小説『お姉ちゃんの恋』
作者:Rui()

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優しい姉である菜月が急に変わったのは、その5年後だった。
菜月は、結構名の知れたそれなりの中小企業に就職したものの、わずか3年でリストラされてしまった。ちょうどその頃菜月たちの母親は不治の病で他界してしまい、菜月はしばらくは水商売で稼ぎを作っていたが、全く続かず、1年もしないうちに辞めてしまい、その後からだった。
菜月が狂い出したのは・・・。



急に料理も全く作らなくなってしまった。それだけでなく、家事はやったりやらなかったり、途中で放っていなくなったりで、母親の貯金で大学生になった恵もそれをきっかけに大学の勉強に励む傍ら家事をやるようになった。しかし、主婦のように時間的に余裕があるわけでもないため、コンビニやスーパーで弁当や惣菜を買うことはしょっちゅうだった。

時々家に帰って来ないこともあり、そういう時は携帯電話に連絡を入れても電源が切られていて、心当たりのあるところに電話をしてみても誰も菜月の行方を知らない。
なにしろ、両親がいないものだから、菜月を管理できるのは妹である恵しかいないといっても過言ではなかった。


休みの日に掃除をしていた恵は、菜月の部屋で、かすかに開いていた机の引き出しの中から小さなポリ袋に入っているある衝撃的なもの(切り取り線でちぎりとられた形跡も)を発見してしまった。
というか、バージンを貫いていた恵には衝撃的だった。


それを元のところに戻し恵はこのことを問い詰めようか悩みながら掃除を再開した。
(・・・でも、妹として姉の将来を心配することは、おかしいことでもなんでもないよ!)


恵は遠回しに尋ねてみることにした。

(お姉ちゃんはきっとS側だけど騙されてないとは言い切れない!
誘惑したのかなぁ・・、それとも誘惑されたのかなぁ・・・)

血のつながらない姉の思考回路を辿れるわけもなく、菜月のことが心配になってきた。





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