小説『約813の問題児が異世界からくるそうですよ?』
作者:tasogare2728()

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第十八章

そして、事態は動いた。

「来たな――」
龍嗣は、複雑な心境の中――黒い契約書類を受け取る。


ギフトゲーム名 &quot;The PIED PIPER of HAMELIM&quot;
プレイヤー一覧 ・現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者全コミュニティ
プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター
      ・太陽の運行者・星霊 白夜叉
ホスト側 勝利条件
      ・全プレイヤーの屈服・及び殺害
プレイヤー側 勝利条件
      一,ゲームマスターを打倒
      二,偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、ノーネームはギフトゲームに参加します グリムグリモワール・ハーメルン &quot;印&quot;

そして、観客席の中で一人、膨張した空気が弾けるように叫び声をあげた
「魔王が……魔王が現れたぞオオオオオォォォォォォォォ―――――!!!」


最初の変化は、龍嗣の上空にあったバルコニーで始まった。
「な、何ッ!?」
白夜叉の周囲が球体上に黒い風に包まれた
「白夜叉様!?」
サンドラが白夜叉に手を伸ばすが、バルコニーに吹き荒れる黒い風に阻まれた。

「きゃ……!」
「お嬢様、掴まれ!」
空中に投げ出された十六夜は、すかさず飛鳥を抱きかかえて着地する
黒い風は勢いを増し、白夜叉を除くすべての人間を一斉にバルコニーから押し出した。

&quot;ノーネーム&quot;一同は舞台側にいた。そして、舞台袖からジン達が出てきた子を確認する。そして、十六夜が黒ウサギに振り向く
「魔王が現れた……そういうことでいいんだな?」
「はい」
黒ウサギは真剣な表情で頷く――龍嗣、スサノオ含め、メンバー全員に緊張が走る。
阿鼻叫喚が渦巻く会場の中心で、軽薄な笑みを浮かべている十六夜と龍嗣とスサノオ
「それで、白夜叉の&quot;主催者権限(ホストマスター)&quot;が破られた様子は無いんだな?」
「はい、黒うさぎがジャッジマスターを務めている以上、誤魔化しは利きません」
「ってことは、ルールに則ってるってわけか、面白いな」
黒ウサギの言葉に龍嗣がいった。
「どうするの?ここで迎え撃つ?」
「いや、けど全員で迎え撃つのは具合が悪いな――それに&quot;サラマンドラ&quot;の連中も気になる、あいつらは観客席の方に飛んでいったからな」
「そうだな――そんで、分けは?」
龍嗣が問う
「では、黒ウサギがサンドラ様を捜しに行きます、その間は十六夜さんとレティシア様と龍嗣さんで魔王に備えてください――ジン坊ちゃん達は白夜叉様をお願いします」
「わかったよ」
レティシアとジンが頷く
「了解した、スサノオ――あらゆる角度から&quot;偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ&quot;を調べろ、それと飛鳥襲撃地を調査しろ――何かあるかもしれない…通信はONにしておけ、いいな?」
「了解」
「あぁ、あとそれと――最高に過激な二重奏でもお見舞いしてやれ…」
「へぇ…いいのかしら?」
「問題ないさ」
そういってスサノオがとびだしていく
「おおよその話は分かりました、魔王を迎え撃つというなら我々&quot;ウィル・オ・ウィスプ&quot;も協力しましょう、いいですね、アーシャ」
そういうかぼちゃのお化けもといジャック・オ・ランタン
「う、うん、頑張る」
緊張ながら承諾するアーシャと呼ばれる少女
「では、お二人は黒ウサギと一緒にサンドラ様を捜し、指示を仰ぎましょう」
そして、龍嗣は上空に視線を向け、各々の役目に向かって走り出す。
上空に見える人影が落下してくる


「んじゃ行くか!!」
「オッケー黒いやつと白いやつは十六夜がやれ、でかいのと小さいのは俺とレティシアでやるわ」
「了解――」
「了解した主殿」
そして、十六夜は嬉々として体を伏せ、舞台会場を砕く勢いで境界壁に向かって跳躍した


「さてと、レティシア そうそうで作戦変更だ」
龍嗣の視線の先には、陶器の巨兵とペストがいる
「どういうことだ、主?」
「今すぐ、この場から離れろ――いいな?」
「……わかった」
「それとだ、仮に笛でことを起こされると感覚が鋭敏な春日部が一番ダメージを喰らう、フォローを」
「あぁ」
そういって、レティシアはそこから離れていった。




そして、レティシアが消えると同時に黒い風が渦巻き――斑模様の少女が現れた。

「どうして…どうして、貴方がここに!?」
驚いた表情の彼女
「愚問だぞ、ペスト――理由は、わかっているんじゃないの?」
「まぁ、いいわ――シュトロム」
「BRUUUUUUUUUUUUUM!!」
陶器の巨兵は全身の風穴から空気を吸い込み、四方八方に大気のうずを作り上げている。
奇声に応じて鳴動する大気――乱気流の渦が巻き起こっているが
「諦めろ、ペスト――それは、俺には、効かないよ」
そう、龍嗣は風を司るスキル『風の吹くまま(ウィンドウショッキング)』を使って変幻自在に操っている
「…さすがね、ますます私の手駒にしたいわ」
「BRUUUUUUUUUUUUUM!!」
巨兵の顔面に空いた巨大な空洞からあまたの瓦礫が襲い掛かってくるが

