小説『女戦士は穏健派』
作者:剣聖()

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第十二話のつづき



部屋のインターホンが鳴った。

太一〔おや?今、チャイム鳴りましたね〜?〕

美智子〔そうですね〜?ルームサービスでしょうか?さっき出かける時にロビーで断わっておいたのですけど・・・。
取り敢えず私、観てきます。〕

太一〔スイマセン。お願いします。〕

美智子〔は〜〜い。今出ま〜〜す。〕

突然の来訪者に戸惑いながらも応答しにドアへ向かう美智子。


‐がちゃっ!‐


美智子〔はい。どちらさまですか?〕

ドアを開けて応答する美智子。

美智子〔・・・あ!あなたは、昨日の!〕

謎の男〔・・・ヨォ・・・!〕

なんと!
ドアの前に立っている来訪者は、昨日のパーキングエリアで清掃の老人に絡み、その後美智子に挑(いど)みかかり見事に美智子に大惨敗を喫し、その後源太郎に痛めつけられた暴走賊の兄貴分だった!

美智子〔まあ・・・あなた・・・!
よくここが分かりましたね?もうお怪我の具合はよろしいんですか?〕

暴走賊アニキ〔・・・おお!!あんなぐれ〜〜でくたばるオレ様ぢゃねえっての!
んで今朝方(けさがた)病院に事情聴取(じじょうちょうしゅ)に来やがった刑事(デカ)にアンタの事聞いてよお・・・・・・。居場所もそん時聞いたぜ!幸瀬美智子さんよ〜。〕

美智子〔まあ〜〜そうだったのですか〜。
すみませんね・・・私の加減が上手くなかったばかりに、大変なめに会わせたようで・・・。〕

暴走賊アニキ〔いや・・・アンタが氣に病むこっちゃね〜よ。あら〜どう観ても俺らの自業自得(じごうじとく)なんだからよ・・・!〕

太一〔幸瀬さ〜ん、どうしました〜?誰だったんです・・・・・・
って!キミは・・・(驚愕)!!昨日の暴走賊の・・・(驚愕)!!!?〕

思わぬ珍客に戸惑う美智子と太一。
しかしこの暴走賊の彼、いったい何の目的で美智子に会いにきたのであろうか・・・?

暴走賊アニキ〔ヨォ!アンタも一緒かよ・・・ま〜いいぜ。
・・・実わよお〜、泰山のヤローにブッちめられそうんなった時、美智子さんオレを助けてくれたぢゃんか・・・?その〜〜お礼をよお・・・して〜なって・・・思ってさ・・・!〕

美智子〔あら〜♪!お礼だなんて・・・なんだか悪いわ。と云うか私、あんまり手助けできなかったんですけど・・・。
・・・まあ、とにかく中へお入り下さい(微笑)。玄関先ではあまりにもですから(微笑)。〕

太一〔ええ!!?
な・・・中へって・・・幸瀬さん・・・??〕

美智子〔申し訳ありません、古久保さん(神妙)。どうか、ここは私に免じて・・・(神妙)。〕

太一〔・・・やれやれ〜〜優しいなあ〜幸瀬さんは(困笑)♪
分かりましたよ♪〕

美智子〔ありがとう御座います(微笑)。古久保さん♪
・・・・・・ではどうぞ(微笑)♪〕

暴走賊アニキ〔・・・いいのかよ?入って?〕

美智子〔ええ♪どうぞ遠慮無く(微笑)♪〕

戸惑う太一を持ち前の優しさと器量の大きさでなだめた美智子。
面倒見良く暴走賊アニキを部屋の中へと迎え入れる。


‐美智子と太一が宿泊している514号室内‐


そして・・・・・・暴走賊アニキを部屋の中に通した美智子と太一はと・・・。

美智子〔はい、どうぞ(微笑)♪〕

テーブルの椅子にかけた暴走賊アニキにも自作の朝食を振るまう美智子。

暴走賊アニキ〔・・・!?
・・・な!なんだよ(困惑)?オレも食っていいのかよ?アンタらの朝メシ(困惑)?〕

美智子〔もちろんですよ♪せっかくあなたを中にまねき入れて、私たちだけ戴いていてはあまりにも無体(むたい)じゃありません♪?
ですから遠慮なく(微笑)。ねえ♪古久保さん♪?〕

