小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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次の日・・・

『突然ですが、フランボワーズ・シャルレーがヴァンネット城前より緊急ニュースをお伝えします!』

午前の訓練を終え、ガウル様とジェノワーズと一緒に昼食を食べていると、テレビから緊急ニュースの速報が流れ始めた

『つい先ほど、レオンミシェリ閣下より衝撃的な発表がありましたっ!』

「なんだ?今日は会見の予定なんて無いはずだが・・・」

「なんやろ?」

私達は食事の手を止め、テレビに注目する
テレビは会見の映像を流し始めた

映像にはレオ閣下とバナード将軍が並んで座っている

『4日後に予定していたガレット領民の戦闘競技会。この内容を変更しようと思う』

先の侵略戦と誘拐戦の2連敗、ビスコッティの(有能な)勇者召喚、武勇名高きダルキアン卿の帰国・・・この絶好の機会に黙っているとはガレット獅子団の名折れ、とレオ閣下は続け・・・

『よって、ガレット獅子団はビスコッティに新たな戦を申し込む!』

そう言った瞬間、大量のフラッシュが点った

『急な戦を申し込む手前、付随興行はビスコッティ側が好きにやってくれて構わん。商工会や個人商店の参加も大歓迎じゃ』

「要するに誰でも参加可能と・・・そうなると随分と大きな戦になりますよね・・・」

「あぁ・・・元々戦闘競技会に参加する予定の奴らはもちろんこれに参加するだろうしな・・・」

「1万人規模になるのは確定」

私の言葉にガウル様とノワールがそう返す

万単位の戦興行・・・凄いことになりそうだ・・・

『無論、賞金や賞品は大量に用意するぞ。皆稼ぎ時じゃ!こぞって参加してくれ!』

そして、参加受付の開始時期などを公開していき、最後に・・・

『そして、国家間の勝利懸賞として賭けたい物がある』

そう言って、カメラがレオ閣下から外れ・・・

ガタン・・・

「なっ・・・」

ガウル様が映像に映るそれを見て、目を見開いて席から立ち上がる

『ガレットの宝剣、魔戦斧グランヴェールと神剣エクスマキナ』

それは、つい昨日、私が保管庫で見たガレットの宝剣2つだった
レオ閣下はビスコッティにも、これに見合うものを出せと挑発する

「ふざけんなよ・・・何がやりたいんだ姉上は?!」

「国の宝剣に見合うもんなんてなぁ・・・」

「その国の宝剣のみ」

「こんなの急に言うなんて・・・」

4人の反応からこれが通常ではありえないことだということがわかる

レオ閣下は最後にガレット、ビスコッティの両国民を煽れるだけ煽って会見を終了した

「こっちのことはあとだ!ビスコッティに行くぞ!あっちの勇者に会って話をする」

「「「了解」」」

ガウル様の指示にジェノワーズが昼食をかき込んで動き出す

「ミサもついてくるか?」

「いえ、足手まといになりそうなので今回は残ります。他にやることもありますので・・・」

銃を手に入れないと私は戦に参加もできない・・・

「わかった」

ガウル様が部屋から出て行った





「あの、レオ閣下!」

レオ閣下を探して城中を回り、バナード将軍と打ち合わせをしながら歩いているレオ閣下を見つけ、声をかける

「ミサか、なんじゃ会見のことか?」

「いえ、それについては私が聞いても理解できないと思いますのでいいです」

政治や国交については正直全然わからない

「じゃあなんじゃ?」

「私の銃、この戦までに用意できますか?」

「・・・工房のほうには急がせるように言っておこう」

レオ閣下はそのことについては考えていなかった、という表情をして言う

1週間から10日かかる物を急がせても4日以内って・・・
万単位の戦の準備もあるのに・・・

「いえ、それなら私が直接言い行きます」

「そうか」

「では失礼します」

一礼してレオ閣下の横を通り過ぎる

「ガウルを・・・次期領主を頼むぞ・・・勇者」

「え?」

すれ違い様にレオ閣下から普段とは違う優しい声でそう言われ、私は振り返るがレオ閣下はバナード将軍と打ち合わせをしながら歩いていっていた

次期、領主・・・?

レオ閣下・・・まさか・・・





「はぁ?今度の戦までにだぁ?無茶言うんじゃねぇよ!」

「そこをなんとか!」

工房で職長さんに銃の完成を急いでもらうように頼むが、職長さんは無理だと言う

「今度の戦ってあと4日もねぇじゃねぇか」

うぅ・・・やっぱり無理かぁ・・・困ったなぁ・・・

「大体4日間って言ったら火薬式の発射機構だって作れやしねぇ」

「!・・・では輝力式でのみ使います。それでどうですか?」

私は職長さんの言葉にならばと思い、そう言う

「それでもまだな・・・ボルトアクション機構が・・・」

「それも取っ払って構いません。もう最低限狙いがつけれて打てればいいですから、お願いします!!」

私はそう言って頭を下げる

「本気か嬢ちゃん・・・?」

「はい・・・本気です」

ガウル様やジェノワーズは今度の戦に当然参加するはず・・・私だけ1人観戦なんて嫌・・・

「あの、職長」

「どうした?」

そこへ1人の職人さんが話に入ってくる
その職人さんは私の銃を点検してくれた人

「この人ならこれが使えるのではと思いまして・・・」

そう言って1枚の設計図を机に広げる
それは今まで使っていた銃よりスリムな銃身をした銃の設計図だった

「バカ言うな!こいつは完全輝力式でありながら込める輝力の量を精確にしないと暴発する代物だぞ?!」

職長さんは、職人としてそんな危ないもの使わせられるかっとその意見を切り捨てる

「この人の使っていた銃を点検したのですが、かなり使い込まれていました。しかも輝力式の発射方法のみで」

「なんだと?」

「この人の銃は、銃身や圧縮室が多少歪んでいましたが、銃身に火薬の燃えカスは全く無く、火薬式の発射機構はほぼ新品の状態でした。これをそのままとは言わなくても、銃身や圧縮室の強度を多少上げるだけでいけると思います」

職人さんが職長さんに詰め寄る

「嬢ちゃん、これまで訓練実戦合わせて大体何発打ってきた?」

「わかりません。訓練では時間いっぱい打ち続けた日もありましたので」

輝力式の弾はあまり使われていないのか管理も甘かったから好きなだけ使えたし・・・

「職長・・・」

「よし!その線でいくぞ!ボヤボヤすんな!その銃だって作るのに5日かかるんだ!ボケッとしてる時間はねぇぞ!徹夜で3日、いや2日半で仕上げるぞ!」

「はい!」

職長さんが決断をして、指示が飛び、職人さん達がそれに受けて行動を変えた

「ありがとうございます」

「なぁに、ここでできねぇって突っぱねたら職人の名折れだ。大丈夫だ、安心して使えるもんを作ってやるからな」

頭を下げてお礼を言う私に、職長さんは頭をポンと撫でながらそう言った
暴発の危険と聞いて少し恐怖心ができてたのを見透かされてたようだ・・・

その後、城に戻るとビスコッティの姫様が戦興行の受諾の会見を行っている中継が流れていた

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