小説『Blood of the scarlet.』
作者:樹緑()

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ついに、兄と緋芽が探すことができたのだが…
妹が祠の前で座っている数十歩前に<奴ら>がのっそりのっそり歩いていた…


「く…くそぅ!!」
半ば投げ槍で文字通り槍を投げる緋芽だがぎりぎりのところで当たらなかった。
「ちきしょう…諦めてたまるか!!」
兄は緋芽が槍を投げると同時に走り始めていた。


無我夢中で走る兄の脳裏に今朝見た夢での惨劇が妹と重なってるように見えた。


「『また』あのあやまちを繰り返すのか…そんな運命、受け入れてたまるかっ!!」


いつの間にか握っていたこぶしをそのまま<奴ら>に振りかぶって殴った……のだが。
さっきまで鉄バットごときじゃ倒れなかった<奴ら>がなぜか倒れた…
兄妹は目が点で目の前で何が起きたのか把握できなかった。
一方の緋芽は驚きを隠せない様子で兄の手をじっと見ていた。
その視線に気がついた兄は自分のさっき握りしめていたはずの手を見てみた。


そこには何もなかったはずなのにいつの間にか【空色の剣】が握られていた。


「<アイシクルソード>」

そう、つぶやく兄に妹は

「何それ…柚子にぃも持ってたの…?」
「わからない、無我夢中で殴りかかったらいつの間にか持ってた…」
「と、とりあえず、蒼さんのところに戻りましょうよ!皆さん待ってるはずですから」
「わかった、今度こそははぐれるなよ桜花」
「うん!」


そして、空色の剣を持った兄と桜色に輝く指輪を持った妹は

緋色の槍をもった少女とともに

青色の長柄の斧を持った少し年上の少年の元に走っていった。

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