小説『約813の問題児が異世界からくるそうですよ?』
作者:tasogare2728()

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第十九章

大祭運営本陣営大広間
龍嗣は、宮殿内の一角で全員探していた
「十六夜さん、龍嗣さん、ご無事でしたか!?」
「まぁね」
「こっちは問題ない、ほかのメンツは?」
「残念ながら、十六夜さんと龍嗣さんと黒ウサギとスサノオさんを除けば満身創痍です、飛鳥さんに至っては姿も確認できず……すみません、僕がしっかりしていれば……!」
悔しそうに頭を下げるジン
「白夜叉様の伝言を受け取り、すぐさま審議決議を発動させたのですが……少し遅かったようですね」
苦々しい声の黒ウサギ
「いや、そうでもないさ――いいタイミングだったよ」
「それにしても、本当に不備があるんだよな?」
「白夜叉様が言う以上、たぶん」
「まぁ、相手は天下の魔王だからな、おい、龍嗣、どうしてそれを?」
「偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ――これがあの大空洞にあったステンドグラスと関連している気がしてな」
「ステンドグラス…?なぜ、それを」
「ステンドグラスは砕くものだからな」
「・・・意味がわかりません」
ジンに速攻で否定された。
「想像の斜め上を行くスキージャンプだな」
「それは色々と問題があるわね」
スサノオがツッコム――そんな中
「今より、魔王との審議決議に向かいます、龍嗣さんを含めずに同行者は四名です――まずは、箱庭の貴族である黒ウサギ、サラマンドラからはマンドラ、その他に;ハーメルンの笛吹;に詳しい者がいるならば、交渉に協力して欲しい、誰か立候補するものはいませんか?」
十六夜は、ジンの首根っこを捕まえ
「ジンだな」
「あぁ、そうだな」
「;ハーメルンの笛吹き;についてなら、このジン=ラッセルが誰より知っているぞ!」
「そうだな、こいつは俺の目に叶うやつだからな」
「……は?え、ちょ、ちょっと十六夜さん!?それに龍嗣さんも!」
「ま、こういうことも今後あるんだし、いいんじゃね、いい経験にはなるよ?」
「そういうこった、けど――なんで龍嗣が特別扱いされているんだ?」
「さぁな――」
と二人は、サンドラの方を見ると、サンドラもよくわかってないみたいだ。そんな中
「おい、黒ウサギ」
「はい、なんでしょう?」
「この審議決議中でだれも動けないのか?」
「はい、ゲームを進めることはできません」
「了解」
意味深な質問を残し、龍嗣とあーだこーだと抗議するジンとからかう十六夜と半ば呆れ顔のサンドラと黒ウサギを連れて貴賓室に向かった。



「ギフトゲーム;The PIED PIPER of HAMELIM;の審議決議、及び交渉を始めます」
厳かな声の黒ウサギ――そして、色々と問答が起こりそうな現在状況。無理もない

「(まさか、こうなるとは…思わなかったわ)」
厳かな雰囲気とものすごく痛々しい視線と――全方向から意見を問いただされそうな状況。場を悪化させているとしか言い様がない。

イライライライライライライライライライラ…
ものすごい怒気と威圧感を含んでいる十六夜と黒ウサギ。若干二人のせいで、二人の足元の床に亀裂が入ってる。
マンドラがいるものの、サンドラとジンはお互い顔と手を合わせ必死に泣きそうな顔を抑えている。
絶対怖いに違いないだろう。そして、元凶は――龍嗣だ

「(なんで、一緒の席なんだよ・・・)」
少し大きめの椅子に座っている龍嗣、その膝の上には諸悪の根源?の;黒死斑の魔王(ブラック・バーチャー);のペストが猫のように足を組んで座っているのだ。そして、龍嗣の胸に頬ずりると
ガチンッ!!
今度は、黒い軍服のウェーザーと白い装束のラッテンが地団駄を踏んだ。
「(何この空間、もうヤダ・・・)」
飛鳥と耀とスサノオがいたら、この場で速攻首を跳ね飛ばされているかもしれない
龍嗣の頬から冷や汗がだらだらとこぼれ落ちる。そんな中

