小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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「ここです」

ガチャ・・・

ガウル様がいる部屋まで来て、ベールが戸を開ける

「飲み物お持ちしましたよ」

「ミ、ミサっ?!」

「ごめんね・・・お客さまなのにっ!」

部屋の中ではガウル様とイズミ君が腕相撲をしていた

「「フンヌ〜〜〜ッ!!」」

腕相撲は拮抗しているようで、なかなか勝負がつきそうに無かった

「ガウル様、早く勝って机の上を空けてくだ・・・」

「キャッ!」

ドン

ジュースを運びながら2人に近づいていくと、不意に背中に何かが勢いよくぶつかる

「ちょっ・・・ベール・・・」

それは私が部屋に入った後、戸を閉めて私の背後にいたベール・・・
彼女が何かに躓いて私の背中に体当たりをした。私は彼女の勢いをもらって真っ直ぐガウル様のほうへ・・・

「ベール?!このバカッ!!ミ、ミサ・・・ま、待て!こ、こっちに来るな!!」

「無理無理無理〜〜〜〜っ!」

何とかバランスを取りながら止まろうとする私にガウル様が必死に叫ぶ
しかし勢いよくベールにぶつかられたので止まるに止まれず・・・

ガッシャーン

結局私とガウル様はジュースを頭から被ってしまった

「「ベール・・・」」

髪からジュースをポタポタと垂らしながら私とガウル様はベールをジト目で見る
そのベールはというと床にうつぶせに倒れたまま、気まずくて起き上がれない様子・・・

「2人とも大丈夫?」

「あぁ・・・俺は大丈夫だ」

「私も・・・」

ノワールの確認に私とガウル様は頷いて言う

「ミサは初被害やなぁ・・・上手くかわしてると思うてたんやけど、記録は3ヶ月か・・・シンクも気をつけるんやで、ベールに後ろに立たれんようにな」

「うん・・・気をつける」

ジョーヌの言葉にイズミ君は自分が被害に遭わなくてよかったと心底ホッとしているようだった

うぅ・・・銃兵として背後を突かれるのは負けだからって気をつけてたのに・・・油断した・・・

「片付けは私達でしますので、ガウル様とミサはとりあえずお風呂に」

「わかった」

「うん、そうさせてもらうよ・・・」

ノワールの言葉に私とガウル様はジュースを洗い流すためにお風呂に向かうことに・・・





「俺は着替えを用意してもらわねぇといけねぇから、ミサは先に行ってくれ」

私が自分に宛がわれた部屋から着替えを持ってくると、ガウル様がそう言った

「いえ、私もついて・・・」

「いいって、風邪ひくぞ」

ガウル様に冷たく断られた気がした・・・もしかして避けられてる?





「えーっと、こっちが女湯っと・・・」

お風呂場に着き、脱衣所で服を脱いで湯浴み着を着て浴場に向かう

この世界のお風呂は男も女も湯浴み着を着て入るのが普通らしい。でもいくら湯浴み着を着てるからとはいえ、脱衣所から浴場までの通路が男女共通ってのが・・・文化の違いってやつだね。一応男子のみや女子のみの入浴時間もあるが、今は共通の時間のようだ
もちろん、脱衣所と浴室は男女別れている。そしてその表示が元の世界と同じで青が男子、赤が女子となってたりする。今は向かって右が女子で左が男子と・・・

あとは、水が貴重とまではいかないが、元の世界の日本のようにいくら使っても困らないというわけではなく、王族だろうが兵士だろうがメイドだろうが関係なく1つのお風呂場を使うということか・・・まぁもちろん王族とそれ以外は入る時間が分かれていたりするけど

「お〜ここのお風呂も広いなぁ・・・」

右の浴場に入り、中を見渡してそう呟く
ヴァンネット城の浴場も広いけど・・・ヴァンネット城のお風呂は装飾っ気が無くて実用性重視だからね。ここのお風呂は天窓で夜空は見えるし、内装も、なんていうか・・・芸術性があるって感じ?

私は早速シャワーで頭にかかったジュースを流し始めた





〜ガウルside〜

通りがかったメイドに事情を話して、着替えを用意してもらうように言って、お風呂場に向かう

「はぁ・・・いくら気まずくても、もうちょっと言い方あったなぁ・・・」

さっきミサに冷ために言ってしまって少し自己嫌悪中なんだぜ・・・あぁ、俺って情けねぇ・・・

お風呂場に着き、脱衣所で服を脱いで浴場に・・・

「えっと、男はこっち・・・と」

表示に従い、俺は左の浴場に向かう

「あ、殿下、お待ちください。申し訳ありません、掛け布が掛け間違っているようです。今は右が男性でございます」

青の掛け布を潜ろうとしたところで、着替えを持ってきたメイドに止められる

「あ、あぁ・・・助かった」

掛け布を掛け直すメイドに指摘してくれたことを感謝する

あぶねぇ・・・危うく女子風呂に突(とつ)る変態になるところだったぜ・・・

「いえ、こちらの間違いですので、少々お待ちください・・・すみませーん。掛け布を掛け間違えておりました!こちらに入っているのは男性でよろしいでしょうかー?」

右の浴場に向かって、他に間違えている人がいないか確認をとる
右の浴場から何も返答が来ない

「誰も入っていらっしゃらないようですね。では、ごゆっくりどうぞ」

「ありがとう」

確認をしてくれたメイドに礼を言い、右の浴場の掛け布を潜る

「こちらに入ってるのは女性でよろしいでしょうかー?」

『はーい女性でーす』

隣の浴場にも同じように確認を取るメイド、そして隣の浴場から聞こえてきたのはなんと姫様の声・・・

「あっぶねぇ〜〜〜〜九死に一生とはこのことだな・・・」

もし入ってたら姉上と垂れ耳に殺される・・・いやマジで首に紐つけて空中島から突き落とされかねん・・・

俺は全身に冷や汗を掻きながら浴場に続く扉を開けた

ん・・・誰もいないはずなのに・・・シャワーの音がするぞ・・・?





〜ミサside〜

なんか外から声が聞こえた気がするけど、シャワーの音でイマイチ聞こえなかったな・・・ま、大したことではないだろう・・・

私は気にせず頭を洗う

ガチャ・・・

すると、誰かが浴場に入ってくる

誰だろ・・・?今は誰でも入っていい時間みたいだったし、ミルヒオーレ姫様とかだったら挨拶しないわけにはいかないから確認しておこうかな・・・

私は片目を開けて浴場の入り口を見る
睫毛に水滴やシャンプーの泡が付いてて、視界がハッキリとしない

浴場の入り口付近には1人の白髪の人が・・・白髪?私が知っている白髪の人はガウル様とレオ閣下だけ・・・レオ閣下は明日こっちに来る予定で今日はまだヴァンネット城のはず・・・ということは・・・

「あ、あああ、え?あ、えっと・・・ガウル様・・・」

いくら好きな人でも、全く心の準備ができていないこの状況で浴場で鉢合わせ・・・
パニックになった私は思わず大きく息を吸い込んで・・・

「イモガッ?!」

イヤァアア!と叫ぼうとして、イの部分を口にしたところでガウル様に手で口を塞がれた

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