Side三人称
萃香と幽香が体育館に入ると既に焼き鳥の眷属達が陣取っていた。
「おっもう居るのか」
「萃香がさっさと扉を開けないからよ」
「おいおい、私のせいかよ…それよりどうする?相手は四人いるみたいだが?」
「考えてる暇なんてないわ。さっさと潰してフランの所に戻るわよ」
「ああ。じゃあ左から二人を潰すから幽香は…っと」
萃香が言いかけたとき、痺れを切らしたのか長い棒を持った敵が萃香めがけて棒を振り下ろす。
それに対し萃香は、
「よっと」
というゆるい掛け声と共に「密と疎を操る程度の能力」を使い、自らを霧にして避ける。
「なっ……!?」
敵は萃香が思いもよらないやり方で攻撃を回避したため、驚いて動きが一瞬止まってしまった。
そこにすかさず幽香が割り込み敵を吹き飛ばした。
「おいおい、そっちは私が目を付けてたんだぞ」
「別にいいじゃない。さっさと終われば」
「それじゃつまんないだろ〜?」
「私にとってフランより優先させる事なんて無いわ」
「ほんっとにお前はフラン命だな…」
「当然よ」
こんなことを言い合ってる間も敵は攻撃してくるが、そのことごとくをかわし続けた。
「そろそろ反撃といk」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!
萃香が相手の攻撃を避けることに飽きて反撃をしようとしたその時、避けるのがめんどくさくなったのか、四人に向けて幽香がマスパを放った。
「おいおい、私の楽しみを奪うなよ〜」
「いいじゃない、別に」
(じ〜〜〜)
「なっなによ…」
(じ〜〜〜)
「はぁ、分ったわよ!後で私が闘ってあげるから今はさっさと戻りましょう?」
「…酒も」
「しょうがないわね…」
「よしっさっさと戻って酒だ〜!」
つい今しがたまで不機嫌だった萃香はその一言で上機嫌となり、嬉しそうに戻っていった。
(はぁ、萃香が満足するだけの酒をどこで調達しようかしら)
マスパで半壊した体育館にはそんな事を考えている幽香以外誰もいない。
幽香がふと我にかえると、どこからともなく
「ラ、ライザー様の兵士八名、騎士二名、戦車二名、僧侶二名、女王リタイヤ」
という放送が聞こえてきた。
「これはさすがにやりすぎたかしら…?」
開始から十数分。ゲームは既に終盤へとさしかかってしまったのであった…