「なぁ、黒ウサギ」
「はい、なんでしょう?」
「審議決議の場では、相手と話していいんだよな?」
「はい、決議の場なので」
その途端、十六夜とウェーザーのあいだに何かが流れたらしく
 ・
 ・
 ・
ガシッ!!
「仲間割れ、応援するぜ!」
「あたぼうよ、少して伝ってもらうぜ同志!!」
「おう!」
お互い固く握手する二人――視線の先には龍嗣
「(あっ、詰んだ)」
「お待ちくださいこのおバカ様ぁぁ!!」
スパァァン!!
黒ウサギの伝家の宝刀が唸りを上げる

「とりあえず、;主催者(ホスト)側;に問います――此度のゲームですが」
「不備はないわ」
ペストは言葉を遮っていった。
「今回のゲームに不備不正は一切ないわ、白夜叉の封印も、ゲームのクリア条件も全て整えた上でのゲーム、審議を問われる謂れはないわ」
「受理してよろしいですね?黒ウサギのウサ耳は箱庭の中枢と繋がっております――嘘を吐いても直ぐに分かってしまいますヨ?」
「ええ、それを踏まえたうえで提言しておくけど、私たちは今、無実の疑いでゲームを中断させられているわ、つまり、貴女達は、神聖なゲームにつまらない横槍を入れているということになる――言ってることわかるわよね?」
涼やかな瞳でサンドラを見つめる
「ん?けど、無実の罪もクソも、わかりぬくいのがいけないんだろ?第一、;偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ;なんて、洒落てるにも程があるぜ?時間が経ったら終了とか三ポイント入れた方の勝ちとかホストマスター打倒とか、簡単なのにしろよ」
ド正論だった。そして、あまりにも正論だったため、周りが黙り込む
 ・
 ・
 ・
「ふぇ・・・」
ペストの瞳に涙が流れそうになる
「ま、魔王なんだからそれくらいいいじゃない」
今にも泣きそうな声のペスト。彼女はこんなに幼かったかと思う。
そして

ジーッ・・・
龍嗣に視線が敵味方関係なく突き刺さる、あの十六夜も;それは、ないぜ;みたいな視線を送ってくるから
「な、なくなって」
ペストの髪をなでてやると、とたん彼女の顔が明るくなる
「(猫かこいつ・・・)」
と同時に、反比例のように増加する殺意

「それで、そちら側は、不正がなかった場合……主催者側に有利な条件で再開させろ、と?」
「そうよ、新たなルールを加えるかどうかの交渉はその後にしましょう」
「……わかりました、黒ウサギ」
「はい」

「結果は?」
「――箱庭からの回答が届きました、此度のゲームに不正・不備はありません、白夜叉様の封印も、正当な方法で作られたものです」
「そうか――ねぇ」
龍嗣はペストに話しかけた
「ん?なに、龍嗣?」
「白夜叉から参加権は奪ってないよな?」
「うん、奪ってないわよ――そんで、問題はゲームの再開の日取りよ」
サンドラに向かっていうペスト
「日取り――日を跨ぐと?」
「ジャッジマスターに問うわ、再開の日取りは「まて!!」」
龍嗣が止めに入った
「りゅ、龍嗣さん?」
「あら、なにかしら?魔王の恋人さん」
 ・
 ・
 ・
「まぁ、否定しないでおこう」
「「「「「「否定しろよ!!」」」」」」
約全員にツッコまれた
「まぁ、戻すぞ――もう、こうなってしまったからには俺の責任でもあるが―― 一応聞いとくぞ、開催前に一部には既に病原菌を潜伏させているんじゃないか?それも、ロックイーターのような無機物生物やあくまでもない限り発症する呪いを、ま、例外もあるがな」
「はぁ、その通りよ」
「「「(後ろ向きに言えよ・・・)」」」
約全員がそう思っている。

「っ……!?」
全員の顔が凍りつく、最悪の状況だった
「それで、此処に居る人たちが――参加者がわの主力と考えていいのかしら?」
「……」
「マスター、それでただしいと思うぜ」
黙り込む面々――そして、ヴェーザーが答えた
「なら、提案しやすいわ――私は、」
そういうと、龍嗣の頬を顔を抱きかかえ
「わっ」

「龍嗣がほしいの、くれたら他のコミュニティは見逃してあげるわよ?」
というと、ラッテンが
「私が捕まえた「あなたの意見なんて聞いてないわ、ラッテン、私はこの子が欲しいの」ま、マスター」
「どうなの?参加者全員の命と引き換えなら安いものでしょ?」
焦り始める相手側と、もうそれでいいか〜的な雰囲気が流れ始める味方側
というか、よくよく考えたら愛らしい笑顔とは真逆に従わなければ皆殺しだとこの少女は笑顔で言っているのだ。

