小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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「ガウル殿下の勇者とは・・・国ではなく個人の勇者だと?」

「いや、正確にはガウルの国の勇者じゃろう」

「ガウル殿下の国?」

バナード将軍の問いにレオ閣下が答え、バナード将軍はさらにわからないといった表情になる

「国とは言ってしまえば国土と国民、その2つじゃ。ワシら王族も国民の1人に過ぎん」

あー・・・なんか社会の授業でやったなぁ・・・
国の3要素は『国土・国民・政府』って・・・

「国土、これはフロニャの大地の守護の力、フロニャ力が満ちる場所。国民はそこに住まう者達。そしてその国民をまとめる王または領主。あのバカが遊びで勇者召喚をやったとき、それらは揃っておった。じゃから勇者召喚は成功し、ミサがやってきた」

「ヴァンネット城周辺のフロニャ力、ガウル殿下とジェノワーズ、ガウル殿下を王とした国が、召喚を行った瞬間存在していたと?」

「じゃろうの。あくまでワシの仮説じゃが」

「無茶苦茶です!その瞬間だけ国があった、なんて・・・」

ビオレさんがレオ閣下の説に異議を唱える

「確かに無茶苦茶じゃが、おかしくはなかろう。共和制や新しく建国された国では領主は血筋ではないし、支持されれば国民誰もがなれるものじゃ。領主が変わるたびに国が生まれ変わっておるようなものじゃ」

「ですが・・・」

「まぁ仮説じゃ、ワシにも本当のことはわからん。出るぞ」

レオ閣下はそう言って保管庫から出ていき、私や団長2人も後について保管庫から出た





夜・・・

「そんなことが・・・」

私とジェノワーズはガウル様の部屋で自由に過ごしていて、私はノワールに昼間の話をしていた

ジョーヌがガウル様とプロレスのようなものをしていて、ベールが審判をしている・・・ジョーヌなりのスキンシップなのだろう・・・しかし女の子が男の子に寝技を仕掛けるのは・・・えっと・・・十字固めだっけ?

「あくまでレオ閣下の仮説だけどね・・・」

「でもそれなら勇者召喚成功も納得がいく」

ノワールは本を読みながら私に言葉を返してくる

「イダダダッダダ・・・それで?ミサの武器はどうなったんだぁあああ?!」

ガウル様が寝技をかけられながら私に聞いてくる

「ん?ミサの武器どうかしたんか?」

「うん、今日職人さんに点検してもらったら、色々痛んでてこれ以上使うのは危ないって言われたの」

「そっかぁ、大変やっな!」

「あ゛〜〜〜〜〜っ!!!!」

寝技かけるか話すかどっちかにしなよ・・・

「ギブ?ギブ?」

「ノーギブ・・・」

ベールの問いにガウル様が首を横に振って答える

「それでレオ閣下にもう1丁もらえないか頼んでみたら、エクスマキナを使えるか試してみようって話になって・・・」

「ま、勇者だしな。っで?使えたか?」

寝技を解かれ、腕を軽く動かしながらガウル様が聞いてくる

「いいえ、反応しませんでした」

「さっきの話を聞く限りじゃそうだろうな」

今度はガウル様がジョーヌに寝技を仕掛けながら言う・・・四の字固めだっけ?

あ、聞こえてたんだ・・・

「それで?武器は結局どうなったんだ?ふんっ!」

「〜〜〜〜〜〜っ!!」

寝技を決め、ジョーヌが必死に耐えている

ガウル様・・・その位置ってジョーヌの下着見えるんじゃ・・・ジョーヌミニスカだし、四の字固めだし・・・

そう思うがノワールと話していたことが聞こえていたので口に出さないでおく

「レオ閣下が工房に発注してくれました。1週間から10日ぐらいでできるそうです」

「そうか、そりゃよかったっ!!」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」

私の言葉にガウル様がそう返し、さらに力を込めた
ジョーヌは目を見開いて耐えている

「ギブ?」

「(フルフル)」

ベールの問いかけに首を振って答える

「みゃあ・・・みゃあ」

「ん?おいで〜」

レオ閣下のペットのヴァノンの子供が眠りから覚め、鳴き始めたので、私は少し近づいてからしゃがみ、手を差し出して呼びかける

子供と言っても大きさは大人の猫ぐらいの大きさで・・・しかし中身は子供で好奇心旺盛で、甘えん坊で・・・つまるところ凄く可愛いということだ

「みゃあ」

「ん〜いいこ〜」

近づいてきた子ライオンの頭を撫でる
レオ閣下もヴァノンをこのくらいの時から育てたのかな・・・?

「みゃあ」

「お、遊んでほしいのかな?」

子ライオンが立ち上がるように前足を上げて私に縋ってくる

あぁもう可愛いなぁ・・・もう取って置きのもの出しちゃう

私はポケットの中から昼間に作ったあるものを出す

それは・・・

「ほーれほれほれ・・・」

「ミサ?なにやってるの?」

「ん?セルクルの抜けた羽を集めて作った猫じゃらしで遊んでるの」

ザ・猫じゃらし

紐の先にセルクルの抜けた羽を数枚結びつけただけのおもちゃを子ライオンが一心不乱に追いかけている

あぁ・・・お持ち帰りしたい・・・

子ライオンの様子を見て私はホッコリとした気分になる
しかししばらくすると子ライオンは疲れて再び眠ってしまう

「(ジ〜〜〜〜)」

「ん?ガウル様どうかしました?」

ふと視線を感じ、振り返るとガウル様がこっちを、というか猫じゃらしを見ていた
その後ろでジョーヌがグッタリしていて、ベールに介抱されている。ノワールは本に夢中で気付いていない

試しにガウル様の顔の前を右から左に動かしてみる

するとガウル様の顔が猫じゃらしを追うように右から左に動く

「・・・」

猫だ・・・

私は心の中でそう突っ込む
数回ガウル様の顔の前を往復させるとガウル様が手で掴もうとした

ヒョイ

私はそれを立ち上がって猫じゃらしを上げてかわす

「!」

それを受けてガウル様の表情が変わる

あ、なんかスイッチ入ったかも・・・

「ニャァアアアアッ!」

「?!」

猫じゃらし目掛けて飛び上がるガウル様
私はビックリして思わず後ろに下がろうとしてしまう
しかし、後ろにはベッドがあり、下がろうとした足がベッドに阻まれ、私はバランスを崩してベッドに倒れる

パシッ

「ん、お?」

猫じゃらしを掴んだところでガウル様が我に返り・・・

「おわぁっ!!」

そのまま私の上に落ちてきた

「「・・・」」

ガウル様がギリギリで腕を突っ張って私に重さがかからないようにして、私とガウル様の顔が至近距離になる

「ワ、ワリィッ!(///)」

「い、いえっ!私こそすみません・・・」

ガウル様が顔を真っ赤にして謝ってきて、私もおかしなことをしてしまったので謝る
しかしガウル様は気が動転しているのか退こうとしない

「ガウ様がミサを押し倒した」

そこにポツリとノワールの呟く声

「ガウ様・・・」

「大胆です・・・」

さらにジョーヌとベールの声

「いやっ!!これは違っ!!」

「ガウル様、釈明の前にまずは退いてください」

その後、誤解は解けたものの、寮の部屋に帰ってから散散からかわれてしまった

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