ズガガガガァァァン!!
それが全て出た直後――重力で地面に叩きつけられた。
「ということだ――んじゃあ、まぁ、邪魔なんでっと」

ズドォォン!
「BRUUUUUUUUUUU!?」
波動を司るスキル『大把乱(グリップカオス)』と重力を司るスキル『躯重量(グラビト)』と爆発を司るスキル『発破六重死(アハトアハトデッサン)』と速度を司るスキル『自我速度(マイスピード)』それを、コンボのスキル『猛打傷(ヒットメーカー)』でつなげた。そして結果その巨兵がものすごい速さで彼方まで吹き飛ばさた。


「……シュ…シュトロムが」
その攻撃に絶句するペスト――そして、龍嗣は一瞬にして彼女の背後まで迫る。しかし、不気味な風に包まれた
「あなた、襲う気?」

いたずらっぽく言う彼女
「降参――そんなもんは、ないか&quot;黒死斑の魔王(ブラック・バーチャー)&quot;」
「う…」
その直後、龍嗣を黒く、ぬるく、不気味な風が龍嗣に襲いかかる。そして、ペストは龍嗣の胸ぐらを掴まず――ゆっくりと抱きしめた

「お願い――逃げて…」
彼女にそう言われる。本気でそんなことを言ってる彼女
「わかった――このゲームに勝って君を俺の手駒にする」
「負けたら、私はこの手で貴方を葬る――せめて、貴方には笑顔で逝ってもらうわ」
「あぁ、負けるつもりはないがな」
そういうと、龍嗣は彼女の攻撃を甘んじて受け、地面に激突した。


「さてと…っと」
彼女に吹き飛ばされたのは、舞台区画だった。視線の先には、サンドラとペストが対峙している。
威力は、和らげたものの、ぶつかった時の衝撃は、少しでかかった。
「(どうだ?スサノオ?)」
「(えぇ、今飛鳥襲撃のところにいるわ)」
「(避難誘導は?)」
「(ある程度までいってるけど)」
「(了解、引き続き続けろ)」
「(了解)」
視線の先には、飛鳥がいた。そして、屈託なくケラケラと笑っている白装束の女
どうやら彼女は、飛鳥を見くびっているみたいだ。そして、飛鳥はギフトカードを持ち、大声で叫んだ
「全員――そこをうごくなッ!!!」
直後――火蜥蜴や白装束の女を拘束した。そして、飛鳥は銀十字の剣で彼女の懐に飛び込み、心臓を狙う一突き
「―――っ…!!この、甘いわ小娘!!」
重なる金属音、白装束の女は圧倒的な後手をモノともせず剣を振り払った
「驚いた……不意打ちとはいえ、数秒も拘束されるなんて、かなり奇妙な力を持ってるのね、貴方、出会い頭に悪魔を服従しようとするなんでいい度胸してるじゃない♪」
と同時に、飛鳥の腹部に蹴りが入って、腹部を抑えながら倒れ、気を失った

ゆっくりと、音ひとつ立てずに動き出す龍嗣
「……綺麗ね、さっきの子もいいけど、総合では貴方の方が素敵かな」
「貴様!!」
白い髪を戦慄かせ射殺すような視線を向ける白夜叉
「ふふ、どんなに凄んでも無駄よ、この封印は特殊な功績で得たマスターの&quot;主催者権限(ホストマスター)&quot;で作られている、如何に最強のフロアマスターでも、箱庭の力は破れないでしょ?」
「くっ……!」
「&quot;幻想魔導書郡(グリム・グリモワール)&quot;に所属していた時に貴女の怪物っぷりはよく耳にしたものよ――まぁ、御託はこれぐらいにしておいて、さあ!我々&quot;グリムグリモワール・ハーメルン&quot;のゲームはコレからが本番よ!!最高に過激な歌劇(オペラ)――」
「始めましょうかね!!主役は、俺でな!!」
白装束の女が突如、打撃を受けて吹き飛んだ

ズガァァァァアン!!
轟音と共に、砂煙が舞い上がる
「なんつぅ、馬鹿げた攻撃力…あなた人間か!?」
「人間だよ…馬鹿げたな」
そう不敵に笑う龍嗣――そして、空に雷鳴が響いた。
「間に合ったかな?」
「今の雷鳴……まさか!」



龍嗣の視線の先には、黒ウサギがいた。黒ウサギは、輝く三又の金剛杵を掲げ
「&quot;審判権限(ジャッジマスター)&quot;の発動が受理されました!これより、ギフトゲーム&quot;The PIED PIPER of HAMELIM&quot;は一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!繰り返します――」
高らかに宣言していた。

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