小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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「お食事お持ちしました〜」

少しして、部屋を出ていった2人の子が食事を持って戻ってきた

「ご苦労さん。うまくやれたか?」

「いや〜ルージュさん誤魔化すのに苦労したわ〜。ガウ様が体調を崩したんかと勘違いして部屋に行こうとしたときは焦ったわ」

ガウル様の言葉にトラ耳の子が疲れた表情をしてそう漏らす

食事を持ってきた2人はテーブルに朝食を並べ始める
朝食は洋風みたいで、スープとサラダ、それとベーコンのようなものを焼いたものとバスケットに入った小さめのパンだった

「えっと・・・ごめんね。怪しまれるとまずいからあまり多くは取って来れなかったんだけど・・・」

途中、ウサギ耳の子がそう言って謝ってくるが、私から見ると5人分どころか7,8人分くらいあるように見える

「いえそんな・・・私はそのパンだけで充分ですよ」

私はバスケットに入ったパンを指差してそう言う

「え、でも・・・」

「少食であまりお腹に入らないんです。にしても皆さんよく食べるんですね・・・」

「そらまぁ訓練もあるから動くしなぁ・・・」

テーブルに並べられた朝食の量に驚いているとトラ耳の子がそう答える

「うし!さっさと食っちまうぞ!早くしないと訓練に遅れるからな」

「「「はいガウ様」」」

ガウル様の言葉に3人が返事をして席に付いて食べ始める
私もそれに倣い空いてる席に座ってパンと取り分けてもらったサラダと焼いたベーコンのようなものを食べる

さすが王宮の食事・・・今まで食べたことないくらいおいしい・・・

「それで、これからどうする?ってその前に名前を聞いてなかったな。名前は?」

「はい、今川美紗と申します」

ガウル様に尋ねられて私が名前を言う

「うちはジョーヌや。ジョーヌ・クラフティ」

「ベール・ファーブルトンです」

「ノワール・ヴィノカカオ」

続いて3人のお付の子がそれぞれ自己紹介する
トラ耳の子がジョーヌさん、ウサギ耳がの子がベールさん、黒髪の猫耳がノワールさんっと・・・

「「「3人合わせてガウ様直属親衛隊トリオ、ジェノワーズ!」」」

「は、はぁ・・・」

3人が声を揃えて言い放ち、私はそのテンションに圧倒される

私と同い年くらいに見える女の子達なのに親衛隊ってことは軍人なんだ・・・さっきも訓練って言ってたし・・・

「っで改めてこれからどうすればいいか・・・?美紗の希望を言ってくれ。悪いのは俺らだからできる限り希望に沿うようにしてやる」

自己紹介も済んでガウルが話を戻す

いや、そう言われても・・・まだ帰れないってことに気持ちの整理が付いてないのに・・・

「ガウ様、流石にすぐには決められないのでは・・・」

「まぁそうだよな・・・」

悩む私を見てベールさんがそう言い、ガウル様が頷く

その後は誰も話さず、ただ黙々と朝食を取っていた

いつもは入らない量の朝食を食べ切れたのは朝食のおいしさが、それとも泣いたからか・・・





朝食後、私のこれからのことを話す

「先のことは一先ず置いておくとして、目先のことだな。まずは・・・」

「服」

ガウル様の言葉にノワールさんが短くそう言う
私はまだパジャマのまま。靴は無いし、下着の替えも無い

「ノワやうちと同じくらいやし、それはなんとかなるんやないか?」

「そうだな。頼む」

「はいガウ様」

「任しといて」

「問題はどうやって寮まで行くか、ですねぇ〜」

4人がそれぞれ腕を組んでうーんと悩みだす

「?普通に行ったらダメなんでしょうか?」

「いや、そうすると美紗が勇者だってバレちまうからな・・・」

私の疑問にガウル様が答える

「勇者?勇者って何なのですか?」

まさか物語の中の勇者のように何か強大なものと戦ったりするものなんだろうか?

「勇者召喚で異世界から召喚された者、それが勇者」

「ホンマは国や世界の一大事に呼ばれるんやけど・・・ここ百年くらいは誰もやった記録はないなぁ」

ノワールさんとジョーヌさんがそう説明する

「一般には絵本の中のヒーローのような感じですねぇ〜」

「だから国の危機でも無いのに勇者を呼んだことがバレたら・・・」

ガウル様の言葉に本人も含めた4人が顔を青くする

国の危機に対処を任されても私なんかが何かできるわけでも無いし、バレないほうがよさそうだ





そんな感じで私を隠す方法を考えて結局・・・





ゆっさゆっさ・・・

『ジョーヌ様、それはいったい・・・』

『な、なんでもないでっ!急ぐで!』

私はシーツに包まれてジェノワーズの3人に担がれて運ばれていた
シーツに包まれて運ばれながら、私は・・・

あぁ・・・すれ違う人の反応を見るに、こいつらはきっとしょっちゅうこんなことをやってんだろうな・・・

そんなことを考えていた





彼女達の寮の部屋に着いたようで、シーツを外される

「はぁ〜」

シーツの中で息苦しかった私はシーツを外されてすぐに大きく呼吸をする

「はいこれ服」

私が呼吸が落ち着いた辺りで、もう既に着替え始めていたノワールさんが私に服を渡してくる

「ありがとう」

それを受け取ってパジャマを抜いて着替えようとして・・・

あ、そうそう・・・

「あの、ジョーヌさん?」

「ん?なんや?」

私はパジャマの上を脱ぐ前に手を一旦止めてジョーヌさんに話しかける

「あの・・・その・・・」

私は自分の胸の辺りを触れながら少し恥ずかしさを感じつつ・・・

「ブラ、貸して、くれ、ない・・・?」

まぁ言い切ると案外恥ずかしくなかったね・・・女同士だし・・・

「ん、ええで」

ジョーヌさんが自分の衣服が入ってるタンスから1枚取って渡してくる
その横でノワールさんが崩れ落ちるように膝を付いていた

見た目サイズが同じくらいかなーっと思ってたけど、うん、ピッタリだ。よかった・・・

結局、上はノワールさんのだと胸周りがキツかったので少し大きいけどジョーヌさんの服を、下はそのままノワールさんの物を借りた。靴はそこまでサイズが分かれてるわけではないようなので一般兵に支給される靴を1足持ってきてもらって、隙間に詰め物をして履いた

ちなみに上下1セットで借りたほうがいいかと思って下もジョーヌさんから借りようとしたら、今度はウエストが緩過ぎてジョーヌさんが崩れ落ちたのは私達4人だけの秘密

-3-
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