4.レイリーとの対面
SIDEルーク
俺は今レイリーに殴りかかっている。いや、1発もかすりすらしないので、遊ばれているのだろうか。
なぜこうなったかと言うと、話は数時間前に遡る。
基礎トレーニングを始めてから1か月ほど経ったある日、ついにレイリーが戻ってきた。
そしてレイリーとシャッキー、そして俺の3人で話しているのである。話題はもちろん俺のこと。俺自身のことから、トレーニングのことまで、すべてをレイリーに話した。するとあっさりと承諾されたのだ。
「あの、レイリーさん…鍛えてもらえるのは嬉しいんですが、そんなにもあっさりと承諾してしまって良かったんですか?」
「あぁ、敬語は使わなくてよろしい。それに、あっさり承諾したわけではないのだよ。シャッキーから基礎トレーニングのメニューをもらっているだろう?あれはルークが夢のために努力できるかどうかを見るために、シャッキーが少々キツめのものを用意したみたいでね。あのトレーニングをやっていたのなら、十分根性はありそうだし…君が夢を話すときの目は本当に綺麗だった。力をつけても悪さには使わないだろうし、見たところセンスもありそうだからね。」
そうだったのか…どうりで精いっぱいやればギリギリできる範囲のメニューだと思ったよ…。
「そうだったんですか。レイリーさん、これからよろしくお願いします。」
「うむ。それから私のことはこれから師匠と呼ぶように。では早速だが、ルークがどれほど動けるか、手合せしてみようか。もちろんこちらからは攻撃しないから、安心してくれ。」
こうして冒頭に遡る。
「はぁ…はぁ…。」
「どうした?もうおしまいかい?」
「まだ…まだ…!」
そして数分後、地面の上で大の字になって寝転ぶ俺と、息ひとつ乱さずそれを見下ろす師匠。
「ふむ…その年齢にしてはだいぶ動けるな。これなら期待できそうだ。今日はここまでにして、明日からは基礎から鍛えるとしよう。」
「は、はい…今日はありがとうございました。明日からよろしくお願いします、師匠。」
こうしてレイリーとの修行の日々が始まったのである。
SIDE OUT
SIDEレイリー
手合せのあとそのまま眠ってしまったルークを背負ったシャッキーが話しかけてきた。
「ねぇレイリー。おもしろそうな子でしょう?」
「そうだな。夢のことを語るルークは、まるでロジャーのようだったよ。」
大人びた言動や、シャッキーから聞いた話によると、ロジャーとはまるで似つかない。しかしあの夢を語るときの目だけは、本当にそっくりだった。
「ルークは将来大物になるぞ。この私が鍛えることだしな。」
先ほどの手合せ、確かにまだまだルークは弱い。力もないしスピードもない。だが、まだ5歳だ。これからどんどん強くなるだろう。それに…こんなにも弱いルークとの手合せがなぜだか楽しかった。まるでシャボンディパークで遊んでいるときのように、ワクワクドキドキしたのだ。わずか5歳のこの子が私を楽しませてくれる。これからしばらくは、退屈しない日々が過ごせそうだ。
SIDE OUT