小説『IS 戦う少年と守護の楯』
作者:天地無用生もの注意()

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2話 依頼内容

「それじゃ、改めて依頼内容を説明するね」

そう言うと束は次々と資料をスクリーンに出していく。
その前に課長がゆっくりと歩き真面目な顔で説明をしていく。

「今回の任務は、IS学園へ潜入し要人3人とその者に係わる人物を護衛する事。
 もちろんお前も知っての通りIS学園は、ISの操縦ができることが大前提だ。
 そこで、このような装備を準備した。
 このパイロットスーツは銃弾程度なら貫通はしないが、お前のために色々特殊加工されている。
 まず、他のパイロットスーツと違いあまり肌を晒さないようにしてある」

なるほど、前に映像で見たパイロットは腕がむき出しだったな。
その点俺のは、長袖のやつだ。これなら十分に銃創も隠れるし都合がいい。

「それと女性らしいラインを引き出す為にあちこちに衝撃緩衝材が仕込んである。どうだ凄いだろ」

「確かに凄いけどさ、ISって女性にしか反応しないはずですよね?
 こんな姿だけど俺は男なんです。だからISは動かせません。よって俺がIS学園に潜入する事なんて不可能なんです」

ああ、なんか自分で言っていて悲しくなるよ。

「タエちゃん。その点は平気だよ。
 ISがISとして動くのはどうして?
 武器? 違うよね。それだったら国や企業も開発しているし。
 じゃあシステム? これも操縦者に合わせてそれぞれ違っているから関係ない。
 もちろん動力だって外部から取り入れているんだから、違うよね」

そして、俺の目の前に大きく映し出された物。
ISのコアだ。
この世でISのコアを製作できるのは目の前にいる人物。束にしか作れない。

「そうだよ。ISをISとして動かすには、このコアが必要なんだよ。
 元々は男も使えるようにしておいたんだけどね。学会で発表したときにくだらない野次ばかりする男の科学者が多くてさ、
 この束さんを吊るし上げて優越感に浸っている男が大嫌いなんだよね。
 それを感じ取ったのか、この子達は男は拒絶するんだ。
 あ、でもいっくんだけは昔から知っているから受け入れてくれるんだよ。ちなみにこの事は秘密ね。
 いやー、さすがだねー。まさに束さんの子供達だよ」

なるほど、そういった理由で男は使えないのか。

「って、待て。だったら俺だって使えないだろうが」

「口を慎め。妙子」

誰が妙子だ。俺には如月修史って名前があるんだよ。

「あれ? まだ理解できていない?
 ようはこの束さんとコアが女性だと思っていれば、この子供達は使えるんだよ。
 ではでは問題です。初めてタエちゃんと出会ったとき束さんはタエちゃんの事をどう思ったでしょうか?」

初めて会った時? そりゃ、山田妙子として護衛に付いたんだから……あ。

「うんうん。理解してくれて助かるよ。
 身長は女の子にしては背が平均よりちょっと高めだけど、顔は可愛いし、声も高いし、
 問題なんてナッシングだよ。
 それに試しにやったIS適正でB+だったんだよ。これはもうIS学園に入るしかないね」

「これはおふざけでは無い。任務だ。
 それにターゲットが身を守れる程度に強くなれば、この任務から外れる事もできる」

うぅ……。
分かっているんだ。理解しているんだよ。

「修史」

「行きます。行けばいいんでしょ」

束とバ課長が「イエーイ」とハイタッチしている。

こいつら、殴っていいよね?

「本当に嫌ですが、仕方なく理解しました。
 で、護衛対象の3人とは?」

コアが映し出された画面が切り替わり3人のプロフィールが目の前に映し出される。

『篠ノ之 箒』『織斑 千冬』そして、『織斑 一夏』
篠ノ之 箒。この人物は前に束が自慢していた妹だろう。
織斑 千冬。第1回モンド・グロッソ総合優勝および格闘部門優勝者。本当に護衛する意味があるのか?
最後に織斑 一夏。最近テレビを賑わせている『ISを扱える唯一の男性』。確かに俺みたいな護衛が必要な人物だな。
って、俺もISを扱えるんだろ? 『唯一の男性』じゃ無いじゃないか。

「まあ、そういう訳で2人にはIS学園に入ってもらう。
 ちなみに2人とも専用機持ちだ。しかも『アイギス』の名前を出してもいい。というか専用機持ちなんだから出さざるを得ない」

へ? なんだその好条件は?
専用機ってのは心引かれる言葉だけど『アイギス』の名を使っていいってどう言う事だ?

