小説『織田信奈の野望  〜姫大名と神喰狼〜』
作者:大喰らいの牙()

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第六話  米調達と別れ


〜良晴side〜
俺は真紅狼に引き摺られながら、うこぎ長屋まで戻ってきた。


「さて、期限は二週間だが、まず元手を増やさないと話にならないな」
「だけど、どうする、真紅狼? 元手を増やそうにも元手事態を失ったら、俺達、打ち首だぜ?」
「お前なら、どう増やす?」
「俺なら、そうだな。………五右衛門、出て来てくれ」


俺は忍びの五右衛門を呼び出す。


「呼んだでござるか? 相良氏」
「………驚いた」


犬千代はそういうが表情はまったく変わっていなかった。


「良晴、お前………」
「真紅狼、コイツは蜂須賀五右衛門。俺の………」


“相棒”と言おうとした時、真紅狼の言葉が遮った。


「ロリコンだったのか………!!」
「ちげぇ!! 五右衛門は戦場で出会った忍びでだな!」
「そんなに否定しなくていいから。人には様々な趣味があるからな、俺は分かってるよ」
「聞けよ! 人の話!!」


俺が必死に弁解し始めると………


「さて、良晴を弄るのはこれぐらいにして、続けてくれ(キリッ」
「………この外道が。………五右衛門には清州周辺の町に行って、清州の特産品がいったい幾らで売られているか、調べて欲しい。おそらくいくつかの町には高騰している商品があるはずだ。俺達はまず三千貫で特産品を買い、その後、高騰している町に売り付けて元手を増やしていく。そうやって資金を増やして、八千石を買うぞ!」


俺の作戦に真紅狼以外は「おおーー」と驚いていた。
そこに真紅狼が口を挟んで来た。


「ちょっといいか?」
「なんだ、真紅狼?」
「五百貫ほど、俺に分けてくれないか?」
「どうするんだよ?」
「博打で増やしてくるから」
「それで全部スッたら、どうすんだよ!? 打ち首だぞ!?」


すると、真紅狼は得意げに笑う。


「まぁ、見てろって。一週間と三日で………そうだな元手の三倍、九千貫まで稼いで来るから。………ということで、俺は別行動だな。そんじゃ荒稼ぎするぞーー!!」


真紅狼は五百貫を持って、出て行ってしまった。
俺達も急いで行動に移った。






二週間後………






なんとか元手を増やすことに成功し、最終日に米を買いつけることが出来た後、犬千代に運んでもらい俺は時間稼ぎする為に信奈の元に向かった。
真紅狼は未だに戻ってきてない。
アイツは何やってんだ………!?


「サル! アンタは一体何をやっていたのよ〜〜!!」


俺は上手く時間を延そうとしたが、信奈の癇癪に触れてしまいキックの嵐が俺の頭を襲ってきた。


「それに真紅狼もいないって、どういうことよ!?」
「真紅狼なら、五百貫持って博打で増やすって言ってから、行方知らずだよ!! 戻って来るって言った筈だがな!!」
「なっ、なんで止めなかったのよ!!」
「止めることなく、出ていちまったんだよ! 無茶言うな!」
「もうー、使えないわね!!」


信奈は小姓に持たせてきた刀を抜いて、首元にぴったりと当ててくる。


「待て待て! 米は調達したが量が多くて運べなくて、今犬千代に運んでもらっている! だから、もう少し待ってくれ!!」


すると、刀を下げて鞘におさめた。


「……犬千代が関わっているなら、もう少し待ってあげるわ」


なんとか首の皮一枚で繋がったが、ピンチなのは変わらなかった。
さらに信奈は我慢の限界がとても速く、カップラーメンが出来る時間までしか待てないらしい。


「ねぇ、サル。いつまで経っても来ないんだけど?」
「なんせ、量が多いからな。もうすぐ来るさ」
「もうすぐって言うけど、何時になったら来るのかしら………?」


その時、犬千代が入ってきた。


「………姫さま」
「「犬千代!?」」


俺と信奈の声が重なった。


「犬千代、いくら買ってきたの?」
「………七万五千石」
「ってことは、三万石っ? 嘘ッ、ほんとに!?」
「………姫さま。真紅狼と共に出奔する」
「な、何を言ってるのよ!?」
「………信勝の小姓達を殴っている」
「な、なんで………!!」


