小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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「ガァウゥルゥゥっ!それにビスコッティの、ヘッポコ勇者ぁっ!」

レオ閣下がガウル様がいると思われる場所の戸を壁ごと壊して突入した

「ガキどもぉ!!戦場でなにを遊んでおるかぁっ!」

「「はい!ごめんなさい!」」

建物の中から屋根の上のここまで拳骨の音が2つ響いてきた

降りれないのがむしろラッキーだったかな?





〜ガウルside〜

俺は姉上に拳骨をもらった後、姉上について姫様のところに向かっている

「申し訳ありません、レオ様。まさかこんなことだとは・・・」

「構わぬ。悪いのはこのバカ2名じゃ」

ルージュが謝り、姉上がそれに返す

ガチャ・・・

「レオさ」

「すまなんだな、ミルヒオーレ姫」

姉上は姫様のいる部屋に入ると姫様の言葉を遮るように淡々と謝罪をする

「戦勝の宴の邪魔など不粋の極み。正式な謝罪と埋め合わせは後日改めてしよう」

謝罪の間も姉上は姫様に目も合わせようとしない

「いえ、そんな・・・」

謝罪が済むと姫様に背を向けて歩き・・・

「ルージュ、後を頼む」

「はい、レオ様」

そのまま部屋から出て行く

「ガウル、最近連れておるフードの者はどうした?」

ふと立ち止まるとそんなこと言った

あ・・・そういえばミサのこと忘れてた・・・あいつ今どこにいるんだ?

「ガウル殿下、それはもしかしてミサという銃を持った兵でしょうか・・・?」

ミサの居場所を考えていると垂れ耳ことエクレールがそう言う

「あ、そうだが・・・なんで知ってんだ?」

「私を打ったのがそのミサという銃兵なんです・・・」

垂れ耳が拳を震わせながら言う

だから布を巻いただけの格好なのか・・・

「エクレもでありますか?」

とそこにリコッタやユキカゼが布を巻いた格好でやってくる
勇者が顔を赤くして目線を泳がせてる

うん、わかるぜ勇者・・・気まずいよな・・・

「リコにユキカゼ・・・私もってお前らもなのか?」

「ハイであります・・・ユッキーと一緒に爆弾落とそうとしたら間近で起爆させられたであります」

あいつ紋章持ちを3人も倒したのか・・・

「それで、垂れ耳。その者はどこにおるかわかるか?」

「私が打たれたときは屋根の上でした」

「そうか・・・」

姉上はミサの居場所を聞くと歩き出していく

「あ、姉上・・・」

「ガウル、ワシの隊の武器を勝手に持ち出したことはこの際何も言わん」

どこへ・・・?と聞こうとしたら姉上が少し怒っているかのような声で話し始める

よかった・・・銃に関してはお咎め無しのようだ

姉上の言葉に少しホッとする

「ワシとしては不本意な戦じゃったが親衛隊長に砲術師、オンミツ部隊筆頭を討ち取った功績は変わらんからの。褒賞等はできぬがせめて領主として労いでもせんとな」

「いやっそれは・・・」

まずい・・・ミサのことがバレる・・・

「なんじゃ?文句があるのか?」

「いえ・・・ありません・・・お供いたします」

姉上の気迫に押され、止める言葉が引っ込んでしまった





〜ミサside〜

あーあ・・・退屈だな・・・

私は屋根の上に座り、1人ボーっと夜空を見ている

城門の近くでダルキアン卿が獣玉のガレット兵達と話しているけど『屋根から降りれないので助けてください』なんて恥ずかしくて言えないし・・・

「ハァ・・・」

そんな感じでため息をつく

カチャ・・・

「ん?」

砦の窓の1つをルージュさんが開けた

「じゃあ行きますよ。姫様!」

「はい!勇者様!」

「せーのっ!行ってきまーす!」

そしてイズミ君が姫様をおんぶして窓から飛び出した

「ブリオッシュ!お久しぶりです」

「おぉ〜姫様お久しゅうござりま・・・」

ダルキアン卿の横を凄い速さで通り過ぎ、それによって獣玉のガレット兵達が吹き飛ばされた

「姫様を送ってきまーすーぅー」

その光景にダルキアン卿もポカンとした表情になっていた

カツッ

「勇者と犬姫は行ったか・・・じゃがコンサートには間に合うかの・・・?」

「ん?」

背後から誰かが屋根に飛び乗ってきたので私は振り返る

「え・・・?あ・・・レ、レオ閣下にガウル様・・・あ、あの、コンサートとは・・・?」

それはレオ閣下とガウル様で、私は慌てて立ち上がる
ガウル様の頭には大きなたんこぶがある

「なんじゃ知らなんだか・・・後20分で昼間の戦に勝った宴のコンサートが始まるんじゃ」

「え?でもそれは上手くやったからこの戦をしてたのでは・・・?」

「ジェノワーズが適当な仕事しやがったんだよ・・・今頃会場にいるスタッフはパニックだ」

「なっ・・・」

ガウル様の説明に私は絶句する

まずいも何も大問題じゃん・・・

「此度の戦で、親衛隊長と砲術師、オンミツ部隊筆頭を討ち取ったようじゃな」

レオ閣下はそう言って近づいてくる

「は、はい・・・」

ま、まずい・・・私にも拳骨が落とされる・・・

私は恐怖で思わず後ずさりしてしまうが・・・

私が下げた足の下に・・・屋根は無かった

「あ・・・」

お、落ちる・・・





〜ガウルside〜

「あ・・・」

姉上に殴られると思ったのか、ミサが後ずさり屋根から足を踏み外した

「!」

姉上が手を差し出すが、ミサはマントに着ているせいですぐに腕を出せず、その手を掴めない
姉上は落ちても死にはしないといった表情でそれ以上助けようとしない

そうだよな・・・フロニャルドの人間ならば・・・

「ミサ!」

俺は屋根から身を乗り出し、落ちるミサの引き上げようとする

「お、重・・・」

「じゅ、銃と弾のせいですからね?!」

しかし、ミサが(銃と弾を持っているから)予想以上に重くて引き上げることはできず、俺は下に降りることにする
落ちながらミサを抱え、紋章術で着地の衝撃を緩和しようとする

しかし、数秒もない落下時間で衝撃を完全に緩和させるだけの輝力は練られず・・・

ズン!

消しきれなかった衝撃が体を通り抜けていった

「ミサ、大丈夫か・・・?ミサ?ミサ?!」

足の痺れに耐えながら腕の中のミサに声をかけるが反応がない

「気を失っているだけでござろう、殿下」

「全く・・・ここは戦場で守護力も満ちておる場所じゃぞ。落ちても怪我はすまい。何を焦っておるのじゃ?」

「そういうわけでは無い様でござるよ」

「何?」

城門のほうから近づいてきたダルキアン卿と屋根から降りてきた姉上が話している

「ガレットにも勇者がいたとは驚きでござるな・・・しかも女性でござるか・・・」

あれ・・・?なんで・・・

そう思ってミサをよく見るとフードが外れていて、ミサの耳が丸見えになっていた

「ガウル・・・詳しく聞かせてもらうぞ・・・」

その声に恐る恐る姉上を見る・・・さっきとは比べもんにならないくらい怒っていた

あぁ・・・俺、死んだな・・・

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