「(なにこれ、交渉ってレベルじゃねぇ)」
人質である
「それにしても、そっちは――人数から見て新興なんだと?」
「そ、それは関係ないわよ」
どう考えても関係あるだろと感じる全員
「となるとだ――俺が欲しい理由にも納得はいくな」
「・・・わ、私は――」
「本音のところ、ここにいる全員が欲しかったんだろ?そこにいるラッテンが私が捕まえたって言った時点でわかったよ」
「う・・・」
「ま、まぁ、あなたさえ手に入れられれば、あ、あとはいくらでもできるし」
そのいくらでもってところにやましい感情が含まれてないといいなと思う龍嗣
「まぁ、私たちには再開の日取りを自由にする権利がある―― 一ヶ月ではなくとも、二十日後、二十日後に再開すれば、病死前の人材を――」
「では、発症したものを殺そう」

マンドラが真剣にそういった
「例外はない、例え、サンドラだろうと;箱庭の貴族;だろうと……この私であろうと殺す――フロアマスターである;サラマンドラ;の同士に、魔王への投稿する脆弱なものはおらん」
絶句する――縦令ブラフだとしても過激すぎる

「なら――交渉だ」
龍嗣がそういうと――十六夜も何かをひらめいた、もしくは龍嗣の意図に気づいていった。
「あぁ――俺たちは、ルールに;自決・同士討ちを禁ずる;と付け加える――だから、再開を三日後にしろ」
「却下よ――二週間」
「なら、黒ウサギ参加で――」
「……十日、これ以上は譲れないわ」
「ちょ、ちょっとマスター!?;箱庭の貴族;に参戦許可を与えては……?」
「馬鹿かババア、黒ウサギを手に入れれば、ほとんどのゲームが箔付きになるぜ?そうすれば、いい人材なんて山ほど入るんじゃないのか?」
「――まぁ、そうね」
少し焦るラッテン――そんな中、ジンが意を決して言った

「ゲームに……期限をつけます」
「なんですって?」
「再開は、一週間後――ゲーム終了は、その二十四時間後、そして、ゲームの終了と共に主催者の勝利とします」
「……本気?主催者側の総取りを覚悟するの?」
「はい、一週間は死者が現れないギリギリのラインです、今後現れるであろう病状やパニックを想定した場合、精神的にも体力的にもギリギリ耐えられる瀬戸際、そして、それ以上僕らも耐えられない、だから、全コミュニティの無条件降伏を呑みます」
今後の準備+謎解きの時間が欲しい参加者側――優秀な人材たち+龍嗣を無傷で手に入れたい主催者側
一見して合理的に話が進んでいるみたいだが、気に入らなそうなペスト
「(ま、何もかもが参加者側の目論見通りってわけだからな)」
龍嗣は、何も言わず彼女の撫でてやる――少し顔がマシになる
「なら、こっちからも提案させて頂戴――相互不可侵の代わりにこちらから龍嗣に接触することは許可して頂戴」
「それくらいなら、どうぞご勝手に、連れて帰ってSMプレイでも女王様的なことでもどうぞ」
十六夜がしてやったりな顔をする

周りをみる龍嗣
「(味方いねぇぇぇぇええええええ!!)」
孤立魔王援?みたいな感じだった
「貴女達――もしも一週間生き残れたとして……貴方は、魔王に勝てるつもり?」
「勝てます」
「つもりじゃねぇ、勝つんだよ」
ジンと龍嗣は答えた
「…………そう、よくわかったわ」
そして、花が咲いたような笑顔で
「宣言するわ、龍嗣は必ず――私のダー「いうなぁぁぁあ」むぐ、むごぁ!!」
瞳に壮絶な怒りを込めて言おうとした言葉を龍嗣は全力で口を塞いで止めた
それから、激しく黒い風と共に、主催者側――;黒死斑の魔王(ブラック・バーチャー);はそこから消え、;契約書類;だけが残った