太一〔・・・・・・!!?
・・・え!!!?
え・・・ええ♪も・・・!もちろんですとも!
ちょ!・・・朝食は多勢で食べる方が美味しいですからね〜(笑)。〕

太一(・・・・・・くうう・・・(嘆)。
・・・せっかくの幸瀬さんとのふたりっきりの朝食タイムがあ・・・・・・(嘆)。
アイツが食べようとしてるのも、ぼくのおかわり分なのにい・・・・・・(嘆)。)

またと無い美智子との[仮想新婚生活]を意外な珍客登場によって中止させられた太一(大爆笑)。
朝の夢の時と同様まま為(な)らない結果が続く事になった♪

美智子〔ありがとう御座います♪古久保さん♪分かってくれて・・・・・・(安堵笑)。
そう云う事だから、どうぞ(微笑)。〕

暴走賊アニキ〔ア・・・・・・アンタ・・・。
・・・・・・オ・・・オレ、いちどはアンタをブッちめようとしたヤツなのにさ(感激)・・・。なのに・・・こんなオレに・・・こ!ここまで・・・やさしくしてくれるなんてよ・・・・・・(感激)。
・・・・・・うっうっうっ(泪)・・・・・・美智子さああん(泪)!!ごめんよおおお(泪)!!!オレえ・・・オレえ!!なんてバカな事しちまったんだろおおお(泪)!!!うううっ・・・(泪)。〕

心に染み入るような美智子のやさしさいっぱいの心尽くしに大感動し、むせび泣く暴走賊アニキ。

美智子〔あらあら・・・(満面微笑)。
朝食ぐらいで大袈裟ね〜〜(満面微笑)♪こんなに泣かれてしまうなんて(満面微笑)♪鼻水まで出てきてますよ(満面微笑)。はい♪チーン(満面微笑)♪〕


暴走賊アニキ‐ぢいいいいいいいいいいんん!!!ずるるるるるるるんんんん!!!‐


美智子〔はい♪キレイになりましたね〜♪では、冷めないうちにどうぞ(満面微笑)。〕

美智子はハンカチをアニキの鼻に添え、鼻をかむように促(うなが)す。
そして、滑稽(こっけい)な音をたてながら鼻をかむ暴走賊アニキ。

太一(さ・・・幸瀬さあん(嘆)・・・ぼくも心でむせび泣いていますよお〜・・・・・・(嘆)。慰めて欲しいなあ・・・(嘆)。)

と、心で思い、この期に及んでもまだ美智子に甘えたがる太一♪
ふふふ〜〜♪

暴走賊アニキ〔・・・んぢゃ!いただきまっっすう!!
ガツガツガツ・・・・・・う!うめえ!!うめえよ!!!・・・うめえよお(泪)・・・め・・・飯が泪(なみだ)とまざって・・・チクっとしょっぺえぜ・・・(泪)。
でも・・・うめえ(泪)!!〕

美智子〔うふふふ(満面微笑)♪〕

子どもに戻ったかの様な雰囲気で美智子の創った朝食を食べるアニキ。
それを美智子は微笑ましく観つめている。


‐10分後‐


暴走賊アニキ〔ごっつおおさんですう♪!!!〕

美智子〔はい♪お粗末さまでした〜(微笑)〕

美智子の創った朝食を粗方(あらかた)平(たい)らげ、満足げなアニキ。
美智子もそんなアニキを微笑みながら声をかける。

太一〔さ!幸瀬さん!ぼくもごちそう様でした♪
いや〜〜あなたの手作りの玉子焼き♪最っっ高でしたよ〜〜♪非常に納豆ともよく合っていたし♪おかわりが無いのが残念だなあ〜〜〜(笑)。〕

