小説『祟り神と俺』
作者:神たん()

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拝殿を通り過ぎ、本殿へと歩いていると意外と参拝者がいるもんだなと思った。


本殿内に上がると一階はお経を上げたり・・まぁお坊さんの仕事場と言えば分かりやすいかな。
二階は居住スペースとなっている。


二階に上がるともう親父が仏壇に線香を上げていた。

俺もそれに続き線香を上げ手を合わせる。
俺は奥さんとの面識はないが、仏壇に置かれている写真を見る限り美人な方だ。
それなら娘さんにも納得がいく。

すると後ろから声が聞こえた。

「お茶を入れましたのでこちらへどうぞ。」

確か小さい頃の記憶だが、二階の間取りは3DKみたいな感じだった。

今居る仏壇のある部屋が熊さんの部屋だろう。

いかにも熊さんが好きそうな任侠モノのDVDがある。


で、後はリビングと沙織ちゃんの部屋だろう。


とりあえず、リビングに行くか。

リビングの襖を開けるとそのは10畳程のスペースだが、テレビや一般家庭でありそう
なモノは全て揃っているようだった。

そして皆は目の前にあるこたつに入っていた。

「ほらせっかくのお茶が冷めちまうぞ。」

親父がそういうと俺はこたつの空いているスペースに入った。
俺はお茶に手を伸ばし口に運ぼうとした時に熊さんが喋りだした。

「翔、今日はゆっくり身体を休めておけな。明日からは滝行をやるからな。」


ぎくっ!

そうだった。滝行をやるのか・・・

すると親父が・・


「俺の言ったやり方でやってもらうように熊さんに言っておいたから、
凍死しないように気をつけろよな。」

もう親父は笑いを堪えてるのが分かる。


(今すぐこの親父を殺したいわ・・)

俺は本気でそう思った。

久しぶりな事もあり話に華が咲き、時間も忘れて談笑しているともう辺りも暗くなっていた。

暗くなった事に気付いた親父は、

「ほんじゃそろそろ帰るわ。暗くなってきちったしな。」

親父はコタツから出て重い腰を持ち上げた。

「そうか。では見送ってやるかの。」

熊さんも立ち上がるとそれに続くように俺と沙織ちゃんも立ち上がり
1階へと降りていった。

暗くなった事もあり、1階にある仏像様などが不気味に感じた。

外へ出ると参拝の方の姿は一切無く。冷たい風だけが俺達を
出迎えた。

鳥居をくぐり、駐車場へと向かう。
親父は車のカギを開けると一言。

「翔。次会うのは1週間後だ。頑張れよ。」

「あぁ。死なねぇ程度に頑張るさ。」

俺がそういうと親父は車に乗り、来た道を走り去っていった。

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