ギフトゲーム名 ;The PIED PIPER of HAMELIM;
プレイヤー一覧 ・現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者全コミュニティ(;箱庭の貴族;を含む)
プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター
      ・太陽の運行者・星霊 白夜叉
プレイヤー側・禁止事項
      ・自決及び同士討ちによる討ち死に
      ・休止期間中にゲームテリトリー(舞台区画)からの脱出を禁じる
      ・休止期間の行動範囲ないは、大祭本陣営より500m四方に限る
ホスト側 勝利条件
      ・全プレイヤーの屈服・及び殺害
      ・八日後の時間制限を迎えるとき無条件勝利
プレイヤー側 勝利条件
      一,ゲームマスターを打倒
      二,偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ
休止期間  ・一週間を、相互不可侵の時間として設ける
           ただし、主催者側から九十九龍嗣に接触することは許可する。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、ノーネームはギフトゲームに参加します グリムグリモワール・ハーメルン ;印;



「さてと――」
立ち上がろうとする龍嗣――しかし、動けない。この空気が龍嗣をそうさせた、さしずめ無言の圧力ってところだろ
「龍嗣――なぜ、あんなに魔王と仲がいいか教えてもらおうか?」
「あぁ、貴様が魔王を呼び込んだとも言えないからな」
「まぁいいぜ――話してやるよ」
それから、龍嗣の話が始まった
「まず最初だ――黒ウサギ、ジン、それに十六夜は知ってると思うが――俺はここに来る前に魔王と戦ってる、それも、今のより数倍ヤバイ奴な」
「あぁ、あの時ですね」
黒ウサギが言う
「そうだ――それである程度、魔王ってのはどんなのかがわかったわけよ――それで、ここに来てブラブラと歩いていたら、まさかのドンピシャ、だから俺は彼女に近づき、その素性を調べていたわけだ」
「なら、なぜ、私たちにそのことを」
「簡単さ――切り札を使うためにな」
「…切り札ですか?」
サンドラが聞いてくる
「あぁ、ここにいるべきでいない奴がいるだろ?一人」
「…まさか!?」
ジンがそれに気づいた
「あぁ、スサノオがここにいないだろ?」
「あ、確かにそうですね!」
「そうだ――彼女には、隠密で動いてもらってる」
「…えっ?けど、彼女は;ノーネーム;の」
「いや、今は;五桁のダークレイブンズ;として、動いてもらってる」
「「「「五、五桁!?」」」」
「そういうことだ――だから、彼女は自由に動ける」
「ば、馬鹿げている、そんなことが」
「ありえるんだよ」
「ってことは、この区画以外でも動ける奴がいるってことだよな」
「あぁ、十六夜、その通りだ」
「おいおい、本当に白夜叉のいうとおり、JOKERだな」
「ということだ――っと、まず最初に黒ウサギ――どうなるかわからない隔離部屋を作れ、まず最初にそれだ、いいな?」
「は、はい」
そういうと、黒ウサギが龍嗣に言われたように、急ぎ足で出て行く
そして、いなくなったことを確認すると再び龍嗣は口を開いた。
「さてと――いなくなったな」
「マンドラ、少し下がってくれ」
「…わかった」
そういうと、貴賓室にはジンと十六夜とサンドラだけが残った
「さてと…ここにいる4人は、自分たちの立場わかっているよな?」
「十六夜さん以外は、全員コミュニティのリーダーですね」
「その通りだ、これから最終――それもトップシークレットの作戦を話す、いいな」
無言でうなずく三人
「まず一つ目――ゲーム終了数時間前になったら、俺はスキルを使って無理矢理答えを見つけ――直後、洗脳で一気にゲームをクリアする…いいな」
「はい、わかりました、けど、なぜ説明する必要が?」
「仮にだ――この状況で洗脳工作が行われたらどうする?」
「明確なルール違反・・・大混乱に陥りますね」
「この状況だ、何が起こるかわからない、ノーネームはさておき――サラマンドラはかなり大きい、そいつらが一斉に洗脳にかかりました操られましたとなったら」
「コミュニティの信頼がですね」
「あぁ、だから――当事者には知っておいてもらう必要があるのさ」
「つか、なら最初からそれを使って一気にクリアするという方法はなかったのか?」
「いや、彼女を洗脳しても良かったのだが――あちらも洗脳を使うとなると、

「わかりました、混乱を防ぐという意味で、何か合図がないと」
「それは、最終日に言う――いいな?」
「「はい」」
そういって、頷くとその場は解散となった。

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