小説『祟り神と俺』
作者:神たん()

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その後、俺達は駅から少し南にある大型ショッピングモールへと車を走らせた。

ショッピングモールも勿論クリスマスイベントをやっている為、凄い賑わいを見せている。

俺達はウィンドウショッピングを楽しむ事にした。

どのお店も混んでいるが、その中でも比較的広めのスペースのある雑貨屋に入った。

店内には珍しいユニークなモノから、アクセサリーや小物類まで揃っている。

俺達は面白そうな商品を手にしてはふざけ合って楽しんだ。

その後、アクセサリーの入ったショーケースを二人で眺めているといろいろな種類の物があり、
沙織ちゃんは星柄が好きだという事も分かった。

そのケースにはペアのモノも多くあり、三日月のお月様のまわりに小さな星がキラキラ付いている
ネックレスを沙織ちゃんは目を輝かせて見ていた。

「今日の記念に折角だし何か形の残るモノほしいね。」

俺がそう言うと沙織ちゃんは嬉しそうに「そうだね。でも何にします?」と言った。

「そのお月様のネックレスなんてどう?」と聞いてみた。

すると、沙織ちゃんは嬉しそうな顔をして「うん!」と答えた。

値札を見ると2万と書いてある。

俺の財布には残り1万5千しか入っていない。


(やばいやばい!お金が足りない!でも、ここで買わなかったらかっこ悪いし・・)

俺が頭の中で奮闘していると沙織ちゃんが・・

「先程から払って貰ってばかりいますのでここは、私が出しますね。」

俺は咄嗟に(それはいかん!)と思ったが俺も払える金額を持っていないので・・

「じゃぁ割り勘にしませんか?」と言ってみた。

でも、沙織ちゃんは私が出しますと突っ張ったが何とか説得し渋々了承してくれた。

店員さんに買う事を告げるとなにやらお月様の裏側に今日の日付けを彫って貰えるらしい。

記念だしという事で掘って貰う事にする。

数分待つと出来上がったらしく確認してみると“2012,12,24”と掘られていた。

それを店員さんが袋に入れ沙織ちゃんに手渡す。

沙織は嬉しそうな表情で受け取り俺達は店を後にした。

外へ出て時計を見るともう夜の7時を回っていた。

辺りはすっかり暗くなり始めクリスマス用のイルミネーションが輝いている。

「もう7時だね。これ以上遅くなると熊さんも心配するだろうし帰ろっか。」

「そうですね。今日はとても楽しかったです!またいつか来れたらいいなぁ」

「また来ようよ!そうだなぁ・・儀式が上手くいって一段落着いたらまた遊ぼうね!」

沙織ちゃんは嬉しそうに「はい。」と言ってくれた。

車に戻りエンジンを掛ける。

発進しようとすると沙織ちゃんが先程のネックレスを付けたいと言ってきた。

俺は袋からネックレスを取り出し、「付けてあげるよ」と言うと沙織ちゃんは「お願いします」と言い、
長い黒髪を持ち上げて後ろを向いた。

俺はネックレスを持ち沙織ちゃんの肩の上から腕を回す。

沙織ちゃんのうなじが綺麗で本当にこのまま抱きしめたいと思ったが、そこは我慢してネックレスを付けてあげた。

「有り難う御座います。」

沙織ちゃんはネックレスを見ながらニコニコ微笑んでいる。

俺も自分の分を首に付けて、「良い記念になったね」と言った。

そしてそのまま神社へと車を走らせた。

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