小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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「ミサ様」

屋台で飲み物や食べ物を買っていると不意に声をかけられる

「ルージュさん、どうかしましたか?」

声をかけてきたのは近衛メイド隊のルージュさん

「つい先ほど、学院から勇者召喚に関する報告書が届いたのですが、ガウル様を知りませんでしょうか?」

そう言うルージュさんの手には巻物が・・・

「あ、私が渡しておきます。今からガウル様のところに戻るとこですから」

「そうですか、ではお願いします」

私はルージュさんから巻物を受け取り、ガウル様のところへ戻った





ガウル様の下に戻るとイズミ君と親衛隊長の他にジェノワーズや金髪のベールよりも巨乳の人がいた

「えーっとなになに・・・」

ガウル様に巻物を渡し、ガウル様は巻物を開いて読み始めた

「わかったのは再召喚の条件だけだとよ。帰す方法じゃねぇってさ」

「そうですか」

「シンク殿よかったでござるなぁ。帰ったら2度と来れないとかじゃないようでござるよ。あとは帰る方法だけでござる」

「ですね」

結果を聞き、イズミ君の表情が明るくなる

「先ほどリコも学院から手紙が来ていた。案外もう帰る方法もわかっているかもしれんぞ」

「ホント?」

親衛隊長の言葉にさらに嬉しそうにするイズミ君

「それにしてもリコ、遅い・・・」

「なんやそんなに連絡が長引いとるんかなぁ?」

「そうですねぇ・・・」

ジェノワーズがなかなか帰ってこないエルマールさんを心配する

「うし、探すか。この報告書も見せないといけねぇし。俺とミサ、ジェノワーズは近場の森を探すからシンク達は会場内だ」

「「「「了解」」」」

ガウル様の指示に私とジェノワーズはそう返事する

「わかった」

「わかりました」

「わかったでござる」

ビスコッティ側の3人も了承し、エルマールさん探しが始まった

「よし、とりあえず二手に分かれて右回り左回りで森を探していくぞ」

そして私とガウル様が右回り、ジェノワーズが左回りで行くことに・・・





「ヒック・・・ヒック・・・」

エルマールさんは呆気なく見つかった
ライブステージ裏の目立たない所で1人で座り込んで泣いていた

「どうしたリコ?」

「殿下・・・それにガレットの勇者様・・・どうして、でありますか・・・?」

エルマールさんはガウル様が声をかけると泣いていたのを隠すように目元を擦り、気丈に振舞う

「えっと、ガレットの学院から勇者召喚の報告書が来てね、エルマールさんにも見せないとって話になって、今みんなで探してたんだよ」

「ガレットの学院でありますか・・・?」

私が理由を言うとエルマールさんはガウル様が持っている巻物を見つけ、それを受け取ると食い入るように読む

「勇者再召喚に関する報告だから帰す方法じゃねぇんだけどな。そっちはなんかわかったか?」

「・・・帰す方法と帰る条件がわかったのであります・・・」

ガウル様がそう聞くとエルマールさんはショボンとする

「よかったじゃねぇか。これでシンクもミサも元の世界に帰してやれる」

「あ・・・その・・・」

ガウル様の言葉にエルマールさんが何かを言い辛そうにしている

「帰れるのは・・・シンクだけ、なのであります・・・ガレットの勇者様は・・・条件から外れてるのであります・・・」

「なんだと?!」

エルマールさんの言葉にガウル様が声を上げる

「勇者を元の世界に帰す条件の1つに、召喚から16日以内であること、と記されていたであります」

「なっ・・・じゃあすぐに帰す方法を探していたら、帰せたかもしれなかったのか・・・」

エルマールさんの説明にガウル様はそう言って膝を付く

「エルマールさん、イズミ君達に教えに行ってあげて、まだ会場内を探してると思うから・・・」

「でも・・・」

「いいの、今は2人にして・・・」

「はいであります・・・」

エルマールさんがこちらを気にしつつも会場のほうに歩いていく

「ガウル様、ちょっと歩きましょうか」





会場から少し離れた森の中、湖の近く
言い忘れてたけど、会場はチャパル湖沼地帯のフィールドの一角に作られている

「あー水が冷たー」

私は裸足になってパシャパシャと湖に入っていく
比較的温暖な気候のガレット周辺でも、春の夜の水はそれなりに冷たかった

「元気そうだな・・・ミサはショックじゃねぇのかよ?帰れないんだぞ?」

そんな私を見てガウル様が言う
実際私は不思議とそこまでショックは受けなかった・・・ただ、ああそうなのか、という程度・・・

「よくわからないという感じです・・・最初にフロニャルドに来たとき、ガウル様に言われても実感するのに数日かかりましたし・・・あるいはそのときにもう帰れないと聞かされていたからかもしれませんね」

「それでいいのかよ・・・?」

「では、私はどうすればいいのですか?泣いても怒っても・・・結果は変わらないじゃないですか・・・」

なら、受け入れるしか、ないじゃないですか・・・

「ガウル様は私に帰って欲しかったのですか?あんなショックを受けるほど・・・私は・・・」

邪魔で帰ってほしい存在ですか・・・?

チャプ・・・チャプ・・・

「お、おい・・・」

私はさらに水の中に入っていく・・・服が濡れるのも気にせずに・・・

「ガウル様、私はもう、この世界の住人なんです。召喚されて、ガウル様に帰れないと言われ、非正規で非公認の親衛隊にしてもらって・・・」

そう言いながらドンドン水に入っていく・・・

「銃の扱いも覚えて、戦にも出ました。誘拐戦や今日の戦では1人で不意打ちでですが紋章持ちも討ち取りました・・・」

水が腰の辺りに来たところで私は止まって振り返り・・・

「それでも私はっ!ガウル様にとって、帰ってほしい存在なんですかっ?!!」

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