美智子〔まあ♪そんなに絶賛戴けるなんて(照笑)・・・創った甲斐がありましたわ♪ありがとう御座います、古久保さん(微笑)。
・・・でも、おかわりを用意できなかった事、申し訳ありません・・・。私がもっと十分(じゅうぶん)に買い込んでいれば良かったのですが・・・(詫)。〕

太一〔いやいや〜そんな・・・幸瀬さんの責任じゃありませんよ。氣にしないで下さい♪〕

暴走賊アニキ〔そうだぜ!アンタ、マジでイイ女だぜ!飯わあ〜うめえしよ♪やさしいしよお〜♪オレあ〜アンタに出会えてよかった・・・!マジで!そう思ってるぜ♪〕

美智子〔おふたりとも(感激)・・・・・・うれしいです、私(感激)。〕

太一とアニキのふたりの心からの賛辞(さんじ)に感激をする美智子。

美智子〔あの、ところで、あなたのお名前をお伺いしたいのですけど?構いませんか?〕

暴走賊アニキ〔ん?あ、ああ〜オレの名前かい?いいぜ!別に!
オレは[薬師丸 保衛(やくしまる やすえ)]ってんだ!年は19だ。よろしくな♪〕

美智子に名前を訊(たず)ねられ本名を明らかにした暴走賊アニキ。
彼の名は
「薬師丸 保衛(やくしまる やすえ)」
と云うらしい。ちなみに年令は19才だ。
名前から受ける印象と云う訳ではないが、何となく風貌が元ボクシング・バンタム級チャンピオン「薬師寺保栄」に似てる氣がする・・・。

美智子〔そうですか〜[薬師丸保衛]さんと仰(おっしゃ)るの〜(微笑)。良い名前ね♪こちらこそよろしくお願いしますね♪やすえさん(微笑)。〕

薬師丸〔・・・い・・・いや、出来たらよ・・・下の名前ぢゃなくして苗字で呼んで貰いてえなあ〜って(焦)。
・・・[やすえ]じゃあ挌好つかね〜モンな〜漢(おとこ)として(焦笑)・・・つう訳だから頼むぜ!美智子さん!〕

美智子〔え、ええ♪そうやわね・・・確かに(笑)。
分かりましたよ、薬師丸さん(微笑)。〕

美智子のような美女に愛らしく「やすえさん」と呼ばれ、あからさまに照れまくり苗字での呼称(こしょう)を催促する薬師丸(笑)。所詮はまだ19才の少年か♪

太一〔へえ〜〜〜(笑)、キミって観かけによらず優しげな名前じゃないか〜♪
きっとキミの親御(おやご)さんも心優しい人間になって欲しいと云う願いを込めたんじゃないかな〜♪?ぼくはそう思うよ、やすえくん(笑)。〕

薬師丸〔だ〜か〜ら(怒)!!!やすえと呼ぶなっつってんだろ(怒)!!!!!
美智子さんならまだ赦(ゆる)せるんだがよ〜アンタの場合は普通にムカつくんだって!
次云ったらキレっからよ〜氣をつけな!〕

太一〔!!??
す!すみませんでした・・・(落胆)。〕

薬師丸〔まあ〜〜分かってくれりゃあ〜そんで良いぜ♪〕

太一(クソおおお・・・・・・!!
ぼ、ぼくの方が13〜4才も年上だし、大人なんだぞ・・・(悔)!なのに・・・なんで・・・(悔)!)

