小説『Blood of the scarlet.』
作者:樹緑()

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Chapter1 Start of scarlet.


「ここの数式がこの公式に当てはまるためx=3となる、ここで出た値をここに代入し…ここを夜霧答えろ」
「えーと、Y=2です」
「そうだ。よし、次は全員5ページ例題2をやれ」


そう先生が言うと全員、やれやれといった表情で問題を解き始める。
高校のはじめの頃の問題はほとんどが中学の復習ばっかりで簡単である。
はっきり言えば多少は勉強をサボってもテストには間に合うということだ。
だから、先生の言葉は半ば上の空で入学後何度か見に行っている祠(ほこら)について考え始めた。



「(【入っていけない】【いたずらしてはいけない】とはどういうことなのだ?)」
「(【いたずらしてはいけない】はわかるが【入っていけない】とまではどういうことだ?)」
「(中に何かあるのか?誰も使わせてはいけない物か、それともそれだけ高価な物か…)」
「(どっちにしても、気になるな・・・今日の夜にでも行ってみるか)」
「(にしても、驚いた…)」
「(入学式の日に見たあの夢に出てきたアイツが同じ学校の同じクラスにいるとはな…)」
「(黒髪のポニーテールで同じ顔とは…まさに瓜二つ)」
「(こういう偶然もあったのか…いや、これは必然と捉えるべきか…)」
「(深く考えてもしょうがない、なにも始まらないことにはどう動こうもできないな)」
「(んじゃ、とりあえず寝とくか…)」



先生の子守唄のような言葉と初春のほのかな日差しにあたりながら俺は眠りについた…。


のもつかの間、伏せた直後に額に何か直撃した…。



前を見てみると桜花が『してやったり』という顔でニヤニヤしていた。
なるほど、何か投げてきたわけか…。
また寝ようとすると再び起こしにかかるだろうし、ここはおとなしく聞いてる振りでもしておくか。


〜数分後〜
キーンコーンカーンコーン…。


「(あぶないあぶない、うとうとしてた…)」
チャイムのおかげでどうにか眠りに落ちるのを防げたようだ…。
再び桜花を見ると声にこそ出さないが『悔しい』という顔でこっちを見ていた。


「んじゃ、ここで授業をやめるがちゃんと復習してこいよ」
「起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」


ようやく、思ったより長い数学の授業が終わり昼休憩に入った…。

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