小説『転生はメリットしかない?現実はそう甘くない』
作者:Ratchet()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>


 俺とあれから一年間

 恭也さんと決闘してから一年が経過した。・・・何?端折り過ぎだって?・・・仕方ねえ。この一年をダイジェスト?で説明しよう。

まずあの後哀崎家と高町家は意気投合して家族ぐるみの付き合いになる様になり旅行も一緒に行ったりご飯を互いの家で食べたりした。

・・・因みに高町家の大黒柱である高町士郎氏だがあれから2週間後に目を覚まし目を覚ましてから2週間で退院した。

やはり高町家は戦闘民族であると言った七夜の言った事は正しいかも知れないな。回復速度が速すぎるだろ。

まあ目を覚ますまでの手伝いはしたんだけどな。あれは俺が高町家に会ってから1週間経ったある日だった。


「なあ。なのは」

「うん?何〜まー君?」

「士郎さんってどこの病院に入院しているんだ?」

「え〜と〜・・・。あれ?どこだっけ?お母〜さん〜!」

「何?なのは?」なのはが呼ぶと桃子さんが台所から出てきた。因みに今はあれからなのはを寂しくさせないように作った休業日で俺は高町家にお邪魔している。

それに先程恭也さんと模擬戦をしたんだがまた負けた。あの決闘から1週間経っているが未だまともな一撃を入れることが出来ていない。

それに鞘無しの抜刀零式の欠点も見抜かれているので当たらないし他の技も試してみたが全て受け流された。

こちらの攻撃は当たらなくて恭也さんの攻撃は良く当たっているが最近は少しずつだが防げてきた。といっても徹の衝撃が前より少しマシになったとか虎乱を直撃から掠る位に受け流せるようになった程度なのだが・・・。

それでも恭也さん曰く「その年でそこまで出来るのは大した者だ。俺がお前位の時はまだ父さんの徹も虎乱もそこまで上手く防げなかった。曲里は凄い剣士になるかもな」と言われたがその後「だがお前に言っておかなければならないことがある」と言われた。

続きを促すと「実は・・・お前に一流の剣士になる素質は無い。精々頑張っても二流になれるかどうかだ」と言われた。

それは・・・分かっていた。俺の剣術の起源は我流の物であるしそこに色々な物を適当に詰め込んだだけの粗悪品だ。そしてそれが生まれ変わってから素質を貰いアレスやお袋に鍛錬をしてもらっていてもどうしても前世で使用していた型が出てきてしまう。

