小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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次の日の朝・・・

「なんじゃ、里帰りをするとは聞いておったが、まさか明日とはのぅ・・・こないだの礼にガウル諸共稽古をつけてやろうと・・・ううん・・・思っておったのにぃ・・・」

レオ閣下が朝一でフィリアンノ城に到着し、ミルヒオーレ姫様とベッドの上でじゃれあっている
ミルヒオーレ姫様の膝枕でレオ閣下が寝ていて、レオ閣下は頭、首周り、お腹など、色んなところを撫で回されている。こんな光景を見てると、ついこの前宝剣を賭けるほどの大戦をしたなんて思えない

「あ、あはは・・・それはまた今度来たときに・・・」

イズミ君はそんな2人の様子に少し引きながら話をしている

「そうか・・・んふふ・・・ミルヒの撫でテクは格別じゃのぅ・・・」

「レオ閣下の撫で心地も絶品です」

昔も溜まったストレスをこうやって発散してたのかな・・・?

ビスコッティの近衛メイド隊の隊長のリゼルさん曰く、歳はレオ閣下のほうが上だが、基本ミルヒオーレ姫様のほうが姉の立場なんだとか・・・

「んひひぃ〜・・・もっとじゃぁ・・・」

「はい、レオ様」

領主としての自分をどっかに捨ててるね・・・これがメリハリか・・・

レオ閣下の蕩けきった表情を見て私はそう思った

「で、では、また後で・・・」

「おぉ〜う・・・」

部屋を出るイズミ君にレオ閣下が腕を上げながら見送った

「あ〜もうパーティーの準備をせねばのう・・・」

レオ閣下が撫でられ足りないと言わんばかりに名残惜しそうな表情で言う
今日はこれからイズミ君の里帰りの送別会が行われる

「ところでミサ、ガウルとはどうなのじゃ?こっちにおるとはまだギクシャクしたままなのか?」

忘れていたという感じで私に話を振るレオ閣下

「いえ、レオ閣下の助言のおかげで“ガウ様”とはいつもどおりに戻れました」

「そうか・・・」

私の言葉にレオ閣下は安心したように言った





「変じゃないでしょうか・・・?」

「そんなことはありませんよ。大変お綺麗です」

鏡に映る自分を見て、私は不安げに言い、メイドさんがそれを否定する
パーティーに出るため、私はメイドさんに初めてドレスを着せてもらった

私は召喚されてからバレるまで、初日以外はずっと一般市民が着る普通の服を着ていた。バレた後は基本王宮が用意した私専用の騎士服を着て、バレる前までの服は寮での部屋着として着ている。勇者という肩書きやガレットのお国柄などの理由から、ドレスを着せてもらったことは無い

バレてからは最低限にしか手を入れてない髪もドレスに合わせてセットし、少し化粧もしてもらった

これからはこういう格好をすることが増えるのかな・・・

鏡に映った自分に驚きつつ、私は感慨に浸る

ガチャ・・・

「まもなくパーティーが始まります」

「はい」

部屋に入ってきたメイドさんの言葉に私は気を引き締めて返事をした





〜ガウルside〜

「ワシは先に行っておるからの、しっかりミサをエスコートするのじゃぞ」

「あ、あぁ・・・」

姉上の言葉に俺は気恥ずかしさを感じ、視線を逸らしながら返す
今ミサはシンクの送別会のパーティーのためにドレスの着付けをしてもらっている。ガレットは姉上がアレだからあまりドレスを着た姿を見る機会が無い

ミサも普段は普通の服か騎士服を着ているのでドレスは初めてらしいし・・・あぁなんか落ち着かねぇ・・・・

「ガウル殿下、ミサ様の準備ができました」

廊下の壁に寄りかかって待っていた俺にメイドが声をかけた
まだミサの姿を見ていないのに心臓の鼓動が早い・・・

ミサが着付けてもらっていた部屋から出てくる

「ガウ様、どうですか・・・?」

少し恥ずかしげに頬を赤らめてそう聞いてくるミサ・・・
ドレスを着て、髪型を変えてより綺麗になったミサの姿に、俺は何も言えなくなっている

ドレスはガレットの宝剣である神剣エクスマキナの色で、ガレットの国を表す青の色を基調としたもので、今回はパーティーの主役ではないので華美な装飾は避けてあり、初めてドレスを着るミサのためか動きやすそうなデザインだ
髪はミサが勇者だとバレてからは特に弄った様子が無かったのが、今は姫様のようなウェーブがかかっている

「やはり、変だったでしょうか・・・」

「いや、そんなことはねぇ!」

何も言わない俺に不安になったミサに、俺は慌てて言葉をかける

「似合ってるし・・・その、綺麗だ・・・」

「あ・・・ありがとうございます・・・」

恥ずかしさに耐えてミサを褒めると、ミサはさらに赤くなって段々と声が小さくなりながら言葉を返した

「ガウル殿下、ミサ様、パーティーが始まりますので、会場まで移動をお願いします」

「あぁ、わかった」

「はい」

メイドの言葉に俺とミサが返事をする

「それじゃ、行くか、ミサ」

そう言って俺は手を差し出す

「はい、ガウ様」

その手に軽く乗せるようにミサが手を置いた





〜ミサside〜

いつもは騎士服をラフに着ているガウ様が今日はキッチリと着こなしている
その姿に少しドキッとしてしまった

「パーティーって私初めてです」

「パーティーつっても今回はそこまで畏まった形式じゃねぇし、参加者も付き合いの長い身内のような人ばっかり、そこまで緊張しなくてもいいと思うぞ」

私の言葉にガウ様は気楽してもいいと言う
でも私が手を置いているガウ様の手は少し汗ばんでるような・・・あ、これ私の汗か

ガウ様にエスコートされ、私は会場に向かった

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