信奈は信じられないと表情をしていた。
俺はある事を確認する為に犬千代を訊ねた。


「犬千代、まさか信勝達に邪魔されたのか?!」
「………(コクリ)。その後、助けてもらった」
「「助けてもらった?」」


犬千代は頷く。


「………犬千代が城内に入ろうとしたら、信勝の若侍たちが邪魔してきて時間に間に合わなくて斬ろうと思った時に、真紅狼が後ろから乱入してきて「先に行け!」と言って、米俵を中に運び込んだ。門に戻ったら、真紅狼が素手で複数の相手と勝負していて、助ける為に小姓を斬ろうとしたけど………」


犬千代は喋るのをやめて城門を覗く、俺達もつられて覗くと城門で争っている跡が見られた。


「………真紅狼、今も戦っている。でも、さっき信勝をおもいっきり殴っていた。犬千代も斬ろうとした事を問われる。姫さまに迷惑はかけられない。だから出奔する」
「で、でも………!!」


信奈が涙ぐんだ声で、必死に引き留めようとするが入口から入ってきた男の声により完全に途切れてしまった。


『出奔するしかねぇだろ』


俺達は入口を振り返ると、そこには所々刀傷によって傷ついている真紅狼の姿が合った。


「真紅狼! 傷は大丈夫なのかよ!?」
「ああ、問題ねぇ。こんなの怪我にすら入らん。信奈、今、織田家が内乱状態になっちまったら他国から攻められるのは確実だ。だから、そんなことにならない為にも俺と犬千代は出奔して、事を大きくさせないようするしか道は残ってねぇ」
「でも、路銀とか……!!」
「ああ、そのことなら大丈夫だ。博打で荒稼ぎして、結構ある。問題はないさ。犬千代、信勝共が文句を言ってくる前に去るぞ。急いで準備しろ」
「………わかった。………姫様、しばらくお別れ」


犬千代は、うこぎ長屋に向かい準備し始めた。
そして真紅狼も出て行こうとするのを信奈は手を伸ばしたが………届かなかった。
それを見た真紅狼は、信奈の頭を撫でた。


「安心しろ。お前の元から永遠に去るわけじゃない、一時の間、姿を消すだけだ。しばらくしたら、また戻ってくるからよ」
「………でも」
「お前はイイ女だ。イイ女は泣くよりも笑顔の方が断然に良い。少しの間は辛い事もあるけど、くじけず前を向いて、歩いて進め」
「………うん」
「良晴」
「………おう」
「しばらくの間、織田軍頼んだぜ?」
「任せろ! 信勝達の件、俺がどうにかしてやるから、死ぬなよ!!」


俺達は拳を「ゴツン」とぶつけあい、そして真紅狼と犬千代は裏門からこの清州城を出て行き、森の中に消えた。
後に残るのは、俺達が買った大量の米俵だけだった。
〜良晴side out〜


いずれ、再び………!!




―――あとがき―――
一旦、織田軍を去る犬千代と真紅狼。
その間、ぶらり旅となります。
二話ぐらい挟むと思いますので、誰との出会いにするか迷いますが、まぁ一人は決まってます。
もう一人はどうしましょうかね。

それと、作中内での良晴はギャグ担当者です。
時には、シリアスの場面を担当する時もありますけどね。





時に質問なんですが、かつて『にじファン』で投稿していた“とある科学の超電磁砲”と“とある魔術の禁書目録”を8:2で混ぜた物語なんですけど、閉鎖を伴い、移転して『TINAMI』で投稿しているんですが、こちらに纏めてしまおうかなと思ってます。

ストーリーの流れは基本的に“超電磁砲”メインです。
“禁書目録”は本当に大事な部分だけとかだけです。
ヒロインはメッチャ多いけどネ!

ぶっちゃけ、始めた理由が本の中に出てくる食蜂操祈が可愛かったからなんですけどね。
操祈、可愛いよ、マジで。

-6-
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