だから持ち味を消し合ってしまい俺の剣術は高みには上れなくなってしまったのだ。それでも・・・。

「・・・知っていましたよ。俺は一流にはなれないって」

「そうか・・・」

「でもね、恭也さん。俺は刀を置く気は毛頭ありません。俺は今の型のまま、いや他の剣術の良い所を取り入れて実践向きの剣術を完成させて見せます」

そうだ。俺は何時何処で戦闘になるか分からない。だから俺はもっと強くならないといけない。

「だから、恭也さん。俺に御神流を教えてくれませんか?」より高みに上る為に、御神流は必要だ。

「・・・教える事は出来ない」

・・・まあ、そうか。御神流は暗殺などの裏で名前が広く知られている流派だと恭也さんは教えてくれた。だから俺には教える事なんて・・・。

「しかし」

「えっ?」俺が顔を上げ恭也さんを見ると恭也さんは意地の悪い笑みを浮かべたかと思うと

「お前が勝手に盗む事は俺には防ぎようが無い。それに俺が技のコツを喋っている時にお前がそれを聞き修得しても俺には止めようは無いな」と言い出した。

・・・それって「要するに恭也さんから盗み取れ、と?」

「・・・まあ、そうかも知れないな・・・」そう言う恭也さんの顔は何だか照れくさそうだった。まるで弟に素直に教えれない不器用な兄に見えた。

それを見て俺は「・・・照れちゃってます?恭兄」と意地悪い笑みを浮かべながら言ってみた。

「なっ!だ、誰も照れてなんかない!それに恭兄ってなんだよ!?」

「いやいや〜。何となく兄さんって感じがしたのでね。つい呼んでみたんですよ」

「・・・。まあ、お前が呼びたいならそう呼べば良い・・・」そう言っている恭也さんの顔は少し赤くなっていた。

「じゃあもう一勝負しましょう、恭兄」

「・・・ああ。じゃあやるか」

そう言いながら今日三回目の模擬戦を開始した。




まあそんな事があって俺は恭也さんを恭兄と呼び昼過ぎまで模擬戦をしていたのだが、桃子さんに「二人とも〜。お昼ご飯出来たわよ〜。曲里君も食べていってね〜」

と言われて模擬戦を止めお昼ご飯を頂き、恭兄は部屋に戻り美由希さんは朝から友達と遊びに行っているらしくいなくて俺となのはは居間でテレビを見ながら話していた。

そして先程の話に戻り桃子さんが来て俺の質問に答えてくれた。

「士郎さんは○○病院に入院しているわよ。でもそれがどうしたの?」

そうだよな。急に聞いたら怪しまれるよな。ここは「いえ。お見舞いに行きたいなと思いまして」と言うと

「そうね・・・。じゃあ今から行きましょうか?」それは・・・願っても無い事だな。

「分かりました。行きます」

「なのはも!なのはも行くの!」

「あらあら♪大丈夫よ、なのはを忘れてなんかいないからね」

そして恭兄に留守を任せて俺達は士郎さんの入院している病院に向かった。

結論から言うと俺達は士郎さんの病室である305号室に入り意識の無い士郎さんをお見舞いした。

俺も声をかけたが意識は士郎さんの状態を確認していた。

(しかしこの怪我は酷いな。全身至る所に火傷や裂傷などの傷が沢山ある。これは治せるのか?・・・いや治せないとなのはが悲しむか・・・。病室の位置も確認したし今晩決行するか。七夜に後で連絡して家に泊まるようにしてもらうか・・・)

「まー君?どうしたの?何だか難しい顔しているよ?」

「あ、ああ。すまない。少し考え事をしていたんだ」

「そうなの?」

「ああ。ゴメンな」

「良いの!なのはは気にしてないの!」

「さあ、もう帰りましょう?」

そう言われ俺達は病室を出て病院の玄関で桃子さんとなのはと別れ家に帰り七夜を家に泊まらせるように電話をした。

その後家でお袋に夜中に外に出る事を告げると「・・・何しに行くんだい?」と聞かれたので堂々と「人道救助」と答えた。

すると「ははっ!そうかい!分かったよ。夜間外出認めてやんよ!なーたんも行くんだろ?」

「はい。二人で人道救助に行きます」

「そうかいそうかい!まあ人様に迷惑をかけずに尚且つ自分達も怪我するんじゃないよ!」

と言われて23時頃に家を出て病院に向かった。





「おい。曲里。どうやって入るんだ?」

「それはな・・・」

「それは?」

「緊急患者が来た時にどさくさに紛れて入る」

「はぁ〜?お前にしてはかなり運頼みの作戦だな?」

「・・・これ以外は完璧にばれるぞ?」

「・・・例えば?」

「俺の曲弦師を使って3階まで登って窓を割って入る」

「・・・患者を気長に待つか・・・」

「・・・それが懸命だな・・・」

それから1時間位して七夜が寝そうになった時に救急車が来て病院のドアが開いたので俺達は俺のスキルである気配遮断を使用し侵入し士郎さんの部屋まで辿り着いた。

「さて・・・。七夜投影頼む」

「任せろ。投影開始(トレース・オン)」そう言って七夜が作るのはギリシア神話における医術の神様。英雄をも生き返らせるその腕を恐れゼウスによって雷で焼かれた蛇使い座の神様。

「投影終了(トレース・オフ)」その名もアスクレピオス。

その姿は木で作られた杖の形をしておりその中ほどから杖の上の方にかけて蛇が巻き付いている。

そしてこれは本来なら死者をも生き返らせれるのだが今のこいつには欠点がある。それは担い手になろうとも瀕死の人間を軽傷程度までしか回復させれない事だ。

と言っても今の錬度が低い為であり将来的には瀕死から完全回復させられる程度にはなるだろうが。

「さて、じゃあ七夜。頼む」

「分かった」そう言い七夜はアスクレピオスを右手に持ち士郎さんの横に立った。

そしてアスクレピオスを上に振り上げ魔力を注ぎ込み真名開放をする。

「アスクレピオス!!」振り下ろしたアスクレピオスから眩い光が士郎氏に降りかかったかと思うと光が士郎氏を包み込み光が晴れた時には士郎氏の体にあった火傷がマシになり裂傷もある程度は塞がった。

