小説『Blood of the scarlet.』
作者:樹緑()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>


睡魔や妹の何かしらの攻撃と戦いようやく、昼休憩になった。
ここの学校は持参の弁当に食堂に売店と昼食には困らない環境が整っている。
とくに飛び降り自殺とかもないために屋上も開放され、天気が良い日はちらほらと屋上に上がってる人もいるようだ。
その中、蛍杉兄妹はすたすたと中庭にある備え付けのテーブルとイスへと向かい、向かい合い座る。


「お兄ちゃ…」
「ここではそう呼ぶなって言ってるだろ桜花」
「ごめんごめん、ついいつもの癖で言っちゃうんだもん」
「まぁ、『お兄ちゃん』以外なら常識をわきまえたものならいいからさ」
「んじゃ『柚子にぃ』か『兄貴』ならいい?」
「『柚子にぃ』はともかく『兄貴』はどうかと思うぞ…」
「そうかな?」
「それはそうと今日の夕方行くぞ」
「もう行くの?早くない?」
「丁度満月だし何か起こるかもしれないぞ?」
「何も起きなかったら承知しないよ?」
「そんときはそんときで満月堂のみたらし団子おごるよ」
「よし、乗ったよ!んじゃ今日行こうね」
「夜ご飯を食べたら『忘れ物を取りに行く』ということで」
「うん『忘れ物を取りに行く』だね?」


〜数分後〜
「柚子にぃ、チャイム鳴るだろうし戻ろうよ」
「そうしようか、次は何の授業だっけ」
「数学Aと英語?だったような…」
「オワタ…」
「柚子にぃ、少しはがんばろうよね…」
「まぁ、今日は目標はあるしがんばれるさ…多分(ボソッ」
「がんばれがんばれ」


そういう妹に頭をなでられ兄の立つ瀬もなく、とぼとぼと教室へと戻る兄妹であった。

-5-
Copyright ©樹緑 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える