小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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次の日

侵略戦は大きな交渉権を賭ける代わりに最後まで勝ち続けなければいけないので、昨日ガレットが負けたことで侵略戦は終結となった

「結局、イズミ君とは話せなかったな・・・」

ガレットに帰る軍団の中で私はそう呟く

私、向こうの世界でどうなってるんだろ・・・?





夜、ガレットの王宮の謁見の間

「まず本当の名はなんじゃ?」

「はい、今川美紗です」

レオ閣下に聞かれ、私は自己紹介をする

「ふむ、では美紗。ガウルに言われていたとはいえ、なぜに今まで黙っておったのじゃ?」

「はい、えっと・・・ガウル様から勇者は国の危機に呼び出されると聞きまして、私なんかが国の危機に何かできるわけも無いと・・・」

「そうか・・・」

私の言葉にレオ閣下はそう言って、少しガッカリした表情を見せる

「すみません・・・なにもできなくて・・・」

「よい・・・お主は望んでフロニャルドに来たわけではあるまい」

そんな様子に私は謝罪の言葉を口にするがレオ閣下の反応は少し冷たく感じた





「それにしてもバレたんやったらこの部屋で寝る必要ないんとちゃうか?」

寮のジェノワーズの部屋で話をしているとふとジョーヌが言う

「確かに部屋を用意してくれるって言ってたけど、断っちゃった」

勇者は国賓待遇だからそれなりの扱いをされる

「どうして?」

ノワールが理由を聞いてくる

「だってフロニャルドに来てずっと皆と一緒だったのに急に1人は寂しくて・・・」

「ミサ・・・?」

しんみりと語る私をベールが心配そうに見詰めてくる

「それに、私は非正規で非公認だけど、ガウル様の親衛隊なんだし、3人と一緒がいいなって」

「そっか・・・そんなら改めてよろしゅうな」

「よろしく、ミサ」

「よろしくね」

「うん・・・よろしく、みんな」





そしていい時間になったので寝ることに

「そういえばさ・・・ジョーヌとベールに聞きたいんだけどさ・・・?」

ベッドに入り、眠りに落ちる前に皆に話しかける

「なんや?」

「なんですか?」

「2人ってさ、ガウル様のこと、好きなんだよね?」

「「はぁ?!」」

私の突然の問いかけに2人は驚きの声を上げる

「な、なんや急に?!」

「そ、そうですよ?!」

2人は明らかに動揺して言葉を返す

「いや、前にノワールから聞いてたけど直接は聞いてなかったなぁって」

「「ノワ!」」

「ミサにならいいと思って」

2人がノワールに詰め寄る

「ま、まぁミサにならええけど・・・そうや、うちらはガウ様のことが好きやで・・・」

「そうですねぇ・・・私達は元は普通の家の女の子で・・・戦興行に参加したときに王宮の人の目に留まって・・・」

「それで、3食寝床付の親衛隊や」

今でも若いのにスカウトで入ったって・・・どんだけ優秀だったんだろ?

「そりゃ最初は訓練についていけんで苦労したで・・・ガウ様の隊は精鋭やから訓練はキツイし・・・」

「よくここで泣いてた」

「帰りたいって思ったことも何度もありましたね」

3人が懐かしそうに語る

「でもな・・・たまに訓練のない日にガウ様と遊べる日があってな・・・それがもうホンマ楽しくて・・・」

「「うんうん・・・」」

ジョーヌの言葉にノワールとベールが頷く

「気付いたらうちはガウ様のことが好きになっとったな」

そう言って照れ隠しであははと笑うジョーヌ

「私の場合は・・・弓の腕が上がる度にガウ様に褒めてもらえて・・・だから頑張ろうって・・・後はジョーヌと同じです」

ベールが恥ずかしそうに話す

「そういえばノワールは?」

「私も2人と同じ、訓練で褒めてもらったり、休みの日は本を読んでばっかりだったのをガウ様は外に連れ出してくれて・・・」

「そういや初めの頃はノワを連れ出すのに色々やったなぁ・・・」

「ですねぇ・・・」

ノワールはインドア型だったのか・・・

「ミサはどうなの?ガウ様のこと・・・」

「私も好きだよ・・・うん、好きに、なった・・・」

ノワールの問いかけに私も答える
答えは思ったよりスルリと出てきた

「そう・・・」

ノワールが短く答える
普段は声にあまり感情が乗らない彼女だが、その言葉からは嬉しさが感じ取れた気がした

「そうかぁ・・・ミサも一人前の親衛隊員になったんやな・・・」

「ですねぇ・・・」

ジョーヌとベールが嬉しそうに言う

「え?なにそれ、ガウル様を好きになるのが一人前の条件なの?」

「昔ノワが読んだ物語にな、そうあったんや」

「『好きな人のためなら何でもできる』って・・・」

それは男が女に対しての場合が多いような・・・逆が無いわけじゃないけど

そんな感じで夜は更けていった





〜ガウルside〜

「ヘーックショイ!!ズー」

チクショウ・・・さっきからクシャミが止まんねえ

カゼか?





〜レオンミシェリside〜

星詠みの結果には変わり無いか・・・

ガウルのバカのせいでもしかしたらと思ってはみたが、星詠みの結果は3ヶ月前と変わっておらんかった

ミルヒとビスコッティの勇者の死・・・正確には聖剣エクセリードと神剣パラディオンの所有者の死じゃが・・・

ミサはガレットの勇者として、この危機を救うわけではないようじゃな・・・

それもそうか・・・ミサ自身もそう言っておったしの・・・何もできぬと・・・

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