相手は厳(いか)つい族とは云え、未成年なのに凄(すご)まれて簡単に屈服する自分に呆れながらも、自分だけに不遜(ふそん)窮(きわ)まりない薬師丸への不満を鱈腹(たらふく)思いまくる太一。

薬師丸〔そ〜云や、美智子さんさ〜アンタの苗字って[幸瀬(さちせ)]ってんだろ?間違いねえよね?〕

美智子〔ええ♪間違いありませんよ♪それが♪?〕

薬師丸〔いや〜さあ〜オレが知ってる有名人に
[幸瀬 旬一(さちせ しゅんいち)]
って人がいてさ〜。美智子さんとおんなじ苗字ぢゃん?なんかかかわりあんのかな〜〜と思ってさ。〕

美智子〔あら♪旬一でしたら私の弟ですけど?ご存知なんですか?〕

幸瀬旬一と云えばご存知美智子の弟で、全國にその名を轟(とどろ)かせた「伝説の喧嘩番長」で有名な漢の中の漢である!
族である薬師丸がその名を知り得ていても不自然ではないのだが・・・。

薬師丸〔ええっっっっっ!!?
美智子さん、あの[泣く子も黙る最強番長]幸瀬旬一のお姉さんだったのかよ!!?スゲえ・・・!!!・・・・・・ど〜りで強え〜筈だぜ・・・!
けどよ〜アンタ女だし、パッと観(み)強そうにゃ〜観えねえのにさ、美智子さん。なのにオレの必殺のラリアット喰らってもビクともしねかったし、逆に喰らわしたこっちの左腕がその衝撃でビリビリ痺れて痛かったんだぜ・・・!ぜってえ!!只者(ただも)んぢゃねえって思ったが・・・あの幸瀬旬一のねえさんだったたあ〜〜〜恐れ入ったぜ(驚)・・・!〕

美智子〔まあ・・・まさか旬一のお知り合いだっただなんて・・・氣付かなかったとは云えごめんなさいね(謝)。
でも・・・ところで、うちの旬一は[伝説]と云われる程みなさんに尊敬されていると云うのですか?私としては何ともピンとこなくて(不思議)・・・。
あの子・・・今でこそ丸くなりましたけど、昔は人様にすぐ乱暴な事しようとするし、ハチャメチャな事しては家族に迷惑をかけますし、部屋の整理整頓(せいりせいとん)はしませんし、洗濯物は溜めこむ一方ですし、ちゃんとした食生活は面倒くさがって怠(おこた)りますし・・・。あまり見本になれる所は少ないと思いますよ?
姉の私が云うのも変な話ですが・・・。〕

薬師丸〔そんな事あ〜無えよ〜!お姉さん!
旬一さんは高校の3年間で全國の[ツッパリ]や[ヤンキー]どもを残らずシメちまった、向かう所敵なしの猛者(もさ)なんだぜ!中には三下の[ヤクザ]数人すらシメた事もあるらしいしさ!そんでいて仲間のためなら命張れるスゲ〜漢なんだって旬一さんは(嬉)!
ホンとオレんとったら目標みてえな人だぜ(嬉)!〕

美智子〔そうですか・・・。委(くわ)しくはよく分かりませんけれども、あなたが旬一の事をそれ程までに尊敬して戴けるとは、姉としてありがたく思います(微笑)。
只・・・その内容のほとんどが[ケンカ]による物と云うのが複雑な氣分ですけど・・・。〕

学生時代は手の付けられない暴れ者であった弟の身の上を姉として常に氣にかけていた美智子としては、ひとりでも弟を尊敬してくれる者の出現には感謝を禁じ得んものだが・・・その要因の大半が悪友同士のケンカの実績と云う部分である事には微妙な心境に陥る美智子であった。

太一(へえ・・・。
あの幸瀬さんに喧嘩番長と畏(おそ)れられてるデンジャーな弟がいたなんてな〜・・・。
でも、彼の話を聞いてる分には迷惑なだけの不良って訳じゃなく、話の通じる氣骨(きこつ)のある人物らしい雰囲氣だよね。フフ♪やっぱりそこら辺は幸瀬さんの弟と云う事かな〜〜♪)

