉君ほどではなかったですけどね」

「そうね。 あそこまで思いっきりやったのは終焉君とやって以来ね。 楽しかったから良かったです」

「思いっきりやれるって言うのは、やっぱりいいものでした。 ただ、終焉と比べると大分というか、果てしなく見劣りするし、全然満足しないですよ」

「ははっ。 それもそうだね。 ミサイル如きを、終焉と比べるべきじゃないよ。 まだ発展途上だけど、終焉はまだまだ強くなる。 まったく、究極原石と完全聖人である終焉は、末恐ろしいね」

ミサイルと終焉と比較する三人に、臨也は笑いながら言った。

「で、終焉。 あれはどうだった?」

臨也が終焉にそう尋ねた。
あれとはもちろん、IS―――白騎士のことだ。

「白騎士は中々いい動きをしていました。 ISの性能は、やはり高いものです。 ただ、俺の能力を使えば、あれ以上の物はいくらでも作れますよ」

終焉の持つ能力の一つ『想像を設計図に変える程度の能力』で、詳細に想像した物を設計図に変えて、それ通りに作ればいいのだ。
ISが発表されたのを知った終焉は、この能力の使い道を、想像したくないほどにわかってしまった。
要は、『ISの要素があるから、介入しやすくしたよ! やったね!』的な感じだ。

「終焉と比べること事態が間違いなんだよ。 だって、どんな天才だろうと、終焉に敵う訳、無いんだから」

「そうそう。 長点上機学園創立以来、揺らぐこと無く最強の座にい続けているお前が、あらゆる分野で頂点に立っているお前が、負けることなんて想像できねえよ」

「そうだね。 僕もそれなりに人間離れしているけど、君ほど人間離れしている人はいないからね」

「私たちランキング上位の生徒数人を相手に、一度も攻撃を通せなかったんだから、当たり前よ。 私の竜巻も、シュレイドの音も、吉宗君の全能力を使っても、グランの超重量級の一撃も、全て完璧に防がれたんだし、神童だ、天才だ、って囃し立てられていた子たちに普通にテストでも勝っちゃうんだから、最早終焉君と比較することが間違いなのよ」

年齢は幼いながらも、すでに絶対とも言える信頼を受けている終焉。
それをさせるほどの実力と実績、そして、器があることの証明である。

「で、そんなことはどうでもいいんです。 白騎士、及びに世界の反応はどうです?」

話を変える終焉。

「白騎士は、飛来する戦闘機や巡洋艦とかをぶった切っているね。 終焉が思った以上に暴れてくれたから、篠ノ之束としては、面白くないんだろうね。 多分、ISの有用性を見せ付けているところだと思うよ」

「なるほど。 まあ確かに、思いっきり『超電磁砲(レールガン)』を撃ったり、『未元物質(ダークマター)』の翼で切断したり、あえてミサイルを破壊して『一方通行(アクセラレータ)』で無傷であったりしましたからね」

終焉の無双っぷりは、戦いと言うより、蹂躪だった。
空で戦った誰よりも蹂躪と言う言葉が似合う戦いっぷりだった。

「後は、世界中の馬鹿共が、『あの者たちのことを事細かく教えろ』とか、酷い奴なんて、『あの場で戦っていた者たちを寄越せ』何て言う糞共がいたね」

(あ、そいつら、終わったな)。
それが、終焉が真っ先に思ったことだった。
臨也は元々、全て人間を愛する異常な人間だ。
それは今も変わらないのだが、今の臨也は、最も愛する者たちの害になるものに対しては、一切の容赦も情けも無く、徹底的に潰しに掛かるという、恐ろしい思考を持っているのだ。
現に、臨也によって社会的に抹殺された人間はいる。

「とりあえず、前者の奴らは黙らせて、後者の奴らに関してはもう外を歩けなくしたよ」

いい笑顔で言う臨也に、シュレイド、ミスラ、吉宗は戦慄する。
目が一切笑っておらず、その瞳の奥は、冷酷の色を見せていたからだ。
こうなった臨也は、誰よりも強く、そして、誰よりもえげつない。
こんな臨也を見たことの無かった三人は、背筋が凍りついた。

「とりあえず、しばらくは『白騎士』、『長点上機学園』、『社会的抹殺を迎えた国の政治家』の三つがニュースを飾ることはわかりました」

若干呆れたように言う終焉。
臨也の琴線に触れた者がどうなったかなんて、想像するだけでも哀れになってくる。
まあ、自業自得とも言えることが九割以上なのだが。

「さて、話はここまでしておこうか。 君たちも、流石に疲れただろうからね。 休んでくれ」

臨也の表情が、普段のものに一瞬で戻った。

「では、僕たちはこれで。 失礼します」

シュレイドたちが部屋を後にしようとすると、臨也が終焉に向けて言葉を掛けた。

「ああ、終焉はもう少しいいかな? 白騎士が来た際には、いてくれた方がありがたいから」

「わかりました」

終焉は、そのまま部屋に残り、シュレイドたちは各々の部屋へと戻るのだった。



-9-
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