小説『Blood of the scarlet.』
作者:樹緑()

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「開けるぞ」
「うん…」


『閉ざされた祠』を開けた先には…


黒猫がいた…


「やぁ、空色に桜色。元気にしてるかい?」
「あんたは…入学式のときにいた猫なのか…?」
「質問を質問で返さないでくれないかね、一応答えておくがあのときの猫の体だ」
「やっぱりか…そしてなぜ人の言葉を喋っている?」
「人の…いや、今は猫か。猫の話は最後まで聞きなさい」
「人のってことは乗り移ってたりするのかな、かな?」
「まぁ、そういうもんんだ」
「それと、空色や桜色と言ったが俺らを知ってるのか?」
「なぁに、男のほうが空色に女のほうが桜色に見えただけさ」
「じゃ、もう一つ質問。そこの水晶は何だ?」
「さすがに目をつけるところが違うな、これは変哲もないただの水晶さ。触らない限りね」
「触ってもいいのかな?」
「壊れることはないから触ってみな、面白いことになるよ」


そして、兄妹は水晶に触れた。


水晶がいきなり光だし、祠の中で光があふれた。
兄妹はあわてて瞳を閉じ光が収まるのを待った。
そして、兄妹が目を開けると…


両手が光っていた。


兄は空色、妹は桜色と猫が言っていたとおりの色に光っていた。


そして、猫が
「【暴風雨のように荒れ狂いかつ澄んだように綺麗な青空のような空色の刃】の兄と」
「【桜の花びらの様に舞い大樹の様にずっしり構える桜色の大剣】の妹ね」
と、兄妹に向かって言う。


「そういうことか」
「なぁに『薄々は感づいていた』的な意味合いを持った言い方をするね」
「半分は予測してたさ、ここまでとは思ってなかったが」
「ちなみに、さっき私が言った言葉は私からの餞別として受け取っておきな」
「そうかい、覚えておこうか」
「え?なになに、どういうことなの?」
「家に帰ったら教えるさ」
会話から置いてけぼりの妹にそういい放すと自分の上着のポケットから手帳を取り出し、書き込み始める。


「でも、その前に家に帰れたらいいね」
「それはどういうことだ…?」


その答えは祠の外の気配によって示された。
「外の奴らを倒さないことには学校を出れないのか?」
「まぁ、そういうことさ」



Chapter1 Start of scarlet.

END.

-7-
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