小説『Blood of the scarlet.』
作者:樹緑()

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Chapter2  Rain of scarlet.


「簡単に帰れるとは思ってはいないけど、さすがにこれは厳しいね…」
「そのためのその『光』なんだけど、まだ出ないということは…」
「『光』か……どういうことだ?」


そのとき、ガラガラガラと猫の後ろにあった扉が開いた。
その扉から生徒と思われる数名が現れたのだが、よく見ると自分達が着ている制服とは若干色が違うようだった。
今、兄妹が着ているのは白を基調としたごく普通の制服、しかしその扉から現れた生徒らしき人の制服は紺色のようだった。


「よぉ、黒さんよ。新人か?」
「とりあえずはそのようなものだ」
「今度のは骨がある奴らか?」
「ライトアーツは発動できてないが、なかなか頭の回転は速いぞ」
「まぁ、まえのやつみたくいきなり逃げ回るよりはましか」
「そうだな」
「んじゃ、今回もちゃっちゃとやりますか」
「それじゃ、頼むよ。ついでにライトアーツも教えておいてくれ」
「らじゃ」


扉から現れた一人の男が『黒さん』と呼んだ黒猫とその男が二言三言会話すると黒猫は扉のほうへ走っていった。


「というわけで、さっきの黒ねこによろしくと言われた3年の岸谷 蒼だ、色は青だ」
「なにが『というわけ』がさっぱり分からないが、1年の蛍杉 柚子だ、色は黒猫が言ってたが空色らしい」
手を前にかざして見せる。
「なるほど、空色か」
「んで、こっちのが」
「こっち、って言うなー」
妹がかかとで兄の足の甲を踏みながらきわめて怒ってない風に装って平然と言う。
「じゃ、自分で自己紹介しろ」
「どならんでもええやろ、ウチは一年の蛍杉 桜花や、色は桜色」
「同じ蛍杉って……あんたら兄妹か?」
「そうだ、一応は双子だ」
「というわけで、よろしくね」
「あとのメンバーは後々教えるぜ…」
そう一旦、話すのをやめて入り口の方を指差し。
「…みんな、生き残ったらな」


蒼は無言で何も持ってない手で何か棒を持つように構えながら静かにつぶやいた。


「≪マリンアックス≫……」


蒼がつけていたらしい青色の指輪が輝き。
指輪が輝き終わると、その手にはいつの間にか青色の長柄の斧が握られていた。

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