と、心で思う太一。

薬師丸〔なあなあ〜〜♪そんなしょげる事あ〜ねえぢゃん♪美智子さん♪アンタの弟の旬一さんはすげえ〜人って事にはちがいねえんだからさ〜〜(爆笑)。尊敬してるヤツもオレ以外にもゴマンといる筈だぜ!まちがいなく♪
・・・あっ!ところでさ〜美智子さんと旬一さんって[姉弟(きょうだい)ゲンカ]ってした事ってやっぱあんのかな?いや〜〜どっちも超強えからさ〜〜〜さ〜ぞスンゲエ!姉弟ゲンカなんだろうな〜って♪♪
ちなみに美智子さんの勝ち星はどんくらい♪♪♪?〕

美智子〔え(驚)!
え、ええ・・・まあ・・・それは姉弟(きょうだい)ですから痴話(ちわ)ゲンカくらいはありますけども・・・。
その・・・あの子とのケンカの勝ち負けに関しては、あまり良く憶えてませんねえ・・・第一自慢になる事ではありませんから(困惑)・・・。・・・でも私が憶えている限りでは旬一にしてやられた事はいちどもなかったと思いますけど・・・。〕

薬師丸〔ええっ(大驚愕)!!
まっ、負けた事いちどもないんスか(大驚愕)!!?あの[最強番長幸瀬旬一]を相手に(大驚愕)!!!?マジで・・・(大驚愕)!!?〕

美智子〔はい。〕

薬師丸〔・・・・・・・・・すげえ・・・(大驚愕)!!すっげえ強すぎるぜ・・・(大驚愕)!!!美智子さん(大驚愕)!!!
オレ・・・こんな猛者にケンカ挑んじまってたのか・・・(大驚愕)!〕

姉弟喧嘩に於いて弟、旬一にいちどたりとも敗れた事がない美智子に大驚愕する薬師丸。
旬一のツッパリとしての強さと伝説を知りえている分、薬師丸の驚きはより多大なものとなっている。

太一〔へえ〜。・・・それで薬師丸くん、その幸瀬さんの弟さんの旬一くんって人はどの位強い人だったのかな?〕

薬師丸〔どのくらいって・・・そりゃ〜メチャクチャ強えぜ!♪なんつったって[日本最強の番長]なんだからさ!♪てゆっかオレはいちども会ったこたねえんだけど(笑)。〕

太一〔な〜〜んだ、キミも本人には会ってないんじゃないか〜!?それじゃあ信憑性(しんぴょうせい)に欠けるんじゃないかなあ?〕

薬師丸〔んなこたあねえぜ!日本でツッパリやってりゃあ〜その武勇伝は間違いなく耳にする筈だぜ!余程のバカじゃなきゃあな(笑)。それによ〜〜美智子さんのこのスンゲエ強さ!♪その美智子さんの弟なんだぜ〜♪強くねえわきゃねえっての!〕

太一〔確かに幸瀬さんの弟さんだから、ズバ抜けて強そうな予感はするけど・・・ところで幸瀬さん的にはどうです?弟さんは?薬師丸くんの云う事当たってます?〕

美智子〔ええ・・・旬一が日本最強の番長さんなのかどうかは正直な所知りませんけど・・・確かによそ様の御子息によく乱暴をして何度か警察に補導されたりした事はありました。実にお恥ずかしい限りの話ですが・・・・・・。〕

太一〔い・・・いやあ、恥ずかしくなんかないですとも!十代の男の子って大小あるけど、誰しもやんちゃしたがる時期じゃないですか(笑)!きっと仲間思いのカッコいいツッパリくんなんだと思いますよ♪ぼくは♪幸瀬さんを観てると確信もてますよ。〕

薬師丸〔そ〜〜だぜ美智子さん!♪旬一さんは間違いなく、そ〜そ〜いねえシブイ漢(おとこ)なんだからよ〜♪誇りに思ってやってもらいてえなあ〜〜(笑)。〕

美智子〔旬一のためにそこまで・・・おふたり共、ありがとう御座います(大感謝)!姉としてお礼を申し上げます(大感謝)。・・・確かに旬一は乱暴者ではありますけど、お友達は大事にしはるいい子なんです。それだけは私、あの子を誇りにさえ思ってます(悦)。〕

