小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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50分くらいたった辺りか、ジェノワーズの3人がビスコッティの姫様を連れてミオン砦に来た

「お疲れさん。ルージュ、接待頼む」

「はい、ガウ様」

ガウル様はジェノワーズを労い、ルージュさんに姫様のお世話を頼んだ
誘拐されたといっても相手は1国の代表、キチンとした待遇で人質になってもらうようだ

「先陣はすぐ来るだろうからな。持ち場についてくれ」

「「「「了解」」」」

ガウル様の言葉に返事をして私はジェノワーズと共に持ち場に向かった





〜ガウルside〜

「おっす姫様」

姫様に待機してもらっている部屋に入り、軽く挨拶をする
非公式の場だし、昔からの付き合いだしこんなもんだ

「ガウル殿下」

「おおっとそのまま・・・」

こっちに近づいてこようとした姫様を止める
足元に姉上のペットでライオンのヴァノンの子供がいるからな・・・

「悪いなぁ急に攫っちまって・・・ちょっと勇者と一戦やってみたかったんでな・・・」

「そうだったんですか・・・」

謝る俺に姫様は微笑みながら返す

「あともう1つ、スマン姫様。勇者召喚なんてするくらい追い込んじまって・・・俺が姉上を止めていれば・・・」

そして本題に入り、今度は頭も下げて謝罪をする

「え?いや、その・・・連敗したのはビスコッティの責任ですし、ガレットやガウル殿下に責任は・・・」

「いや、でも・・・勇者召喚で呼ばれた勇者はもう元の世界には・・・」

「それについても私が知らなかったからで・・・」

「え?知らなかった?」

姫様・・・遊びで勇者召喚しちまった俺が言うのもなんだが、そりゃないぜ・・・

姫様の言葉に俺は唖然としてしまう

「あぁっ!でもですね!リコや学院の皆が今頑張って帰還の方法を探してくれていますから!」

ワタワタと慌てて言い繕う姫様の言葉に気になる言葉があった

「帰還の方法・・・?あるのか?」

「わかりません・・・」

俺の問いかけに姫様はしょんぼりとして返す

帰還の方法か・・・帰せないっていうのが常識だったから探さなかったな・・・

「ガレットの学院でも帰還の方法を探すように言っておく」

「ありがとうございます。殿下」

「だからと言っては何だが、もしそっちでわかったことがあったら教えてくれないか?」

もしかしたら、ミサを元の世界に帰してやれるかもしれない・・・

「わかりました」

「んじゃ、俺も準備するから。姫様はゆっくりしててくれ」

「はい」

そう言って姫様の部屋から出る

ミサを元の世界に帰す・・・

いい事のはずなのに・・・

胸が痛むような感じがするのは、なんでだろうな・・・





〜ミサside〜

「ありがとう、ジョーヌ」

「ええって」

私はジォーヌに運んでもらってミオン砦の屋根の上にスタンバイした
砦の敷地内が見渡せるこの場所は狙撃場所としては最適だ

侵略戦に参加してなかったこの1ヶ月間も訓練は続けていた。打つのに必要な最低限の輝力の量もわかったし、狙いをつける速度も命中精度もだいぶ上がった
私なりの戦での動き方の指針のようなものもできた

「敵襲ーーーっ!!」

「数2、親衛隊長と勇者!」

遠見の塔から敵の接近を知らせる報告の声が響く

「始まったみたいですね」

屋根の上で一緒に状況を見ているベールが言う

200対2って・・・

と思っていたら・・・

ドドドドドドドーン

森のほうからピンク色の砲弾が飛んできて、門前に展開していた部隊が吹き飛ばされた

あれが砲術か・・・

「たぶんあれはリコの砲撃」

「前に言ってたノワールの友達の?」

「うん」

じゃああの数を1人で打ってるのか・・・凄いなぁ・・・

「ミサやベールやったら打ち落とせるんやないか?」

絶え間なく打ち続けられる砲撃にジョーヌが私とベールを見て言う

「紋章砲でうまく誘爆させれたら防げますね。でもやりませんよ」

「なんでや?」

「こっちに銃兵とか砲兵とかがいるって教えちゃうじゃないですか。そんなことしたら砲弾がこっちに飛んできますよ」

「ま、そやな」

私の考えにジョーヌが納得する

指針その1、最初は目立たず状況を窺え

ここで攻撃を防いでも敵を倒せるわけじゃないからね・・・ぶっちゃけ弾と輝力がもったいない

しばらくすると砲撃が止んだ

「歩兵に詰め寄られてリコが落ちたかな・・・」

ノワールが淡々と状況を言う

「さて、うちらもスタンバイするか」

「そうですね」

「じゃあミサ、気をつけて」

「うん」

ジェノワーズが屋根から飛び降りる

さて私はもう少し状況を見て参入するタイミングを図らないとな・・・

そう思って砦内の状況を見ようとすると・・・

「塔馬より失礼仕った!」

そんな声が聞こえてくる。何か状況が動いているようだ

「おぉ、久しぶりでござるなエクレール。しばらく見ない内に大きくなった」

「ダルキアン卿!」

ビスコッティ側に援軍が来た様子

「ダルキアンだとぉ?!」

「いかにも、そこの斧将軍と勇者殿には、お初にお目にかかる。ビスコッティ騎士団自由騎士、オンミツ部隊棟梁ブリオッシュ・ダルキアン」

ゴドウィン将軍の言葉にダルキアンと名乗る女性は懐から書状を出しながら応える

「騎士団長ロラン殿からの要請を受け、助太刀に参った!」

書状を広げて見せ、戦の参加を宣言する

「危ないっ!後ろっ!」

なにかに気づいたイズミ君がダルキアン卿に向かって叫ぶ

「紋章剣」

ダルキアン卿は書状を手放すとその台詞と共に刀を構え、背後に紫色の紋章が現れた

「烈空一文字ッ!」

ダルキアン卿が刀を鞘から抜くと同時に振り切ると遠見の塔が切断された
私はその光景に唖然とする

「いやぁ〜助かったでござるよ、勇者殿。お、口上の途中でござったな・・・えーと、どこまで話したか・・・ん?」

不意にダルキアン卿がこっちのほうを見てきた
私は慌てて屋根に伏せて姿を隠す

「まぁともかく、押しかけ助っ人の推参でござる、さぁ!いざ尋常に・・・勝負でござる!」

ダルキアン卿は特に気にした様子も無く、口上を締めくり、その背後には花火が上がった

バレてない・・・よね?

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