小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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ガレット南東部の海沿いの都市『アンコルポレ』
私達はこの町にも5日間滞在する予定となっている・・・はずだったのだが

3日目の朝・・・

『ガレット獅子団領国領主、レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワの名において、ビスコッティ共和国に侵略戦争を布告する!』

「なんだよこれ・・・」

「うちらがおらん間に王宮でなんかあったんか・・・?」

テレビの映像を見てガウル様とジョーヌがそう漏らす

侵略戦・・・戦興行の中でも1番大きな政治的交渉権を賭ける戦で、エンターテイメントの戦でも国を潰せる場合もあるという1番本物の戦争に近い形式。期間は1週間くらいから数ヶ月になる場合もあるとのこと

それをなぜ友好国のビスコッティに・・・?

「すぐに帰るぞ!全員準備しろ!!」

「「「「了解」」」」





「本当なら2日かけて帰る予定なんだが一気に行くぞ!!ミサも頑張ってついて来い!」

セルクルを走らせながらガウル様が私に向かって言う

「でも、セルクルの体力が持たないのでは・・・?」

途中で乗り換えるのかな・・・?

「あぁ、そうだった・・・セルクルを長距離走らせ続けたいときはな、輝力を使うんだ」

「輝力ですか?」

「輝力を与えることでセルクルは疲労が溜まりにくくなるんだ」

そんな効果が・・・

「まぁその分乗り手が疲れるんやけどな」

つまりセルクルの疲労を乗り手が肩代わりすると・・・

「慣れないうちは少しずつ与えて、疲労の色が見え始めたら量を増やす感じで」

「わかった」

ノワールのアドバイスに頷いて答える

「そんじゃ行くぞ!輝力解放!」





「はぁ〜・・・はぁ〜・・・」

6時間セルクルを走らせ、ヴァンネット城まで帰ってきた
私は長時間輝力を練り続けるのが初めてだったので、城に着くとすぐダウンした
今ジェノワーズの部屋の私のベッドで1人寝かされている
ガウル様達は今頃レオ閣下に話を聞いているところだろう

仲違いで侵略戦・・・流石にそれはおかしすぎる・・・
いったいどういう理由でそんなことを・・・

ベッドの中で考えては見るも、疲労で頭が回らず、睡魔に負けて私はあっさり眠りに落ちた





次の日・・・

「クソッ・・・わけわかんねぇぜ・・・」

午前の訓練の時間に訓練場でガウル様と合流する

「いつもどおりの戦興行だ、の一点張り。文句を言ったら、じゃあ参加せんでもいい、だぜ・・・」

ガウル様がイライラした声で話す・・・

「バナード将軍もビオレ姉さまも困惑してましたね・・・」

「王宮内大パニックや・・・」

ベールとジョーヌがそう話す
どうやらレオ閣下の独断で侵略戦に踏み切ったようだ

「あんな大々的に宣戦布告して、うちの国民は戦好きだからすっかりノッちまってるし・・・」

「もう実施はさけられない」

ガウル様とノワールがそう言う

王の決定を国民が後押し・・・こりゃどうやっても覆すのは無理か・・・

「それで、ガウル様達はどうするのですか?」

「腹立ったから参加しねぇって言ってやった」

「ガウ様が参加せえへんし、うちらも同じや」

ガウル様も戦好きなのに・・・相当頭にきたんだな・・・

「ゴドウィンが俺の隊を率いて参加するから侵略戦の状況はわかるし、いいだろ・・・うし、そんじゃ解散だ。昨日の疲れが残ってるだろうから訓練は無しだ」

ガウル様がそう言って屋内に戻っていく

「うちらも寮帰って休もか」

「そうですね」

ジョーヌとベールの言葉に私とノワールも頷いて移動し始めた





「にしてもホンマにビスコッティを潰す気なんやろか・・・?」

「流石にそれは・・・」

「無いと思いたい」

ジョーヌの言葉をベールとノワールは否定しきれない
これまでガレットがいくつもの国を侵略戦で潰してきたからだろう

「あ、レオ様」

「え?ウソ?!」

廊下の向こうからレオ閣下が歩いてくる
私のことがバレないかで、ジェノワーズは途端に慌てだす
私はレオ閣下の実物を初めて見る

「「「「おはようございます・・・」」」」

ジェノワーズは廊下の端に寄ってお辞儀をして挨拶をする
私も目立たないようにしながらそれに倣う

「おはよう」

レオ閣下はそう返して私達の前を通り過ぎていく
それを見て私達はホッと胸を撫で下ろし、一刻も早くここから去ろうと、寮への道を急ごうとした・・・

・・・が、しかし

「待て」

背後からレオ閣下の声
私達はピタッと止まる

「な、なんでしょう・・・?」

ギギギ・・・と油の切れた機械のような音が出そうなくらいぎこちない動作でジェノワーズが振り返り、ジョーヌが代表で返事をする
私はジョーヌからアイコンタクトを飛ばされ、ジェノワーズが呼び止められたということにして歩き出す

「お主らではない。そこのフードの者じゃ」

しかしそれも2歩目で呼び止められ、私も振り返ることに・・・

「なんでしょうか・・・?」

コツコツと靴音を鳴らして近づいてくるレオ閣下に、私は少し怯えながら返事をする

ヤバイ・・・背中が汗でビッショリだ・・・

「お主がミーサ、クロカントという者か?」

「は、はい。そうでございます・・・」

どうして私の名前を・・・

「レオ様、ミサのことをどうして・・・?」

「ルージュから聞いたんじゃ。お主らが問題を起さなくなった要因じゃとな」

「うぅ・・・」

ジョーヌがレオ閣下に質問し、レオ閣下の答えにジェノワーズは気まずそうな表情をした

「これからもしっかりと手綱を握ってやってくれ」

「は、はい・・・」

「うむ、頼むぞ」

私の返事にレオ閣下は満足そうにして去っていった

「「「「はぁ〜・・・」」」」

すっごい疲れた・・・

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