小説『女戦士は穏健派』
作者:剣聖()

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第2話『出会いから縁へ』



ー4月2日 土曜日 PM8:00 名古屋市内とあるサービスエリアの喫茶店『ファンデ』店内ー


太一『・・・ええ、どうぞ(照)。』

太一(な、なんか・・・すんげえ美人だなあ〜(驚)!しかも女優の[吉瀬美智子]似の・・・こ、これって夢じゃないよな?)

太一は彼女幸瀬美智子と名乗るピッチピチのダークレッドのライダースーツを着た女の同席願いを照れながら承諾(しょうだく)する。
すると、ウエイトレスが美智子に注文を聞きに来る。

ウエイトレス『御注文はお決まりでしょうか?』

美智子『こちらの方と同じコーヒーで御願いします・・・。』

ウエイトレス『[キリマンジャロのブラック]ですね。畏(かしこ)まりました。少少御待ち下さいませ。』

美智子の注文を聞いたウエイトレスが奥に戻って行った。

太一(う〜〜(照)な、なんか緊張(きんちょう)してきたぞ・・・!)

そう心で思う太一。
暫くして美智子が口を開く。

美智子『あの(照)・・・宜(よろ)しければ御名前、伺(うかが)っても構いませんでしょうか・・・?』

太一『・・・古久保と申します(照)。古久保・・・太一。字は古いと云う字に久保、下は太いの太に漢字の一と書きます(照)。』

美智子『まあ!素適(すてき)なお名前ですわね。・・・ちなみに不躾(ぶしつけ)で申し訳ありませんが・・・ご趣味は(照)?』

太一『・・・趣味(しゅみ)?・・・えっ、ええ・・・歴史大河ドラマの観賞(かんしょう)ですかね(照)。個人的に太平記(たいへいき)の楠木正成(くすのき まさしげ)とかが好きですね・・・(照)。』

美智子『あら・・・!奇遇(きぐう)ですね!私も大河(たいが)ドラマ大好きなんです。太平記もよく観ましたよ(微笑)。楠木正成さん、誠実で聡明(そうめい)な素適な武将(ぶしょう)でしたものね・・・。』

楠木正成と云う名前に若干(じゃっかん)の驚きとワクワク感を見せた美智子、彼女が日本史に興味が有る人物で有る事を太一は感じた。

美智子『あの(照)・・・、古久保さんはどちらからツーリングにいらしたんですか?』

太一『僕は・・・東京です(照笑)。』

美智子『そうですか、東京から。』

太一『幸瀬さんは確か(照)・・・大阪から来たって、さっき云ってましたよね?』

美智子『ええ、そうです。堺(さかい)市に住んでいるんです。私。』

太一『堺ですか・・・。有名ですよね、堺って。』

美智子『まあ・・・戦國時代(せんごくじだい)とかには・・・。ですが東京と違って・・・下町ですよ。結構。』

太一『ははっ、いや〜東京も全部がオシャレって訳じゃ無いッスからね〜(笑)』

美智子『確かに(笑)。・・・・・・古久保さんは東京のどちらかしら?』

太一『墨田区(すみだく)です。古臭(ふるくさ)い下町の代表みたいな所です(笑)。堺の方が遥(はるか)かに都会なんじゃないかな?』

美智子『いやいや(笑)。でも墨田区って・・・確か両國國技館(りょうごくこくぎかん)が有る街ですよね?』

太一『それと相撲部屋が集合している、所謂(いわゆる)むさ苦しい街ですね(笑)。』

美智子『まあまあ(笑)。でも私・・・御相撲、・・・大好きですよ(微笑)』

太一『!ほう・・・。』

彼女、美智子は日本史と相撲等に興味が有ったり、淑(しと)やかで控(ひか)えめに観受けれる性格の様で有ったり、そのナイスバディをピッチピチのライダースーツに身を包み、大型バイクを乗りこなす第一印象とは異なるギャップが太一のハートと股間(こかん)を更に興奮(こうふん)させる。
それにしても美智子の着ているライダースーツが見事にボディにフィットしまくってエロ過ぎて気になっている太一だった。
美智子に気取られないようにそっと目配(めくば)せしながら詳細(しょうさい)を確認してみる太一。
美智子のライダースーツは全身所謂指先は手袋と足先はブーツとすべて同じ色の同じ生地(きじ)で一体化(いったいか)し繋(つな)がった一枚岩のつなぎで、他の別色の柄(がら)やメーカー等のマークやイニシャルも入ってない無地の状態で艶艶(つやつや)のダークレッドで統一されている。
生地は、近くで観るとレザーっぽい質感で加工されたラバー生地で有る事が確認出来る。それにしても喫茶店内の照明を浴びて思わず観惚(みと)れてしまう程に鮮やかに艶光りするその美しさ。如何(いか)に丹念(たんねん)に手間隙(てまひま)を掛けて加工された上質のラバー生地で有る事が一目瞭然(いちもくりょうぜん)で分かってしまう。
そしてあの絶妙(ぜつみょう)な美智子の肉体でのフィット感、オーダーメイドなのは間違いあるまい。
「高価な物なんだろうなあ・・・。」っと太一は思った。
もとい美智子には非常に良く似合っており、エロく着こなしている。峰不二子にも引けを取らない程に。そして開いたジッパーの間から窺(うかが)える胸の谷間につい眼が行ってしまう太一。