「修史。忘れているのか? ISコアは篠ノ之博士しか作れないんだ。
 そして、現存しているコアの数は467機。一学生が専用機なんて持てるものじゃない」

「そうそう、その…えーと、タエちゃんのお嫁さんが言ったように、世間に出回っているのは467の束さんの子供達。
 子供の数でギネス記録だね。ぶい」

あー。せっかく仕事用の設子モードになっていたのに、嫁とか言うから顔を赤らめて設子さんモードに戻った。

「本当は、いっくん用に作っておいた機体が在ったんだけど、コアが拒否しちゃって余っているんだ」

「そこでだ。博士が作った機体は設子が。うちで研究していた機体を妙子の専用機として登録してある。これが機体のスペックだ」

資料を手渡されて読むと、確かに束が作った機体は設子の戦闘スタイルに良く似合う。
逆に俺が使ってもたからの持ち腐れに終わるな。
高速移動と接近戦用のナイフ。それに多機能武装腕、レーザーライフルとして使えるらしい。
俺は射撃が苦手だから牽制ぐらいにしか銃器は使わない。

一方俺の専用機は、超高速移動と機体のあちこちに設置されているスラスターで小回りが利く。
それに俺の意思で動く非固定型の楯が両肩に付いている。
武器は大容量の拡張領域を持っている為に、色々追加できそうだ。

「着任は2ヵ月後。学園にはすでに連絡している。妙子が男だという事は理事と織斑千冬には連絡してある」

「2人には寮の部屋も箒ちゃんといっくんの近くの部屋に同居、違うか。同棲してもらうよ。
 ちーちゃんは箒ちゃんといっくんの2人にだけ護衛として派遣されているガーディアンとして教えてあるから、そのつもりでね。
 何か困った事があったら内線555で束さんに繋がるよ」

「束ってあちこちの国からマークされているんだろ? 何で内線で繋がるんだ?」

束は胸を反らし、フフフと笑うと、

「だって、学園の地下に住んでいるんだもん。
 あそこは一応不干渉地帯だから色々都合がいいんだよ。
 それに、学園の技術部のトップなんだよ。表には出ないけどね。つまり学園でのバックアップはこの天才束さまにお任せあれ」

確かに、このシスコンだったら箒さんの近くに全力で間違った方向に努力するだろうな。

「では、2ヵ月後から真田設子はアイギスがスカウトしたISのテストパイロットで、
 山田妙子はその昔アイギスに助けられて、今はガードを目指している操縦者として着任してくれ。
 あ、そうそう。妙子はその時に大怪我をしたからパイロットスーツも長袖になっていることにしておいた」

相変わらず準備に抜け目が無いな。

「織斑一夏と篠ノ之箒にはガードを目指す生徒だと思わせておけ、織斑千冬には2人を護るガーディアンとして任務に当たれ」

「「はい」」

「その他ISの操縦訓練と予備知識は2ヶ月以内に完璧にしておくように」

そう言うと、机の上に分厚い本が置かれた。
今、机がきしまなかったか?

「最低限の整備もできるように、束さん特製の『誰にでもわかるISのひ・み・つ』もがんぱって作っちゃった」

うわ。余計なもの作りやがって。

「では健闘を祈る」
「いのるー」

「「了解」」

「頑張れよ、女装少年」

「俺は成人男性です」

「頑張れよ、男の娘」

「バ課長。今の言葉、文字で書いてみろ」



後書きみたいなもの

設子さんの専用機は第4世代の試作機。
しゅう、イヤ。妙子さんの専用機は第3世代に束さんが改造しました。
2話書くだけで1ヶ月。
これは亀更新決定です。

ちなみに、おいらの中では修史くんは、傷付きながらも護る事に特化した『漢の中の男の娘』
守りたいと願う一夏くんより漢を感じます。

次回はIS学園に行く予定です。




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