小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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〜ガウルside〜

パニックになった俺は叫ぼうとしたミサの口を手で塞いでしまう

「お、落ち着け。頼むから声は出さないでくれ」

縋るような思いでそう頼み込む
ミサは口を塞がれているので首を縦に振って応じ、俺はミサの口から手を離す

「ぷはぁ・・・えっと・・・覗きじゃないのですよね?ならなぜ・・・?」

「それはこっちに台詞だ・・・さっき誰かいないか声かけただろ・・・なんで返事しなかったんだよ?」

ミサが息を整えながら質問し、俺は疲れた様子を隠さずに答える
まさか両方の浴場に女子が入っているとは思わなかった・・・

「頭を洗ってて、シャワーの音でいまいち聞き取れませんでしたので・・・大したことではないかと思って・・・」

「はぁ〜・・・メイドが掛け布の表示を掛け間違ってたんだ。こっちが男湯だったんだとよ」

ミサの言葉に俺はため息をつき、真相を教えた

「そうだったんですか・・・すみませんでした」

「早く出ろよ。訓練上がりの兵士が来るぞ」

謝るミサに、気まずさが戻ってきた俺はシャワーで頭を流しながら素っ気無く返してしまう

あぁくそっ・・・ここまで露骨に避けて俺はガキかよ・・・

そう俺がまた自己嫌悪になっていると・・・

「・・・嫌です」

ミサがなにか腹を括ったような感じの声でそう言った





〜ミサside〜

「・・・嫌です」

ガウル様から早く出るように冷たく言われるが私はそれを拒否する
折角の2人きりなんだ・・・これ以上気まずい状態を続けたくない・・・もう、避けられるのは嫌・・・

「ガウル様、あれから私を避けてますよね・・・?」

「そんなことねぇよ・・・」

私の質問に対するガウル様の答えは素っ気無い
私は今までガウル様は私に嘘をついたことが無いと思っている。そして私は今、初めて嘘をつかれたと感じた・・・

それがとても悲しく感じて・・・

「(ポロポロ・・・)」

湖のあの時でもここまでじゃなかった程の大粒の涙が流れ始め、胸がギュッと締め付けられるように苦しくなる・・・
そんな自分に自分でも驚いている・・・なんでこんな程度でここまで泣いているんだろう・・・?

「ちょっ?!なんで泣いてんだよ?!」

「わかりません・・・ガウル様が・・・私に嘘をついたと思うと、悲しくて・・・」

「だぁぁ!避けてました、すんません!だから泣き止めって」

ガウル様が私のそんな様子にギョッと驚いて慌てて私に謝ってくる

「だって仕方ねぇだろ・・・本気で告白したのに振られてんだからよ・・・」

「あの時私は・・・いつか領主になるガウル様を支えれるかわからなくて・・・私なんかが王妃でいいのかと・・・怖かったんです・・・でもレオ閣下は、1人で支えなくても、ゆっくり色々学んで王妃になればいいって言ってくれて・・・そしたら今度はガウル様に避けられて、もうガウル様の傍にいれなくなると思うと、もうどうしようもなくて・・・」

私は胸のうちを包み隠さず話していく
そして最後に・・・

「ガウル様、あのときの返事、まだやり直し、できますでしょうか・・・?」





〜ガウルside〜

「ガウル様、あのときの返事、まだやり直し、できますでしょうか・・・?」

ミサが泣きながら内心を話してくれて、最後にそう言った
何にも考えていなかった・・・ミサが俺の言った言葉でここまで悩んでいたなんて・・・

「あぁ・・・」

思考がまとまらず、短くそう返してしまう
言った後で、もっとなんか言ってやれよと心の中で自分にツッコミを入れる
そんな中ミサが涙を拭き取ったあと、俺を手を取り・・・

「私、今川美紗は、これからずっと・・・ガウル様の(・・・・・)望む関係で(・・・・・)、傍に居続けたいと思います」

静かに、それでいてハッキリとあのときの返事を口にする

「俺の望む関係・・・?」

「できれば第一王妃がいいですけど、ちゃんと愛してくれるなら、第二、第三王妃でも・・・もちろん愛人とかでも構いません」

俺が聞き返すとミサが照れるように言う
第二王妃って・・・そりゃガレットの領主も王家だから一夫多妻の代が珍しくねぇけど・・・

「安心しろって、ちゃんと第一王妃にしてやるから。第一というかただ1人の王妃にな・・・」

俺の手を掴むミサの手に、もう一方の手を重ね、真っ直ぐミサの目を見て言う

「それはそれで困るのですが・・・」

ミサは少し困ったような表情をする

「でも今は・・・」

ミサの目から再び涙が流れ始める

「喜ぶことにします・・・」

そう言って泣き始めたミサを、そっと抱き寄せた

はぁ・・・なんとかなったのかな・・・

にしても時間が時間なのに、誰も風呂に来なくてよかった・・・





〜ミルヒオーレside〜

「姫様、お風呂に入りたいのですが・・・」

「あ、ちょ、ちょっとダメです・・・今ここのお風呂は貸切で・・・もう少し後でお願いします」

「?そうなのですか・・・」

私はお風呂場の入り口の前で来る人達を通せんぼしています
中ではガウル殿下とガレットの勇者様がいい雰囲気で・・・ホントは私も少し覗きたい・・・というか羨ましい・・・うぅ・・・私も恋したいよぉ・・・

シンク・・・レオ様・・・

ミルヒは・・・ミルヒは頑張っています・・・

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