小説『ハイスクールD×D 修羅を宿す者再び』
作者:風薙()

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     二話『夜食を買いに行ったら、あらまぁ』


数時間後・・・

「ハラ減った・・・コンビニ行こ・・・」

やはりカロメ二本だけでは物足りなく、空腹で起きてしまった
眠気眼を擦り、薄手のパーカーと財布を持ち外に出た



「・・・え〜と、カツサンドと烏龍茶、カレーとコーヒー・・・お、甘王の大福置いてる! 珍しいな〜」

あ、別に変な時間に起きたから、テンションが高い訳ではありませんよ? 滅多にお目にかかれないものがあったからですよ?


「ありがとうございました〜」

妙に気だるそうな店員の声を背にコンビニを後にした

「家に帰って食うのも何気に味気ない・・・公園で食うか」



深夜なので公園周辺はすっかり人気はなく、いたとしても猫一匹ぐらいだった
ベンチに腰を降ろし、買ってきた物を手に取り食べ始める

「・・・もきゅもきゅ、んぐ・・・食うか?」

目の前にいた猫に手招きをし、カツを手に持ち食べさせる
猫は余程腹が減っていたのか、あっという間にカツはなくなっていた

「ハハッ、んじゃカツやるよ。パンはカレーにつけて食うからさ」

カツサンドの中からカツをすべて抜き一つ一つ、手に持ち食べさせた
みるみるうちにカツは無くなり、気づけば膝の上に乗りながらくつろいでいた

「ったく、カツやったってのにどんだけ欲深いんだかな」

カレーと大福を食い終わり、烏龍茶を飲みながら言う
猫ってこういう生き物なんだけどさ・・・

「さて、腹も膨れたし・・・帰るとしますッ!?・・・」

ベンチから立ち上がった瞬間、胸を何かに貫かれた・・・

「ふふふっ、やっとこれで貴方は死ぬ・・・計画も順調に進んでいるしね・・・」

聞こえてきた声の方向を見ると、そこにはーー

「と・・・とう、か・・・?ガフッ!!」

かつての俺の彼女で、通算二回目の俺を殺した人物だった
口から血が流れるぐらいでは済まず、血塊を何度か吐いてしまった

「そろそろね・・・じゃあね」

彼女はそう言い残し、漆黒の翼を広げ飛んでいった・・・
胸に光の槍を貫かれーー俺は倒れた

「・・・にゃ〜ん?」

先ほどの猫が、血塗れになった胸やその服を舐めていた

「・・・ハハッ、俺の血、なんか舐めたって、美味くねぇぞ・・・」

生気を振り絞り、猫の頭の上に手を置き、優しく撫でた

「・・・しっかし、まさか最後の、晩餐がコンビニで買った弁当で・・・その相手が、猫・・・ハハッ、土産話が一つ・・・出来たな・・・ガフッ!ゲホッ、ゲホッ!」

多少強がってみたもの、大きく咳き込み、血を吐きだす・・・吐く血の量が増えてきている

「・・・猫に見守られながら死ぬ奴って・・・俺が初めてか・・・?」

猫の口をふと見ると、所々赤くなっている

「ガっ、グフォ!・・・終わりか・・・」

吐血し、赤く濡れた手を、明け方の空に掲げる
次第に瞼が重くなり、体が冷え、五感も効かなくなってきた・・・

「・・・クソ・・・が・・・」

瞼を閉じ、意識が遠のき、夜より深い暗闇に引きずられるかのように落ちて行く間際、ギリギリ意識が落ちる前、紅く長い髪をした女性が見えた

「やっと見つけたわ・・・龍ヶ崎暁斗・・・あなたの命、私のために使いなさい・・・」

-2-
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