小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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ガレットとビスコッティの戦興行は両軍2万人を超えるフロニャルド全土でも記念日や祭り事での開催を除けば、1年に1回あるかないかの大規模なものになった

場所はメインフィールドとして両国国境にあるチャパル湖沼地帯大アスレチックフィールド、サブとしてガレット側渓谷アスレチックフィールドとビスコッティ側山岳アスレチックフィールド、さらに本陣としてガレット側はグラナ浮遊砦、ビスコッティ側はスリーズ砦と、計5フィールドを使った大戦と呼ばれる形式で行われる

大戦は、複数のフィールドに跨って行われる形式。フィールド移動中はフロニャ力の薄い街道を通るのでフィールド移動中は戦闘禁止など、大戦用のルールがある
制限時間も長く、一般参加者や紋章の無い一般兵などは獣玉になっても元に戻った後で戦場に復帰可能で、騎士達にとっては体力の配分もしなければならない過酷な形式だ





『おはよう』

ヴァンネット城前広場、早朝より集まっていた大戦の参加者に向かって、レオ閣下が拡声器で挨拶をする

『今日はビスコッティとの大戦じゃ。昨日はゆっくりと休んだか?朝食はしっかりと食べたか?遠征戦故行軍はハイペースじゃ。体調不良など異常を感じたらすぐに近くにおる医療班の者に言ってくれ』

レオ閣下が注意事項や全体の作戦などを説明していく

『それでは隊列を組むぞ。バナード騎士団長他騎士団の者の指示に従ってくれ。移動開始じゃ!』

レオ閣下の言葉に答えるように参加者がおーっと歓声を上げた





「・・・」

「ミサ、どうした?」

戦の開始地点のチャパル湖沼地帯大アスレチックフィールドまでの行軍中、セルクルに乗った私は隣で同様にセルクルに乗っているガウル様に不意に話しかけられる

「いえ、特には・・・」

実は昨日レオ閣下と話したことが気になっているとは言えない・・・

「ならカメラにアピールでもしてやれ。撮ってるぞ」

「え?は、はい」

ガウル様はカメラを指差してそう言い、私はカメラに向かって手を振る

『ガウル殿下とガレットの勇者様がカメラに手を振ってくれています。ありがとーございまーす!』

カメラの近くにいたリポーターのフランボワーズさんが手を振り返している
ガレットに帰ってきてから国営放送のインタビューを受けたときのインタビュアーがフランボワーズさんだった

そのままカメラを通り過ぎ、一団が森林部に入る

「ガウル様こそ、どうしたのですか?何か考え事をしているような顔をしていますよ」

カメラに撮られてない場所に入ってから表情が暗くなったガウル様に話しかける

「あぁ・・・結局宝剣の使い道は聞き出せなかったなぁって・・・」

「そうですね・・・」

ガウル様は宣戦布告の日からずっとレオ閣下に宝剣の使い道を聞いていたが、レオ閣下はそれに一切答えようとしなかった

領主の座を賭けてまで宝剣を求める理由、か・・・ん?領主の座を賭けてまで?この戦が終わったらレオ閣下は領主を辞めるかもしれない。なのに宝剣を手に入れるの?

「賭けた宝剣は期間が過ぎれば返されるのですよね?」

「あぁ、最大60日だったな・・・」

60日間だけビスコッティの宝剣をガレットに置くこと・・・それが領主の座を賭けてまですることかな?

「ますますわからなくなりました・・・」

「同じく・・・」

私とガウル様が揃って肩を落とす

「バァカモン!オバケなんてもん出てきたら叩き斬ってそれで終いよぉ!」

後ろからゴドウィン将軍の声が聞こえてくる
私とガウル様は振り返って後ろを見るとゴドウィン将軍がジェノワーズと話をしていた

「オバケ?」

「あぁ、グラナ砦は出るって噂なんだよ」

「なるほど・・・」

オバケが怖い理由は物理攻撃が効かないかもしれないから、というのもあると思うんだけどな・・・

あ、ノワールが拗ねた・・・ゴドウィン将軍なに言ったんだろ?

「知るかぁ〜っ!ボォケェッ!」





お昼過ぎにチャパル湖沼地帯大アスレチックフィールドに到着
昼食を済ませて両軍勢が整列をしている

『さぁ!昼食を済ませて両軍準備万端。あとは戦開始の時間を待つばかりとなりました。チャパリ湖沼地帯実況はビスコッティ国営放送エビータ・サレスと』

『ガレット国営放送ジャン・カゾーニがお送りします』

中継用の実況さん達が自己紹介をしている

「俺の隊は開始と同時にここを突っ切ってスリーズ砦に向かうぞ!」

『了解』

ガウル様が隊に指示を出し、隊員の兵士が返事を返す

「ミサも一緒に来てくれ」

「は、はい」

一緒に、か・・・

「どうした?」

「い、いえ・・・大丈夫です」

おかしな妄想は戦が終わってからにしよう

「ジェノワーズ、ゴドウィン、ミサは白兵戦できねぇから何かあったら守ってやってくれ」

「「「「了解」」」」

ガウル様の指示にジェノワーズとゴドウィン将軍が返事をする

『まもなく開戦です』

実況の言葉に一同の表情が真剣なものに変わる

『5!・・・4!・・・3!・・・2!・・・1!・・・・・・開戦!!』

開戦と同時に花火が上がる

「ガレット獅子団!進軍開始!」

『わぁぁぁぁっ!!』

バナード将軍の指示で一般参加者と一般兵が前進し始めた

「俺らも出るぞ!」

『了解』

1呼吸置いてから隊が動き始める

ドーン

空中で爆発が起き、矢があちこちに吹き飛ばされる

あれはイズミ君と親衛隊長かな・・・初っ端から飛ばすなぁ・・・

「ガレットの勇者だ!」

「マジだ!かかれーっ!」

「げっ・・・」

ビスコッティの一般参加者や一般兵が私を見つけて突撃してくる

やるしかないか・・・

私は左手に手綱を巻きつけて背中の銃に右手をかけて紋章を起動、身体強化をして右腕一本で銃を持ち上げる

「ふぅ・・・一度に2つ以上の効果を出せないのがキツイなぁ・・・」

セルクルの手綱を持っている左腕の上に銃身を載せ、身体強化を切る
そして左腕を支えにして銃を構えて

「輝力弾散弾」

バァン

いつもの輝力式の弾丸発射ではなく、紋章砲を放つ
銃が使えない間に考えた輝力を弾丸として打ち出す方法だ
散弾の名の通り、複数の小さな弾丸が飛んでいく。小さな弾丸だからと侮ってはいけない。輝力の弾丸だから威力は高めだ・・・なぜなら

ドドドドドーーーーン

一発一発が爆発するからだ
輝力の弾丸はどれもなぜか爆発する

「白兵戦ができないなら近づかせない。これ鉄則だよね・・・お?」

あそこにいるのは親衛隊長・・・ちょうどよく何か投げたような体勢だ

「いただき。輝力弾高速追跡弾」

追跡弾・・・弾の軌道が曲がって多少の狙いのズレを修正してくれる輝力弾ならではの弾

バァン

『おーーーーっと?!ビスコッティ親衛隊長また脱げたぁっ!!!』

『あらあら、これで3戦連続ですねぇ』

「ミサ・・・あいつに恨みでもあんのか?」

「いえ、そういうわけではありませんが・・・なぜかちょうどよく隙があるときに視界に入りますので・・・」

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