小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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『レオンミシェリ閣下〜』

『ガウル殿下〜』

『勇者様〜』

大戦が中止だけど一応終了して、遠征先からヴァンネット城まで通る町でパレードのような行軍をして帰っている
行軍している騎士や将軍はみんな沿道の民に笑顔を振りまき、手を振ってサービスしている
隊列の都合上、私がガウル様の隣にいて凄く気まずい

「ガウル、それにミサも、表情が硬いぞ。どうかしたのか?」

「「いえ(いや)・・・なんでもないです(ねぇよ)・・・」」

人が少ない場所に入り、私のすぐ前にいるレオ閣下が私とガウル様にそう尋ねる
それに私とガウル様が同時に答え、さらに気まずくなる

「?」

レオ閣下はそんな私達の様子に首を傾げる

ガウル様が落ち込んでいると言うことは、昨日のあの言葉はプロポーズの意味だったのだろうか・・・?そうだったとしても元の世界ではまだ結婚できない14歳の私にプロポーズをされても返事に困る。誰かと結婚して妻になるということも想像できないのに、これから国を背負う人の妻に、だなんて・・・

昨夜ジェノワーズに話した理由も大きいが一晩考えて色々と理由が出てきてさらに混乱してきた

ガウル様があそこまで私を想ってくれていたことは素直に嬉しいけど・・・障害が多い・・・

「「はぁ〜・・・」」

私がため息をつくと、隣からもため息が聞こえてきた





〜ガウルside〜

昨日のあの言葉、とにかく俺にとってミサが必要な存在だって言いたかった・・・

プロポーズに取られても仕方ねぇよな・・・いや、そういう風に取ってもらって構わねぇけど・・・

結果がどうだ、このギクシャクした感じ・・・

あぁ・・・俺が死にてぇ・・・

「「はぁ〜・・・」」

俺がため息をつくと、隣からもため息が聞こえた





〜レオンミシェリside〜

なんじゃこの2人・・・さっきから息ピッタリに落ち込んで・・・

昨日の大戦が終わったときはまだ普通に話しておったはずじゃが・・・何かあったのか?

ふーむ・・・ワシも領主故色恋には縁がないからの・・・

誰かに相談しようにもビオレもバナードも他側近も皆一人身じゃしの・・・

ビスコッティ・・・も似たようなもんか・・・

仕方がない・・・ワシに何かできるとは思えんが、話くらい聞いてやるか・・・

よくよく考えるとワシは領主としてミサに何のもてなしもしておらんしな・・・





〜ミサside〜

夜、私はレオ閣下に夕食を誘われた
領主として勇者と会食がしたいと言われたので、普通にそれに応じた

「ホレ、飲むとよい」

「あ、ありがとうございます・・・」

食後にお酒を勧められ、私はそれを受ける
元の世界の飲酒の法律なんてどうでもよくなってきている

ただ、夕食中はいたメイドさん達がなぜか今は1人もいなくて、レオ閣下がお酒を注いでくれているのはどうしてなんだろう・・・?

レオ閣下はグラスを少し上げて、乾杯の動作をして、私もそれに倣い、同じようにグラスを少し上げる

「酒を飲むのは初めてか?」

私のそんな様子にレオ閣下が質問する

「いえ、前にガウル様の視察でダクワーズに行った際にそこで軽く・・・」

「そうか」

「ですが宿の部屋ででしたので乾杯もしませんでした」

あの頃にはこんな風に悩むなんて考えもしなかったな・・・

「なるほどの。それで、ガウルと何かあったのかの?」

「?!ゴホッゴホッ・・・」

レオ閣下の質問に私は咽て咳き込む

直球過ぎるでしょ・・・

「すまぬの、ワシもあまり色恋には縁が無い故、どう聞いてよいものかわからぬのでな・・・大丈夫か?」

「はい・・・」

レオ閣下の言葉に私は涙目で答える

「人払いもしてあるからの、気にせずに話すとよい」

「は、はぁ・・・」

これか会食の目的だったのかな・・・?

私はレオ閣下にビスコッティの学院の調査結果で私が元の世界に帰れないことがわかったことを言う

「そうか・・・それは残念じゃったな・・・」

「はい・・・でも、それ自体は召喚された日にガウル様から聞かされていたので、あまりショックは受けませんでした」

「では何が・・・?」

「その後、ガウル様と少し話して・・・」

そして湖でのやり取りを話す・・・

「それで?ガウルのプロポーズを断ったと?王族からのプロポーズを断るなんてお主もやるのぉ・・・」

レオ閣下は少し酔いが回ってきてるようで、頬を赤くしてニヤニヤと笑い、楽しそうに言う
私は相変わらずチビチビと飲んでいるので酔っていない・・・と思う

「レオ閣下はガウル様が大人になったら領主の座をお譲りになるつもりに変わりは無いのですよね?私は領主の妻になる覚悟は・・・まだありません・・・」

「・・・その覚悟というのは自分1人で領主になったガウルを支えるとかいう類のものか・・・?」

「え・・・?」

私の言葉にレオ閣下は真剣な表情をして私に質問し、グラスに残っているお酒を飲み干す

「そんなものはな・・・無いほうがよい・・・そんなものがあったら困っても周りに相談もできなくなるからの・・・ワシは今回の件でそれを痛感した・・・もっと早くから誰かに相談してれば・・・ミルヒも民も・・・悲しませずに済んだのではないか・・・とな」

「でも私は・・・元の世界では普通の子供で・・・国のことも政治のことも全くわからないですし・・・王妃になったら外交の場にも出たりするのでは・・・?」

国のことに無知な王妃ってイメージ悪そうだし・・・それがガウル様の悪評に繋がったりしたら・・・

「ワシだって領主とはいえ、政治を一から十まで全部しとるわけではないし、国のことを全て理解しておるわけではない・・・それぞれの担当の者がおってその者からの報告を聞いておるだけのところもある・・・領主なんてそんなもんじゃ・・・外交の場に出るのが不安ならこれから学べばよかろう・・・」

「は、はぁ・・・」

「前にも言うたが、深く考えるでない。1人で何でもできると思い込んでやっても、ワシのようになるだけじゃぞ・・・」

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