小説『IS 戦う少年と守護の楯』
作者:天地無用生もの注意()

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※本編にまったく関係ありません。(こぼれ話みたいな物だと思って下さい)
 また、少しばかり本編が滞りそうですので、急遽書いた物ですので荒い部分があります。詳しくは後書きにて


22話 裏方の会話


「忙しいなかこのような席についていただいて感謝する。
改めて自己紹介をしたいのだが構わないだろうか?
―――私はIS学園一年の教諭。織斑千冬だ。

学年別トーナメント後に行く臨海学校の警備体制の見直し、なんだが」

画面の前で男が手を上げて千冬の台詞を遮る。

「ふむ、織斑教諭のそこまでこだわるという事は、この間の作業機、いや、攻撃性能を人に向けた時点で無人機と呼ぶべきかな?
トーナメントはまだ学園の敷地内だからそちらで手が打てるが、そこ以外となると……。というところか?」

千冬は、ストレスを感じさせない話し相手を久々に見つけられて、頬が緩む。
だが、他の者がその顔を見たら、思わず身構えるであろう。
瞳に映るのは、知性を宿した獣が笑ったようにしか見えないのだから。

「織斑教諭、いや。この場合千冬ちゃんとでも呼んだ方がいいかな?
そんな顔をしていると、愛しい弟ちゃんに怖がれるよ〜♪
あ、これ経験則ね」

画面の相手はサングラスで目が見えないが、それがこれほど厄介な相手だとはと、千冬は感じ始めた。
―――視線の動き、瞳孔の反応が見えないからこそ相手の本心が読みにくい。

武術に関わる千冬だからこそ、相手の無意識の仕草で本心を読むことをしていた。だからこそ、このアイギスの相手はやり難い。

「ふん。アイツはこれくらいでどうにかなるタマじゃない。
大体、お前の方はどうなのだ? 山田妙子からずいぶんと警戒されているようだが?」

素の顔を最初に見せたのは自分じゃない。ならば、少しくらい反撃に出ても平気だろう。

「うーん。ウチの子は素直じゃないからねえ。
この溢れ出る愛情を分かってもらえないのが残念で……」

実にくだらない話をしているのは重々承知だが、画面に映っている男の手は次々に情報を集めている。

おしい。本当におしい。
この男がもう少し若かったら、そして一夏が成長していたら、この男をパートナー候補に選んだかもしれない。
そんな下らない事を千冬は考えている間に相手は目的の物を探し当てた。

「一つ候補があるんだが。
アップルトンホテルの系列なんだが、少し前そこのお嬢さんが狙われた事があってね。ウチに警備の見直しがあったんだ。
まあ、普通の情報員くらいなら十分に撃退できる場所なんだが……。そこを紹介しようか?」

アップルトンホテル。世界中で五つ星を獲得している安心と安全、いわゆるセレブ御用達のホテル。
千冬自身、IS関係で何度か泊まった事があるが確かに十分な安全が確保できる。
アイギスの裏のセクションを束ねるこの男なら、そういった相手に慣れているだろうが……。

「いくらなんでも学生にアップルトンはやりすぎじゃないのか?」

「いやいや、そうでもないんだな〜。
あそこは、一時期いわゆる庶民文化ってヤツにはまったらしく、これから紹介するところは日本の旅館を模している。
それに、プライベートビーチもついていてこちらとしても余計な気苦労はしないですむ。
―――無人機の製作者だって分かっていないのだろう? ウチの連中も武装したIS相手にはちょっとばかり荷が重いがそれ以外なら何とかなる」

サングラスで隠されているが、男の鋭い視線は画面を通しても十分に千冬を貫いた。

『IS』を使えば最強の称号を持っているはずの自分がヒヤリと寒気を感じさせられた。
エージェントである山田妙子ですらコツを掴むとすごい速さで急成長しているのに、それを扱う上司が普通の人間ではない。
千冬は改めてアイギスという組織に脅威を感じてきた。

「了解した。
ならば、その旅館とやらの資料を送ってくれ。こちらで検討する」

「ほーい。
あ、それと千冬ちゃん?
このままだと、IS学園とウチが手を組んでいるって思われそうだから、他のところにも声をかけてあげて。
ちなみにお勧めは『ブレイズ』って会社。
あそこは軍事関係が強かったけど、ちょっと前から警護関係も結構いいところだよ。
ウチって言うか、私の部下達は個人技能が高すぎて、自分の仕事は完璧にこなせるけど学生全員を警護するにはちょっと不向きなんだよね〜」

千冬は正直この男に踊らされている感になるが、相手はその道のプロだ。
拒否権はあるのだろうが、おそらく目の前の男の言うとおりの事になるだろう。

「そんな事より〜。千冬ちゃん?
先の事を心配しすぎだと思うよ。
知ってる? 鍛え上げすぎた刃って結構脆いんだよ。あ、これも経験則ね♪」

「―――了解した。
貴重な時間を割いてくれた事に感謝する。
ふむ、いい時間帯だな。
では、これから山田妙子にお茶を入れてもらいながら検討させていただこう」

アイツは規則正しい生活を送っているから今頃お風呂上りの無防備な姿だろう。

「ちちち千冬ちゃん? もしかして妙ちゃんの所に行くの?
ふむ、では気を抜かずにきちんと学園生活を送っているのか写真を撮ってきてもらえないだろうか?
もちろん、パパが送っ」

全てを言い終える前に通信を切る。

「馬鹿者。いくら保護者と言えども、この学園の生徒のプライバシーを守るのは教師の役目だ」

端末から吐き出される資料を見ながら千冬は呟いた。

「私より先を見ている貴方が何を言う。
どうせこれも用意してあったんだろ?」

彼の部下がいつも言っていた。「あのバ課長は『こんな事もあろうかと……』っていっつも変なものばかり用意してあるんだから、ムカつくくらい仕事だけは出来るんだよ」と。

散々やられっぱなしだったが、誰にでも弱点はある。
千冬は少し愉快になって端末から送られた資料を手に部屋を出て行った。








後書きみたいなもの

前回、体に気をつけてと書いたのに、書いた本人は現在入院中です。
命に関わる病気ではないのですが、かなり投稿が不定期になります。

ただ、この事を伝える為だけに更新しても、ちょっと面白くない。と思い裏方のひとコマを書きました。

この先も突然更新が止まったりするかも(通院等で書く時間があまりとれないかも?)しれませんが、よろしくお願いします。


追伸

胃カメラって、なんか変な感じ……。常に空気を入れられているのに「げっぷはしないで下さい」って無理ですから!
病院食も味気ないし、体には気をつけて下さいね。


さらに追伸

今回の話のネタが分かる人で十八歳未満方がいましたら、きちんとパソコンにロックをかけてくださいね。
ちなみに名前だけ出ましたが、登場してもほんの少しです。
(たぶん活躍はしないと思います)



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