小説『祟り神と俺』
作者:神たん()

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「まぁ言い伝えだから本当の所は誰にもわからん。」

親父は最後にそう言ったが俺は本当の出来事なんだろうと思う。

そうこうしているうちに時間は進み、古いながらに立派な神社が見えてきた。

そう。G神社に着いたのだ。

結構大きい神社なだけあって駐車場も結構広い。

とりあえず車を停めて鳥居へ向かって歩いていると鳥居の所に、2メートルはあるであろう巨体とゴツイ顔つきにスキンヘッドの男が立っていた。

ただ服装はよくある坊さんの格好をしている。

そう。あれが熊さんだ。

その傍らにはあまりに熊さんと身長差のある黒髪の可愛らしい女の子が立っていた。

鳥居に近づくにつれて迫力が増してくる。

俺も身長175センチはあるがそれより遙かにでかい。

親父も俺と同じくらいだからお互い熊さんを見上げていた。
まず親父が第一声を発した。

「熊さん久しぶりー。突然で悪かったね。」

すると熊さんが外見通りのゴツイ声で、

「いや気にするな。急を要する事だしな。
それにしても翔大きくなったなぁ」

そう言いながら俺の頭を撫で・・・いや、押しつけていた。

俺も一応挨拶しておいた。

「お久しぶりです。御面倒掛けますが、宜しく御願いします。」

俺の精一杯の敬語だ。

「かしこまる事ねぇよ。気楽にいけ。」

こういう所は熊さんのいい所だよな。
細かい所は気にしないって感じでさ。

すると熊さんの横にいる身長およそ155センチくらいかな?
長い黒髪にクリクリした瞳で非常に可愛らしい女の子が口を開いた。

「ご無沙汰しております。最後のお会いしたのは何年前になるのでしょうか。
これも何かの縁、ゆっくりしていって下さい。」



(なんとご丁寧な挨拶だ・・・俺って・・)


すると親父が、

「沙織ちゃんもすっかり大人になっちゃって。翔と同い年の子とは到底思えんなぁ。」

「え??俺とタメなん??」
俺は咄嗟に言ってしまった。

「あーそういえば翔と沙織は初対面だったか。昔から沙織は身体が弱くて
翔がうちに来た時は沙織は入院していたからなぁ。」

熊さんがそういうと親父が続いた。

「そうだったかもな。沙織ちゃん身体の方はもう大丈夫なのかい?」

すると沙織ちゃんが、

「はい。御陰様ですっかり良くなりました。」

「それは良かったなぁ」

もはや話に入れない。
てか、熊さんにこんな可愛い娘さんが居たなんて・・。
まさに科学反応を起こしたんだろう。

すると熊さんが、

「外で立ち話もなんだから中に上がってくれ。
ついでに線香でもあげてってくれや」

(そういえば、熊さんの奥さんは若い時に亡くなったんだったな。)

「おう。悪いな。上がらせてもらうわ。あー寒い寒い。」

親父はそそくさと行ってしまった。

-7-
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