小説『百獣の王』
作者:羽毛蛇()

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”キャプテ〜〜〜ン・ウソップ!!!”



〜Side タクミ〜



 俺の麦わらの一味としての初航海を終え、俺たちはシロップ村近くの海岸に到着した。


「あったなーー本当に大陸が!!」

「なに言ってんだ? ナミは優秀な航海士だぞ?」

「はいはい。褒めてもお酒ぐらいしか買ってあげないわよ」

「ナミ……流石だな」


 すかさずキリッと顔を作り、ナミを讃える言葉をかけるゾロ、そんなに酒が飲みたいのか?


「タクミに買うのよ? 欲しければわたしを讃え敬いつつ、タクミに配給を願いなさい!!」


 芝居がかった調子でそう告げるナミはノリノリだった。


「タクミ、何かおれとお前で扱いが違くねェか?」

「仕方ないんじゃないか? この舟では今、俺がコック代理みたいなもんだから。海の上でコックに逆らったらデスるぞ? 求めよ! されど渡さん!!……ってな」


 先ほどのナミのノリに合わせて、俺も某悪逆皇帝並のオーバーアクション付きで、ゾロに宣言してやった。


「お前、性格悪くなってきてねェか?」


 ゾロがジト目で睨んでくる。


「親離れしたからじゃないか? それよりナミが酒買ってくれるみたいだし、久しぶりに昼間から呑もう!!」

「……そうだな、じゃあ行くか」


 ゾロはイマイチ納得していないようだが取り敢えず舟から降り、地面が久しぶりとかボヤキながら伸びをしている。

 俺の性格は元から悪い方だと思う。昔は同僚から腹黒王子と呼ばれていたからな。褒め言葉として受け取った上で一発殴っといたのは言うまでも無い。

 後、ルフィに壊された酒樽のことで未だにいじけているせいなのも否定はしない。


「ところで、アイツら何だ?」


 ゾロの言葉で我に返ると、崖の上に見えるはウソップ海賊団の面々。俺、ウソップは結構好きなんだよな。

 麦わらの一味は主要キャラだけあって全員好きだが、サンジ、ウソップ、ゾロが特にお気に入りのキャラだった。まぁ、ロビンは別格だ。


「「「うわああああ見つかったァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」」」


 子供たちは一様に逃げだした。俺がゆっくりと舟から降りてくる間にウソップもこちらに下りてきて、俺たち四人を見据えて口上を述べる。にしても鼻長いな〜〜〜〜!! 三次元でコレを見る日がくるとは思わなかった!!

 コイツの親はピノ〇オなのか? いや、ヤソップだったな。そうすると祖父以前が……



〜Side ウソップ〜



 やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ、やべぇ……やべぇ!!!!!

 マジでやべぇ!!! 今、おれの前にはあの懸賞金1500万ベリー”道化のバギー”の一味の船員が四人いる。小型船一隻に船員四人と聞いてやってきたんだが、女と麦わら帽子はともかくこの男二人はやべぇ!!! なんかオーラみたいなのが視える気がするし、後から降りてきた銀髪はやけにニヤニヤしながらおれを見てやがる。なんか特に鼻を見てる、いや凝視してる。

 ……はっ!? まさかコイツ『新種発見!!! 鼻長族か? 売ればいい値がつきそうだぜ!!』みたいなことを考えているんじゃ? マズイ!! ここはやはり得意のハッタリで切り抜けるしかねェ!!!


「おれはこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ!!! 人び「嘘でしょ」ゲッ!! バレた!!?」

「そんなことはどうでもいいから。わたし達は略奪しに来たんじゃないのよ。取り敢えず食事が出来るところに案内してくれるかしら?」


 オレンジ髪の女がおれの嘘口上を途中で見破った!!!! この女もやはり警戒しておくべきだったのか。おのれ策士め!!! 幸い村を襲いにきたわけでは無いようだし素直に案内でもするか……待てよ? あの女、即座に俺の嘘を見破ったって事は、俺の上を行く嘘吐きのプロ!!! 嘘の伝道者で”唯一絶対究極嘘吐き神”に違いねェ!!!

 危うく騙されるところだったぜ!! よし、このまま森の中に設置してある、ウソップ海賊団の究極の落とし穴に落としてやろう。


「な〜んだ!! それならそうと早く言えよ! よし、俺がこの村一番の飯屋に案内してやるよ!!」

「はっはっはっはっはっは、おっまえ面白ェなーーーー!! 一人で何個の顔ができんだ??」


 麦わら帽子の男が、俺が悩んでいる間の百面相に爆笑していた。この”ホコリのウソップ”としてはコケにされてムカつく限りだが、甘んじて受け入れてやろう。

 振り返り、『ついてきな』と声をかけようとしたその時、銀髪が不意に俺の鼻を掴んだ。


「やっぱ面白い鼻だな!! 君は鼻長族かい?」


 やっぱりぃ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!


 …………俺は恐怖のあまり意識を手放した。
 
 
 


〜おまけ〜



「おい!!! どうしたんだ!!!?」

「おっもしれェ〜!!! いきなり泡吹いて倒れたぞ!!!」

「タクミ…………コイツ失禁してるぞ」

「村一番の飯屋はどうなるのよ?」


「…………どうしてこうなった」



〜Fin〜
 
 
 

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