恐縮しながら弟の事を話す美智子に、熱い理解を示している太一と薬師丸。
どうやら何だかんだは云っても美智子と旬一の姉弟は心の底から通じ合っているようだ。

太一〔いや〜何か話聞いてると会いたくなったなあ〜幸瀬旬一くんに(悦)!・・・ところで幸瀬さん、昨日の約束憶えてます?〕

美智子〔え!約束とは・・・?
・・・あっ!たしか[味噌カツ]をごちそうして下さる件でしたか?〕

太一〔そ〜そ〜そうです♪さすがは幸瀬さん(悦)。ちゃんと憶えていてくれたんですね(悦)?〕

美智子〔ええ(微笑)、それはもちろんですとも(微笑)。古久保さんからの折角のお誘いですから(微笑)。〕

太一〔うれしいなあ(悦)〜〜じゃあさっそくで申し訳ないんですが、今日の夕方の5時30分に夕飯(ゆうはん)がてらあなたにご馳走させて戴きたいと思うので構いませんかね?幸瀬さん?〕

美智子〔分かりましたよ(微笑)、古久保さん(微笑)。私も古久保さんが熱烈にお誘いしてくれるお店ですから、とても素適なお店なんだろうな〜と愉(たの)しみでしかたがなかったんです(微笑)。〕

太一〔そんな♪もったいないですよ〜そこまで悦(よろこ)んでもらえるなんて♪
でも逆に緊張してきたなあ〜(笑)。もし、ガッカリさせちゃったらどうしよう・・・(笑)。〕

美智子〔そんな事はありませんよ、あなたに限ってそんな事はないと思ってますから(微笑)。どうか緊張せず安心してください(微笑)。〕

太一〔幸瀬さん・・・(感激)。〕

お誘いを持ちかける者と持ちかけられる者・・・。
エスコートする者とエスコートされる者・・・。
果(はて)は・・・敵と味方・・・。
そう云った立場や状況と云うちいさな次元など超えて常に細部や終(しま)いに至るまで、最高の配慮と云うものを与えてくれる美智子の器量に又しても感動を禁じえない太一。
そこへ、すると!

薬師丸〔ふ〜〜ん、アンタら今日味噌カツ喰いに行く約束してたんか〜。そいつは知らなかったとは云え厚かましいコトしちまったな。急に来て朝メシまで喰っちまってよ(笑)。〕

美智子〔いいのよ(微笑)♪そんな事をあなたが氣にしなくていいんですよ(微笑)。
それよりも今日薬師丸さん自身が自らを悔い改め、こうしてご自分の意思でお詫びに赴いて下さった・・・その行為こそが何よりいちばん有り難かった訳ですから(微笑)。
・・・ねえ、古久保さん(微笑)?〕

太一〔そうですとも、幸瀬さん(悦)。
そうだよ♪薬師丸くん♪やっぱり君は幸瀬さんが云った通り[心底からの悪人]じゃ無かったって訳だよ(悦)。ぼくも改めて君と接して実感したよ。
お互いそれを分かり合えた事は収穫だったはずさ(悦)。・・・第一、キミが遠慮するなんてぼくにはピンと来ないもん♪〕

薬師丸〔アンタら(感激)・・・・・・優しすぎんぜ(感激)・・・!マジで・・・(感激)!〕

普段はぶっきらぼうな性格の薬師丸も、美智子と太一ふたりのこれ程の温かみにみちた言葉には感動しきりにならざる得ない様だ(微笑)。

美智子〔・・・せやわ(微笑)!!!
よかったら薬師丸さんも私たちと[味噌カツ]ご一緒しませんか(微笑)?
やっぱりお食事と云うのは[ひとりよりもふたり][ふたりよりも3人]と云った具合に多勢(おおぜい)で愉(たの)しむほうが美味(おい)しいものですものね♪
もし、ご都合さえ赦(ゆる)されるのでしたらそうしません(微笑)?薬師丸さん?〕

