あれから3年が経ち、私ミサ・ガレット・デ・ロワは現在17歳
昨年、ガウ様が15歳になり、フロニャルドで一般的に大人と認められる年齢になった。それを期に私とガウ様の結婚をして、正式に夫婦となった
そしてレオ様がガウ様に領主の座をお譲りになり、ガウ様がガレット領国領主に即位し、私は王妃になった
レオ様は領主を退いた後、ビスコッティに移り、ミルヒオーレ姫様の相談役になり、姉妹仲良く暮らしている
「どうぞ、お大事に・・・」
「はい、ありがとうございました」
私は王宮の医師にお礼を言って医務室から出る
最近なんだか体調が思わしくなかったので診てもらったのだ
「ミサ、どうだった?」
「みんなのところで言うよ」
廊下で第2王妃ノワールに診察結果を聞かれる
ジェノワーズは私の後押しでガウ様に告白した・・・というかさせた
自分1人で領主を支えるの無理だからって言って巻き込んだ
3人はずっと想いを伝えずに傍にいると心に決めていたので、初めはあまりノリ気じゃなかったけど、やっぱりいざ誰かが王妃としてガウ様の隣に立つとキツイものがあったみたいで、最終的には3人とも受け入れてくれた
ガウ様も私が説得したけど、こっちはすぐに落ちた。というのも、ジェノワーズのことを3バカと言いつつも長い付き合いでやってきていたので、そういう目で見始めると呆気なく落ちた
第2王妃にノワール、第3王妃にベール、第4王妃にジョーヌがついた。順番はバトルロワイヤルで決めて、ノワールとベールが協力してジョーヌを真っ先に倒し、ノワールが近接でベールを倒したのでこの順番になった
親衛隊トリオのジェノワーズは解散となり、新たに王妃カルテットとなっている
私達はそれぞれ自分の隊を持っていて、規定人数内で好きなように編成している。もちろん私の隊は銃が主力だ
ちなみに一夫多妻が珍しくないガレット王家でも4人も王妃を娶った領主は実に数代ぶりだとか・・・でも王妃が4人でもガウ様はちゃんと私達を愛してくれていて、私達は幸せな日々を送っている
「そういえば、来週辺りにシンクが来るってミルヒ姫様が言ってた」
「あー・・・そろそろ記念日だもんね」
イズミ君はあれから学校が大きな休みに入る度に友達を連れてやってきている。ミルヒオーレ姫様に連絡用に携帯を渡して、毎日のように連絡を取り合っているし・・・祭壇でリコが作った電波の増幅器を使うと繋がっちゃうってビックリだよね。毎日祭壇まで行く姫様も姫様だけど・・・
記念日とは3年前の宝剣を賭けた大戦、その日のことだ
レオ様は恥だと言って嫌がったけど、あれだけ大きな戦をしたから、お祭り好きのビスコッティ国民や戦興行好きのガレット国民の手前、次の年の同じ日に何もしないなんてことはできず、昼間に万単位を動員した大戦をして、夜にミルヒオーレ姫様のライブを行う日になった。今年も万単位の軍勢を率いた大戦とライブをする予定なんだけど・・・
「うーん・・・今年は私、戦興行のほうは参加できないかも・・・」
「そう・・・」
私の言葉にノワールが嬉しそうに返す
たぶん不参加の理由に気付いたのだろう・・・
「私の隊は4つに分けてみんなのところに入れてもらうか・・・副隊長に指揮してもらうか・・・」
「副隊長に任せたほうがいいと思う。しばらく参加できなくなるんだし」
そうだよね・・・最低1年は参加できないだろうし・・・
ガチャ・・・
「お待たせしました」
私とノワールは会議室に入る
件の大戦の事前協議のため、ビスコッティの人と話し合いが行われるのだ
「待っておらんよ。色々と聞くことがあったからのう・・・稀代の多淫領主の結婚生活などのう・・・」
「うぐっ・・・」
「あはは・・・」
レオ様の言葉にガウ様が気まずそうな顔をして、ミルヒオーレ姫様が苦笑する
ビスコッティ側はミルヒオーレ姫様、レオ様、護衛としてエクレール親衛隊長とその兄で騎士団長のロランさん(姫様の秘書のアメリタさんと結婚秒読み段階らしい)の4人
ガレット側はガウ様と私達王妃カルテット、バナード将軍とビオレさんの7人
「ちゃんと4人とも愛してもらっています。なんの不満もございません。ね?」
「「はい」」
私がそう言って、席に付いているベールとジョーヌに同意を求めると2人は笑顔で返事をする
「惚気話もそれくらいにして会議を始めようかの・・・」
「あはは・・・」
からかうつもりが惚気られ、レオ様が少し悔しそうな顔をして話を変え、姫様はまた苦笑する
「ミサ、言わないの?」
「あ、そうだね。実は私、今度の大戦に参加できなくなりました」
ノワールに促され、私は会議に移る前に報告をする
「む?どうしてじゃ?」
「最近体調が優れなくて今日医師に診てもらったんです」
理由を聞くレオ様に私はついさっきのことを言う
「大丈夫ですか?」
ミルヒオーレ姫様が心配そうに聞いてくる。レオ様もエクレールも心配そうな表情をしている
逆にロランさんとガレット側の人達は見当がついたようで嬉しそうな表情。ガウ様は少し戸惑っているようにも見えるかな・・・?
「それで、医師はなんと?」
レオ様の質問に私はお腹に手を当て、静かに答える・・・
「子供ができたそうです・・・」
〜〜完〜〜