小説『DOG DAYS 勇者って私女の子なんですけど・・・』
作者:rockless()

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ジリリリリリ

「う、うーん・・・」

朝、目覚まし時計の音が私を叩き起こす
召喚から3日、私は非正規、非公認ながらガウル様の親衛隊の見習いになった

なぜ非正規の非公認か、それは色々理由があるが大きく2つ

その1、いくら王子でも勝手に親衛隊を雇うことができず、何もできない異世界人の私を雇う許可など下りるはずが無いから。よって今はジェノワーズの3人が最近知り合った共通の友人、ということになっている

その2、雇う許可をもらおうとすると、当然私自身がいろんな人に会って話さなければならなくなる。そうなると私が異世界人だとバレてしまうから

だからジェノワーズの3人の友人を寮の自分たちの部屋に泊めて、ついでに戦の腕を鍛えてあげてる。そんな感じになっている。領主に挨拶無しで城の敷地内で暮らしてて大丈夫なのかなと不安に思うけど、レオンミシェリ閣下は最近忙しくて訓練と領主の執務以外は自室に篭っているらしい

まだ3日目なのでこれで問題なく通っている
でもこれが10日ぐらいすると、いつまで居座るのかと思われるんだろうな・・・

名前も今川美紗からミーサ・クロカントという名前に変わった。ガウル様が考えた名前でクロカントは私の髪の色が黒だからで、後は語呂がいいからだそうな・・・あだ名で今までどおり美紗と呼べるし、変な名前じゃないからまぁいいかと思っている・・・もちろん今川美紗という名前もしっかり忘れないで置こうと決めている

フードを外さない理由は昔火事で耳と尻尾を火傷して毛が生えなくなっているからという理由をでっち上げて、フードを被ったままで過ごせるようになった

なんというかガウル様もジェノワーズも悪知恵が働くなぁ・・・本当に王子と親衛隊かと疑問に思ったよ

まぁそれ以上にフロニャルドに召喚されて3日で、帰れないことに納得している自分はなんなんだろうと疑問に思うけど・・・

「ふわぁ〜あ・・・」

欠伸をしながらベッドから起き上がる
ジェノワーズの部屋は4人部屋でちょうど1つベッドが空いていたので、私はそれを使っている

ベッドから出て服を着替える
着替える服は借り物の服ではなく、昨日町に出て買った一般市民が着る普通の衣服。マントで見えないが非正規で非公認の私が騎士服を着ているのは本当はまずいことらしい。お金はガウル様からもらった。王子の執務と、戦興行で活躍しまくっているので貯金はいっぱいあるみたい

「朝ですよ〜」

着替え終わり、マントを羽織ってフードも被ってもまだ3人が寝ているので起こす、1人では部屋の外に出れず、このままだと朝食抜きで午前の訓練になりそうなので本気で起こしにかかる
正直見習いに起こされるのはどうなんだと思う

「早くしないと寮の食堂が混みますよ」

1人1人強く揺すりながら起こそうとするがこの3人全く起きない・・・

この人達は今まで午前の訓練に間に合っていたのだろうか・・・ちなみに昨日は遅刻してガウル様に怒られた。私も含めて・・・
ガウル様はメイドが起こしてくれるらしいので遅刻はしないとのこと

「仕方が無い・・・まずはジョーヌから」

私はジョーヌの頭に向かい右手を振り上げて・・・

「紋章起動」

紋章を起動して手を保護し・・・

「チョップ」

「ギャフッ!」

ジョーヌのおでこに手刀を振り下ろした
痛みでジョーヌが奇声を上げて飛び起きた

「次はベール」

紋章の起動を維持したままベールのおでこに向かって・・・今度は指の筋力を少し上げて・・・

ビシッ

「〜〜〜〜〜〜っ!!」

デコピンを放つ
ベールが声にならない声を上げて起きる

なぜジョーヌがチョップでベールがデコピンか、それはジョーヌが石頭でデコピンでは全く動じなかったからだ。その後のチョップもあまりの石頭っぷりに手が痛かったし・・・

さて、後はノワールなんだけど・・・

ムク

「おはようミサ」

私の不安を余所にノワールは自分で目覚めて起き上がった

よかった。何もしなくても2人の声で起きた
昨日デコピンで起こしたら臍曲げられて大変だった・・・

しかも午前中ずーっとその状態で引き摺るのなんのって・・・

「おはよう、ノワール」

ノワールの挨拶に私も返す

「痛いでミサ〜」

「そうですよ〜」

おでこを抑えながらジョーヌとベールが私に抗議する

「起きないのがいけないんですよ〜」

そんな2人にニコリと笑いながら言い返す
非正規で非公認だけど同じ親衛隊なので気楽に接してくれて構わないと言ってくれたので、私はそれに甘えている

「さ、早く着替えて朝ごはん行きましょう」





「今日は遅れなかったな」

訓練場に着き、ガウル様と合流する

「ミサが叩き起こすんやもんな・・・文字通りの意味で」

「しかも紋章術まで使ってた」

「どうりで痛いと思いました・・・」

ジョーヌがジト目で私を見ながら言い、そのときはまだ寝ていたはずのノワールがまるで見ていたように言い、ベールがおでこを擦りながら呟く

「よくやったミサ。紋章術の扱いもそこそこ慣れてきたようだな」

「ありがとうございます。皆さんが教えてくれてますからね」

ガウル様の言葉にお礼を言う
なぜ3日目にして紋章術の扱いに慣れることができたか、それは今のところ私は戦闘訓練をせず、紋章術の練習しかしていないからだ

なぜ戦闘訓練をしないか、それは・・・

「じゃ、武器庫行くか」

「はい」

まだ武器か決まってないから
私は剣も槍も弓も、というか武器の扱い自体が始めてで、特に格闘技をやっていたわけでも無い。だから何が使えるかがわからないのだ

なので今日1日使って色々試そうということになっているんだけど・・・





「マントを脱げないから剣や槍と言った近接は無理、弓もマント羽織ったままじゃ無理、となると・・・うーん・・・」

開始数分で暗礁に乗り上げてしまった

-6-
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