小説『祟り神と俺』
作者:神たん()

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すると熊さんは少し考えた後、話してくれた。

「もう一つ条件がある。それは・・・・奴と波長が合わないと意味がないんだ。」


「波長?」


「魂の波長だな。基本的には同等の魂の力を持ったモノ同士でないと合う事はない。
巫女には子供を授かる前から自分の運命を分かっていたのかもしれないな。
多分お前の親父はお前がこの事を知って、万が一無茶をしないか心配だったのだろうけど、
もはや知っておかなければならんだろう」


俺はそこまで言われてもピンと来なかった。


「お前は奴に魅入られてしまったが、何故お前だと思う?」




・・・・・・・・。



さっぱり分からなかった。


「わからんか。お前と奴の波長が合っちまったからだよ。」

そんな馬鹿な事がある訳・・
だって今まで特別な力なんて感じた事ないし、
勿論未来を見る事なんて一度も無かった。

奴と力が同等なんてそんな事ありえない・・


おれが困惑していると熊さんが、


「生まれたての赤ちゃんというのは生命力に満ち溢れている為、我々が見れば
そのものの力が分かる。だがお前は生まれた時から桁が違かった。その場にいるモノを包み込む程の
オーラを纏って生まれてきた。まさに祭儀の際に神を降臨した時のような光に俺には見えた。
お前の親父も勿論その場に居たから同じ事を思ったのだろう。但し、その力を感じたのはその時だけだ。
多分お前の中であの時から眠ってしまっているのだろう。今でもあの力をお前からは感じないからな。」


そこまで説明されたが全く理解出来なかった。
いつの間にか酔いも冷めてる。


「まぁ突然こんな事言われてもすぐには整理がつかないだろうな。
だがこのままだと、もしもの時にお前は自分を自分で守れんだろう。
だからお前の力を儀式までに少しでも取り戻せるようにしようと思っている。」


確かに非現実的過ぎる話だが、こうなったら熊さんに全てを任せてみよう。

全然整理はまだつかないけどまだ死にたくはないし、やれるだけの事はやっておきたい。
呪いなんかに負けてたまっかよ!

ふと気付くと沙織ちゃんが横になり寝てしまっていた。

熊さんもそれに気づき、

「ほら、沙織。そんな所で寝ると風邪引くぞ。」

熊さんの声が届いたのかゆっくり身体を起こした。

「んんぁ〜、ごめんなさい。寝てしまいましたわ。」



(この表情可愛い過ぎるやろう〜〜!!)



さっきまでの熱い思いはどこえやら・・。
沙織ちゃんの寝ぼけた顔に萌えてしまった。

時間を見るともう日付が変わろうとしている。

「そろそろ風呂入って寝よう。」

熊さんがそういうと沙織ちゃんが、

「翔さんとお父さんは先に入ってきて下さい。私は洗い物しておきますので。」

「自分も洗い物手伝いますよ」

俺がそう言うと沙織ちゃんは、

「大丈夫です。目も覚めましたので入って来て下さい。」

俺は渋々お言葉に甘える事にした。

「ほら、とっとと入るぞ。」

「あっ!はい!!」

ん?ちょっと待てよ??
まさか・・・・・熊さんと一緒に入るって事!?

一途の不安を抱きながら一緒に風呂場へと歩きだす。

「寒いなぁ!早く湯船につかりてぇぜ」

「あ、あの〜もしかして一緒に入るんですか?」

念のため聞いてみた。


「ん?俺と一緒は嫌か?それとも沙織とがいいか?」


「はい!!!!あ・・・・・」



もう気付いた時には頭の天辺に激痛が走っていた。
熊さんのゲンコツを食らったのだ。

「くだらん事はいいからとっとと入るぞ。」

俺は痛みで涙目になりながら服を脱いだ。

俺が全部脱ぎ終わった時にはもうすでに熊さんは風呂場に脱衣所を抜け風呂場で身体を洗っていた。

俺もそれに続くように、身体を洗い出した。

一応この風呂には二人分のシャワーが隣同士で取り付けてある。

やはり、男と言うのは風呂場で一番気にするのが息子のサイズ。

身体を洗いながらチラチラと横目で熊さんの息子さんを拝見しようとした。



(まさかこの図体でミニカーサイズじゃねぇだろうな。)



内心バカにしながら覗いていると・・・それらしき面影が・・



(ん?あれ?あれれ〜〜?なんだろうこの物体はぁ?)


そこにはそびえ立つ・・いや、表現がおかしいな。
まさにツチノコサイズのどでかい息子さん登場!

俺も自分の息子さんは自慢じゃないが平均以上だと思っていたが、
ツチノコさんには完敗だ・・・。

もはや俺の方がバカにされると思いタオルで隠すようにしたら、
熊さんに・・・

「なぁに、男同士で隠してんだ。さてはミニサイズか!?」


(ちきしょーー!俺のセリフを奪いやがって!!あーそうさ!あんたに比べりゃミニカーサイズだよ!)

その後、散々バカにされながらも男同士の入浴は終わった。

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