薬師丸〔えっっっ!!!??〕

太一〔えええっっっ!!!!!???〕

おおっとお!!!
何と!太一が「味噌カツデート」の予定で美智子を誘った食事に、急に・・・薬師丸を誘うなんて事をし始めたああ!!
せっかくの初デートの筈が・・・太一!大ピンチ(微笑)!!!

太一(!!??幸瀬さん!!急になんと云う事を・・・(焦)!!)

と、心で思う太一(悦)。
ププ♪

薬師丸〔お・・・おい!いいのかよ!?オレみてえなガラ悪リイ〜ツッパリの族が、アンタらのデートにお邪魔しちまってもよお〜?
ど〜〜考えても場違いだろ?オレなんかが居たら??〕

太一(そうだ!!いいぞ!!やすえくん!!もっと熱烈に幸瀬さんを説得して自ら辞退するんだ(必死)!!)

も〜〜徹底的に必死になって思う太一(悦)。
ププ♪
す・る・と♪

美智子〔まあ〜♪デートだなんて(微笑)!お上手ですね(微笑)。
でも、古久保さんと私は昨日出会ったばかりですから、そ〜んなデートなんてできる程深い仲にはなれてませんよ(微笑)?まだ♪
ですから、あなたが氣を遣う要因なんて無いと思いますから、どうぞ遠慮なく(微笑)♪〕

太一(そんな〜深い仲にはなれてないなんて(嘆)・・・もう昨日色色あって結構通じあえたと思ってますよお〜(嘆)。)

お互いの関係における美智子との認識の違いを実感し、心で嘆く太一
ププ♪

薬師丸〔ほんとかよ〜?マジでいいのか?オレなんかが混ざっちまってよお・・・美智子さん?〕

美智子〔もちろん♪大歓迎ですとも(微笑)!ねえ♪古久保さんも薬師丸さんを歓迎して戴けますか(微笑)?〕

太一〔・・・へっ(焦)!!?
・・・え!ええ!!そ!それは当然・・・(焦)!!大歓迎に決まってますとも(焦)!〕

太一(ううっっ(泪)・・・オレってなんてツイてないんだろ・・・(泪)。)

と、心でむせぶ太一♪
2度ならず3度までも美智子とのふたりきりの時間を没収されるハメになろうとは♪
ここまで来るとある意味太一も氣の毒に思えてならない・・・。

しかし、ここでも美智子の分(わ)け隔(へだ)てのない、いっぱいの温かさとやさしさを十二分(じゅうにぶん)に実感できるが、ある種こうして冷静に観ると間違いなく「天然系」と云える性分だろう・・・美智子は。

薬師丸〔そっか・・・じゃ!!そこまで誘ってくれんならさ〜ゴチになっちまうぜ(爆笑)!!オレ!
んじゃあ!よろしくな!!美智子さんに太一さん(爆笑)!!〕

美智子〔ええ(微笑)。こちらこそ宜しくお願いします(微笑)。〕

太一〔宜しく・・・こちらこそ(苦笑)。
・・・・・・・・・ハハ(苦笑)・・・ハ・・・ハハハ・・・(苦笑)。〕


こうして太一と美智子ふたりの名古屋における甘くときめきに満ちた「味噌カツデート」は、奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)で珍妙(ちんみょう)な「味噌カツ3P」になってしまった。
美智子と太一ふたりの付き合いはまだまだ長く、遠いものになるであろう。太一は焦る必要はないのかも知れない。

・・・同時に氣になる存在も浮上してきた。
薬師丸に美智子と太一の居場所を教えたと云う「刑事(けいじ)」の存在である。
一体何者であろうか・・・?

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