「どうですか・・・?」
ガレットに帰ってきて数日
私は異世界人だとバレてしまって、コソコソと生活しなくて済むようになったので気楽に過ごしている
そして、レオ閣下の隊の銃を使っていることも合わせてバレたので、私は職人さんに銃の点検をお願いした
「そうですね・・・だいぶ中が痛んでるようです・・・」
点検をしてくれている職人さんが解体した銃の内部部品を見ながら話す
「ダメ、ですか・・・?」
「はい・・・銃身も少しキテますので・・・これ以上は危険かと」
使い始めの頃に輝力込めすぎてたのがまずかったかな・・・?
輝力による射撃は銃身内に火薬の燃えカスが残らない代わりに輝力を込めすぎると銃身が歪んでしまうという欠点がある
「そうですか・・・ありがとうございました」
「そっかぁ・・・残念だったな・・・」
「はい・・・私が未熟なのが原因ですし・・・」
点検の結果をガウル様に報告すると、ガウル様が励ますように言う
「それよりこれからどうしましょう?」
「姉上に頼んでもう1丁もらうしかないよなぁ・・・」
「ですよね・・・」
正直レオ閣下にはミオン砦の1件で少し苦手意識ができてしまっている
とはいっても相手は領主、いつまでも苦手意識を持ったままじゃいけないよねぇ・・・
「よし、今から行ってきます」
意を決し、私はガウル様にそう言う
「今からか?俺はミオンでの一戦の報告書があるからついていけねぇぞ?」
「大丈夫です。1人で行けますよ」
レオ閣下の執務室
「なに?銃砲隊の銃をもう1丁じゃと?」
「はい・・・」
レオ閣下に事情を話して銃をもらえないかと頼む
「ふむ・・・あれも特選装備故数が無くてのう・・・」
レオ閣下が悩むように考え込みながら言う
「ん?そういえば、お主は一応勇者なのじゃなからエクスマキナが使えるかもしれんの」
「エクスマキナ・・・?」
「ガレットの宝剣じゃ。勇者のための武器とされておる。ついてまいれ」
そう言ってレオ閣下はどこかへ向かった
レオ閣下はあちこちに何か許可のようなものを取りながら回って、最後に厳重に鍵のかかった倉庫・・・というより保管庫にやってきた
「開けとくれ」
「「かしこまりました」」
途中で合流したガレット騎士団団長のバナード将軍と近衛戦士団団長のビオレさんがレオ閣下の命令を受けて保管庫の扉を開ける
宝剣のある保管庫を開けるには王でも許可と団長の随伴が必要みたいだ
ガチャ・・・
鍵を開けて・・・
ガコ・・・
重たそうな扉が開かれる
「入れ」
「はい」
レオ閣下について保管庫の中に入る
保管庫の中は暗く、空気がひんやりとしていた
中にはオーラのように輝力を纏っている大斧とその上に浮いている青い珠があった
「これがガレットに伝わる魔戦斧グランヴェールと神剣エクスマキナじゃ」
レオ閣下は浮いている珠のほうを取り私に渡す
大きさは・・・拳大くらいか・・・サファイアような綺麗な青・・・
そういえばレオ閣下もガウル様も青を基調にした服を着ているような・・・国の色ということかな?
一方グランヴェールにはエメラルドのような緑の宝石が填め込まれている・・・ガウル様の輝力の色もレオ閣下の輝力の色もこの色に近かったな・・・王家の色なのかな・・・
「自分が望む武器を思い浮かべてみよ」
「はい・・・」
私は珠を受け取り、今まで使っていたような銃を思い浮かべる
「・・・?」
しかし珠はうんともすんとも反応しない
「変わらぬか?」
「はい」
「なんと・・・」
「勇者の武器が勇者に反応を示さないなんて・・・」
レオ閣下の問いに私が答えると団長2人が驚く
「やはりの・・・」
レオ閣下は特に驚く様子も無く、むしろ予想通りだったような反応で私の手から珠を取り、元の場所に戻した
「レオ様、やはり、とは・・・」
「何、簡単なことじゃ、ミサはガレットの勇者ではない、それだけじゃ・・・」
バナード将軍の質問にレオ閣下はなんてことのないように答える
「勇者ではない・・・?ならば、いったい・・・」
ビオレさんがレオ閣下に問いかける
「勇者ではない、というわけではないじゃろう。実際、勇者召喚で異世界から呼び出されておるのじゃからの」
「「「?」」」
レオ閣下の言葉に団長2人と私は首を傾げる
「恐らくじゃが・・・ミサはガレットの勇者ではなく、\"ガウルの”勇者なのじゃろう」
「ガウル殿下の・・・」
「勇者・・・?」
レオ閣下の言葉に団長2人がポカンとした表情になった<<作品管理トップ