「そんなに治癒は出来ないんだな」

「ふ〜。仕方ないだろ。錬度もまだまだだしそもそも完全治癒はNGだったろ?」

「・・・それでも1日でも早く元気な姿をなのはに見せてあげたいからな・・・」

「おっ、何だよ?惚れたか?」七夜がおちょくる様に話しかけてくる。

「タ〜コ。んなわけねえよ。唯もうあんな悲しい顔をして貰いたくないだけだよ」

「そうかよ・・・」

そこで会話が途切れる。

「さてそろそろ脱出するぞ。じゃないとばれるぞ?」

「そうだな。・・・そう言えばどうやって脱出するんだ?」

俺は答えずに病室の窓の傍まで行き窓を開けた。

そして振り向きこう答えた。

「窓からのダイビングだ」

「・・・は?」

「だから、窓からダイビングをして脱出する」

「何でだよ!何でここもこんな適当なんだよ!?」

「何だ。七夜。俺の曲弦師の腕を信用していないのか?」

「しているけどよ!」

「じゃあ大丈夫だ。お前が信じる俺を信じろ」

「兄貴の熱い台詞を改造した!?・・・分かったよ!信じるよ!」

「よし。じゃあ行くぞ。俺の腰に抱きつけ」

そして俺の腰に七夜が抱きつき曲弦師を使用し窓から脱出した。

その後は普通に家に帰りその一週間後に士郎氏が目を覚ました。

目を覚ましたその日は高町家の人だけが病室を訪れ会話をしたらしい。

そしてその次の日に俺は高町家の人と一緒に病室を訪れた。因みに家の両親と七夜も来ていた。

そして士郎氏と対面したお袋の一言目は「何だ士郎じゃないかい。あんた仕事ミスったのかい?全く下手だね〜」である。

てかお袋と士郎氏って知り合いかよ!

そして士郎氏の一言も「あはは・・・。流石に僕も大人数には負けますよ、潤さん」だった。

その後は家族に関係を聞かれ二人は「「昔仕事で出会ったんだよ(のさ)」」と答えた。

その後お袋に詳しい事を聞いたんだが・・・お袋が護衛で士郎氏が暗殺者として対峙したそうだ。その時はお袋が手傷を負わせられながら士郎氏を撃退したそうだが、それ以降ちょくちょくダブルブッキングするようになって友人になったらしい。

そして士郎氏が守りたい人が出来たと聞くと、お袋は

「あん?守りたい奴が出来た?ならこんな暗殺者なんて止めな!!それで死んじまったら守りたい人を悲しませる事になる。・・・あんたはそれで良いのかい?」と言ったそうだ。

しかし士郎氏もこれ(御神流)を上手く扱える仕事は無いっと言う。しかしお袋はこうのたまった。

「あんたの大事な人はパティシエールなんだろ?なら洋菓子屋とか喫茶店とかを営めば良いじゃねーか。ケーキとかはあんたの奥さんに任せてあんたはコーヒーとか入れれば良いんだよ。それでも最初は稼げなかったらあんたが護衛をやれば良いんだよ。確かに御神の技は暗殺とかに向いてるかも知れないけど、それでもそれの大元位は分かるよ・・・。『守護』の為のもんだろ?なら、『守る為』に使ってみな」

その助言を受けて暗殺業から足を洗いそれ以降守る為に剣を振るっていたそうで何度か共闘して依頼主を守った事もあるとか。それ以来士郎氏のみとは交流があり顔も見せていたそうだが最近になって音信不通になって心配はしていたらしい。

因みに何故会うまで気が付かなかったのか聞くと、

「あいつは不破って名乗ってたからね・・・。結婚を気に婿養子となり苗字を変えるって言ってたけど聞いてなかったから気が付かなかったのさ」と言っていた。

それからは自己紹介をして士郎氏のリハビリに付き合い、士郎氏は医者が早くても1ヶ月はかかるっと言った所を2週間で退院した。

退院後、士郎氏に御神流の指導を頼むと「君が盗み見る事は止めれないさ」と恭兄と同じ事を言われたので時々士郎氏とも模擬戦をしている。

・・・やってから分かったのだが士郎氏は恭兄より早くは無いがその分技のキレが半端なく最近恭兄の徹は防げたから一回士郎氏・・・ああ言い難い士郎さんの徹を受けたんだが見事に直撃を食らって気絶してしまった。

目を覚ますと士郎さんが桃子さんに説教されていて何だか憐れだった。

それから一年間は恭兄と模擬戦をしたり時々士郎さんに剣術の指導をしてもらって七夜と徒手空拳で模擬戦をしたり剣術の模擬戦したり何でもありの模擬戦したりなのはと遊んだりした。

・・・因みに刹那とか言う自称オリ主はなのはと接触はしたらしい。

偶々俺も七夜も用事があってなのはと遊べなくてその次の日になのはと遊ぶと「昨日何だか気味の悪い男の子に出会ったの」と言われ特徴を聞くと見事に勘違い君に当てはまったわけだ。

しかも初対面なのに名前で呼ばれたり行き成り笑いかけられたり挙句の果てには頭を撫でて来ようとしたから避けたら「何だ。ツン期か?なのはは可愛いな〜。流石は俺の嫁!!」とか言われたらしい。

それ以来なのはは一人で公園には行こうとはしなくなり俺か七夜と一緒か高町家の皆と一緒にしか行こうとしなくなった。

そして俺がなのはと出会ってから1年経ち6歳になった時だった。


両親が、交通事故にあって、死んだと聞かされたのは・・・。

-9-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える