小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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〜ガウルside〜

ノワ、ジョーヌが騎士を囲んで退路を塞ぐ
それに反応するように騎士は剣を構え直す

「サシで勝負といこうや。紋章無しの人間相手にしか戦えねぇ騎士さんよ」

「なっ?!貴様ぁっ!!」

俺の挑発に騎士が顔を真っ赤にして斬りかかってくる
騎士は挑発に乗せられ紋章術を使わないでいる

「おら!どしたどしたぁ?!紋章術無しじゃ一般参加者も倒せねぇってか?!」

「くっ・・・」

迫り来る攻撃を避けたり、持っている槍で逸らしたりしながら挑発を続ける
同時にミサとベールの位置を・・・お、いた

「あらよっとぉ!!」

ミサ達の位置を確認して、射線を確保した位置取りになったところで、石突きの部分を叩き込んで騎士との距離を取る
加減したから騎士にはダメージは無いだろう

「くっ・・・王宮所属の騎士の俺がこんな輩に・・・」

こんな戦の礼儀もわからんやつが王宮所属の騎士かよ?王国も先行きが不安だなぁ・・・

戸惑っている騎士を呆れ半分で見据える

「オラ、お得意の紋章術を見せてみろや」

「生意気な口二度と叩けなくしてやる!!はぁああああああああ!!!!」

構えを解いてそう言うと、騎士は何の躊躇も無く紋章を起動してレベル3まで引き上げた
挑発しておいてなんだが、あの騎士は俺を紋章無しだと思ってるはずだよなぁ・・・?

「獣玉になるがよい!!紋章剣!!」

騎士が輝力に包まれた剣を振り、斬撃を飛ばす

「オラァっ!!!」

俺は飛んできた輝力の斬撃を槍を輝力で強化して弾き飛ばした

「なんだとっ?!」

それを見て騎士が驚く

「強さ、華麗さ、豪快さ、それが騎士の必須事項。だがオメェにはそれ以前に足りないものがある」

ジリ・・・ジリ・・・と詰め寄りながら俺は騎士に向かって言う
騎士は紋章術の反動で息を切らせ、明らかに動揺している

「騎士の力は民を守るため、戦興行でもそれは同じこと。開始早々突(とつ)って相手を蹴散らしてるんじゃ他の奴らの楽しみが無くなっちまう。オメェに足りないもの、それは・・・」

槍が届く範囲まで近づかれた騎士は剣を持ち上げ・・・

「騎士の誇りだ」

「うわぁぁあああ!!」

構え直さずに逃げ出した
背中を見せることに恥も感じねぇのかよ

バァン

「あがっ!」

逃げた先でミサが放った弾丸が騎士に命中し、騎士の防具が粉々に砕け散った





〜ミサside〜

『おーっと?!開始早々敵陣に突っ込んでいたタルトレット王国騎士リカルド・フォーンダン、被弾により防具が砕け散った!!これは戦闘継続不可能か?!』

私の放った弾丸がガウル様から逃げようとした騎士の胴体に直撃し、防具が砕け散る
打たれた騎士は防具が全損して、力無く白旗を揚げた
いい所取りだけど私の実力ではこれが精一杯・・・本当は紋章術を使用しようとしているときに打とうと思ったくらいだし・・・

『騎士リカルド、白旗を揚げました!!これは初っ端からタルトレットは痛い失点だ!しかしガレットも騎士リカルドの活躍により数十人が獣玉にされていて人数的に不利!損害はどっこいどっこいか?!』

実況の人が戦況を分析する

「ガウ様が移動します。こちらも行きましょうか」

「はい」

ベールの言葉に銃を担ぎながら返事をした





ピーーーーーー

『しゅ〜〜〜〜りょ〜〜〜〜!!』

戦興行の終了のブザーが鳴り響き、実況の人が終了を宣言する
その宣言を聞き、私は緊張が抜けて地面に座り込む

「お疲れ、ミサ」

「お疲れ様です。それとありがとうございます。ベールには何度も助けられました・・・」

あれから騎士や隊長クラスを中心に14,5人くらい相手した
そのうち私が討ち取ったのが5人。それ以外は狙いが外れてベールやガウル様達が討ち取った
他にも近づいてくる歩兵をベールに倒してもらった

『ただいま結果の最終確認中です。もうしばらくお待ちください』

実況の人がそう言う
暫定でだとガレットの勝ちだろう
ガウル様やジェノワーズが紋章術を使わないながらもかなり討ち取っていたのだから・・・

「お疲れ〜どうだ?初めての戦は?って聞くまでも無いか」

ガウル様達が戻ってきて声をかけてくる

「お疲れ様です。そうですね、疲れました・・・」

立ち上がろうとする私にガウル様が手を差し出し、私はそれに掴まって立ち上がる

「明日はゆっくり休め。明後日には次の都市に向かうからな」

「はい」

『最終結果が出ました。タルトレット王国314ポイント、ガレット獅子団領国352ポイント!よって、ガレット獅子団領国の勝利です!』

最終結果の発表と同時に歓声が上がる

「さて、勝利の宴だ。食って飲むぞ!俺の奢りだ!」

「さっすがガウ様!よっ!太っ腹!」

ガウル様の言葉にジョーヌがヨイショする

「ガウ様、その前にミサの報奨金」

「おっとそうだった」

ノワールの言葉にガウル様は思い出したように反応する

「私のだけ、なんですか?」

「あぁ、王族や親衛隊は仕事の一環だからな。だから俺らは報奨金は出ねぇ。その代わり参加費も免除だがな。あ、参加費の元は充分取ったから安心していいぞ」

その後、報奨金の金額を聞いて私はビックリするのだった
たった5人しか討ち取っていないのだが、騎士や隊長クラスだったので1人1人のポイントが高く、その分金額も上乗せされているとのことだった

これが初めて自分で稼いだお金か・・・





戦場からダクワーズの町に戻り、ガウル様のポケットマネーで食べ物や飲み物を買い込み、宿の部屋で宴会をする
戦勝に沸くダクワーズは町中がお祭り騒ぎで、夜になっても外は賑やかだ

「あれ?これワイン・・・?って言うか皆普通にお酒飲んでる・・・」

乾杯の後、飲み物を一口飲んでグラスの中身に気付き、他に皆が普通に飲んでいることに疑問を持つ

「ミサ、どうかした?」

「皆普通にお酒飲んでるんだなって・・・」

ノワールがそんな私に気付いて声をかけてくる
飲酒によって頬が少し赤くなっているノワール・・・かなり可愛い・・・

「ミサの世界はお酒を飲まないの?」

「うん20歳まではね。でもまぁいっか」

そう言ってもう一口飲む

うーん・・・お酒の味ってわからないな・・・

まぁいっかと言いつつ、少し悪い気がしてチビチビとしか飲めない私だった

-10-
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