小説『Blood of the scarlet.』
作者:樹緑()

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「ここが『日暮高校』なのかー」
「みたいだな、高校って言っても近隣にはここぐらいしかないしな」


私立の高校なだけはあって、施設はずいぶんとお金がかかっているようだ。
校舎が二つにクラブ棟が二つ、プール、武道場、広いグラウンド、体育館と
必要なものは一通り揃ってなお、学校に通う生徒には何が必要かと
アンケートを出すぐらいに学校は生徒には優しいとの定評で
受験生、新入生ともに高い期待を持ってこの『日暮高校』へとやってくる。


ただ、この学校の変わったところは二つの校舎と校舎の間の中庭に祠(ほこら)があることである。
ここの祠に【入っていけない】【いたずらしてはいけない】ときつく言われることである。
幸い、学校が創立された9年前からその掟は破られたことがないらしい。


「あ!お兄ちゃんあれかな?『閉ざされた祠』って」
「校舎の間にあるってことはあれだろう…」
「なんか、薄気味悪いね…」
「学校自体は新しいのに祠だけが周りと切り離されたような不思議な雰囲気があるな」
「あれ?あそこに黒いって何だろう・・・?」
「耳も尻尾もあるし、犬か猫じゃないないのか?」
そう、俺が言った直後『自分は猫だ!』と言わんばかりに『にゃ〜〜』と鳴いた。
「んだそうだ、猫だってよ」
「え?お兄ちゃん猫語分かるの?」
「んや、多分猫がそういったんじゃないかと思っただけさ。まぁ、『にゃー』って鳴いてたしな」


猫が急に跳びはね、祠のある小さな森の奥へ逃げるように走っていった。


「かわいい猫さんだったね」
「ここに入学したんだし、また会えるさ」



そして、自分のクラスを確認するために靴箱へと歩き始めた柚子(兄)と桜花(妹)。


この創立10年という節目に入学してきた二人を待ち受けるものとは・・・?



Prologue Chapter.
 Wind of scarlet.

END.

-3-
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