小説『祟り神と俺』
作者:神たん()

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神社へ帰ると熊さんがコタツに入ってテレビを見ながらビールを飲んでいる。

結局ここに着いたのが9時近くになってしまった。

「おう。お帰り。楽しかったか?」

「はい!車有り難う御座いました!」

「いいさいいさ。それより沙織に変な事しなかっただろうな?」

俺が慌てて何も無い事を伝えようとすると沙織ちゃんが・・

「な、何もないわよ!映画見て遊んだだけです!」

「なぁに動揺してんだよ!若いってのはいいもんだな!」

熊さんが笑いながら言うと、立ち上がり冷蔵庫から何か持ってきたようだ。

「ほら。今日はクリスマスイブだろ?折角だし皆で食べるか!」

熊さんの手には皿に乗ったホールのケーキがあった。

「おお!準備がいいですね!食べましょう!!」

沙織ちゃんもビックリした顔をしている。

「じゃぁ私包丁もってくるね!」

そう言うとキッチンの方へと行ってしまった。

俺もコタツの中に入り、熊さんからビールを一杯注いでもらう。

熊さんにお礼を言い2口、3口と喉を濡らした。

すると沙織ちゃんが包丁を持って戻ってきた。

ケーキを6等分にし小皿に取り分けてくれている。

各々の目の前にケーキが配られみんなで「いただきます!」と言い食べ始めた。

その後甘いケーキを食べながら俺は熊さんに教えてほしい事があった為聞いてみる事にした。

「そういえば儀式っていつやるんでしたっけ?」

熊さんは早くもケーキを食べ終わっていた。

「年明けてからの1月12日の夜だな」

「じゃぁその日が前回封印した日なんですか?」

「いや、違う。儀式は前回から20年後の新月の夜にやるという決まりがある。
新月の日ってのは良くないモノを浄化するとも言われていてるからそれでだろうがな。」

熊さんは残っているケーキに手を伸ばそうとしたら沙織ちゃんに止められた。

「お父さん残りは明日食べましょ。明日はクリスマス本番なんですし。」

「それもそうだな。冷蔵庫に入れといてくれ」

そう言うと沙織ちゃんは冷蔵庫に仕舞いにいってしまった。

「じゃぁ俺はそれまでどうすればいいんです?」

「まず一番おっかないのが奴にお前が操られちまう事だから、とりあえず坊主が行う修行をやってもらう。
結界に入っていても奴の力を完全に遮る事が出来るか分からんからな。」

「その修行をやれば操られる事はないんですか?」

熊さんは苦い顔をしながら言った。

「いや・・気休め程度だろうな。元々何年も掛けてやるモンだから一朝一夕で出来るもんじゃねぇ。
ただ、前にも言ったがお前の眠ってるモンが目覚めるキッカケとなればいいんだがね。」

俺はなんでもやるともう決めたけど、やっぱり不安になってしまった。


でも、ここで死ぬ訳にはいかない。


俺は熊さんに「修行でもなんでもやるんでお願いします。」と強く言い放った。

「とりあえず、明日から始めるぞ。基礎を徹底的に覚え込ませるからな。」

熊さんはそう言うと自分の部屋へと行ってしまった。

沙織ちゃんはいつの間にかテーブルの上にあったお皿を片付け洗いモノをしている。

俺も今日はもう眠くなってしまったので沙織ちゃんにお礼を言い、熊さんの部屋へと行った。

部屋に入るともう熊さんは寝息を立てている。俺も音を立てないように静かに布団に潜りゆっくりと目を閉じた。

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