美智子『・・・・・・古久保さん・・・?』

ふと美智子に呼掛(よびか)けられハッとする太一。

太一『・・・(驚)! あっ・・・(驚)!すっすみません(驚)・・・ボーっとしてまして。何でしょう?』

美智子『いえ・・・、私の方も驚かせて。御相撲の話をしていただけですので。』

太一『ああ・・・、相撲ね・・・。幸瀬さん応援してる力士入るんですか誰か?』

美智子に気づかれたのでは無いかと焦(あせ)る太一、慌てて美智子の話題に合せようとする。

美智子『ええ、応援って程では無いですけど・・・、白鵬(はくほう)さん。良いですね、強いだけでは無く人間性も温厚(おんこう)で・・・。余(あま)り怖くない感じですから。』

太一『そうですよね、朝青龍(あさしょうりゅう)なんかだとイカツイですよね。いつも怒ってる様な雰囲気(ふんいき)してるし。もう引退しちゃったけど・・・。』

美智子『そうですね、ただ悪い人では無いとは思いたい物ですが・・・。』

窓の外の夜の帳(とばり)が降りたサービスエリアの景色を物憂(ものう)げな表情で眺(なが)めながら注文したブラックをすする美智子。
それすらもセクシーに観える。

太一『ところで・・・幸瀬さんはバイクの方はもう長いんですか?』

美智子『ええ、高校2年時に免許を取りましたのでもう運転歴16年です。』

太一『高2って大体16、7だから・・・・・・! えっじゃあ!もう…さ、32・・・!?』

美智子『ええ・・・(笑)。もう三十路(みそじ)ですね(笑)』

太一『いや・・・、スイマセン・・・女性の年を探(さぐ)ってしまって・・・。でも、とても観えないなあ!』

美智子『そうですか(微笑)?そんな事も有りませんよ、本当は(微笑)。でも・・・嬉しいです。有難う御座います。』

品の良い優しげな微笑みを太一に向ける美智子。彼女の微笑みに癒され心がキュンとなった太一。
太一はふと腕時計を観た。
現在の時刻は午後8時40分。
もうかれこれ40分も美智子と喫茶店で話していた事になる。

太一『・・・じゃあ、ぼくはそろそろ出発しようかな。・・・幸瀬さんはどうします?』

美智子『え?、え、ええ、じゃあ私も出発する事にします・・・。』

二人一緒にレジカウンター迄(まで)行き、2人分の料金を支払おうとした太一だが、その時。

美智子『あっ、待ってください。料金なら私に払わせて貰(もら)えませんか?』

太一『いや、お気遣(きづか)いなく。ここは男がまとめて精算(せいさん)するのがマナーですから。』

美智子『ええ、そのお気持は有難く受け取ります。ですが、ここは私に。無理を云って同席させて戴(いただ)いたお礼も兼ねて。御願いします。』

太一『・・・いや〜、参ったなあ。でもそこまで仰(おっしゃ)るなら・・・。・・・何だか悪いですねえ・・・。』

そういって美智子の熱意に圧(お)され、奢(おご)って貰うことにした太一。ブラック2杯とトースト1枚800円。
美智子はフルフェイスヘルメットの内側にあるポケットから赤い革製(かわせい)のマネークリップ式の財布を取出し、それから「アメリカンエキスプレスカード」を取出して支払いをした。
その際、太一は美智子の財布の中に入っていたおさつの量に一瞬(いっしゅん)驚きを隠(かく)せなかった。観た所50万円は下らない金額が財布に入っている様に観えた。
美智子とふたり喫茶店を出た太一、互いのバイクが駐車(ちゅうしゃ)してある駐車場にやって来て、太一はふと美智子を観て思った。
以前から、女っ気(け)が無い自分のプライベートに不満を感じていた。
そんな折り今回のツーリング中、これなる幸瀬美智子と思わぬ巡(めぐ)り会い果たす事が出来た。
以前から「峰不二子」の様なレザーかラバーのライダースーツの似合う美女と付き合えたなら・・・と適(かな)わずとも願い続けていた自分自身だった。
だが、今眼の前で奇跡(きせき)が起ころうとしている。
このまま終わらせて良いのか?太一?
相手は女優「吉瀬美智子」似の美女でそしてセクシーライダー、これ程に申し分無い人物はいないではないか?
チャンスを物にせねば!太一は意を決(けっ)する。

太一『幸瀬さん!!』

美智子『!!!(驚)  は!!はい(驚)!?』

突然太一に大声で呼び止められ不意(ふい)を付かれた美智子であった。

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