小説『百獣の王』
作者:羽毛蛇()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 
 
 
”VS ジャブラ”



〜Side サンジ〜



「……はっ!!!? おれは何でこんな所で倒れてんだ!!? 何故かびしょ濡れだし」


 冷たい床の上で目覚めたおれは、何故かびしょ濡れで、体の節々が痛み、しかも記憶が曖昧だった。

 おれの身に何が起こったのかを思い出そうとしていると、リトルガーデンで感じたみてェな、肉食動物特有の気配を、背後から感じた。

 ……いや、リトルガーデンのトカゲの比じゃねェな。凶暴性を内に秘めて、表に出さねェようにしてる狡猾なハンターって感じの気配。

 ガキの頃からこういう感覚には敏感な方だったが、コレは命の危機が迫るくれェのレベル……振り返るのが怖ェが、そうも言ってられねェ。

 おれ達はロビンちゃんの手錠の鍵を探さなきゃいけねェんだし、CP9のペットだかなんだか知らねェが、こんなんがうろついてるような場所でナミさんを一人にしておくわけにはいかねェからな。


「…………ってタクミか!!? 何でココにいんだよ? しかもライオン状態で」


 恐る恐る振り向いた先には、完全にライオンの姿になったタクミが”伏せ”の体勢を取っていやがった……紛らわしいヤツめ!! ビビッて損したじゃねェか!!


「ん? あぁ、起きたのかサンジ。俺はさっきからこの格好だし、お前とも話をしたハズなんだが……ビビの技で脳味噌シェイクされて記憶が飛んだのか? 流石の完全記憶能力も、物理的な記憶消去には耐えられなかったか」

「なるほどビビちゃんの技に巻き込まれたのか。どうりでびしょ濡れなわけだ」

「巻き込まれたんじゃなくて、アンタはビビに助けられたのよ。かなり豪快にね」


 突然聞こえてきた声は、我が麗しの女神のモノだったんだが、何処から聞こえたのか分からなかった。

 よくよく気配を探れば、存在感があり過ぎるタクミの傍に、女神はいた。


「あ!! ナ〜ミすわぁ〜ん!!! 探したんだよ〜!! いきなり撒くなんて酷いじゃないかァ!!……ついでにタクミ、早急にナミさんから離れろ!! この色ボケ二股クソネコ野朗が!! ロビンちゃんに言いつけるぞ!!」


 おれとナミさんを遮断するかのごとく、おれ等の間に伏せているタクミの横腹の辺りに、ナミさんはもたれ掛かっていて、ウソップ特製のインク内蔵式羽ペンで手帳に何かを書き込んでいた。

 きっとこのクソネコが『ココで書いた方が楽だぞ。コッチに来いよ』とか言って、言葉巧みに呼び寄せたに決まってる!!! ロビンちゃんがいないからって、今のうちにナミさんまで手篭めにするつもりなんだな? そうなんだな? よしオロそう!! 直ぐにオロそう!! 今オロそう!!!


「『色ボケ二股クソネコ野朗』って……お前は俺の事をそんな風に思って」

「おらァ!!! クラァ!!! 死ねェ!!!……避けんなよ!!! あと何か言え!!!」


 タクミが人の姿に戻って立ち上がり、僅かにナミさんから離れたタイミングを見計らって、おれは怒涛の蹴りの嵐を浴びせたんだが、いくら動きを先読みしようとしても、タクミはそれを無表情でかわし続けてやがる。


「いい加減にしなさいよ。タクミをソファー代わりにしたのはわたしなんだから」

「何だって!!? ナミさん自らこの獣に身を寄せたって言うのかよ!!?……それならそうと早く言えばイイだろうが」


 相変わらずの無表情で上の階を眺めているタクミは、おれの事を見ようともしない。

 まぁ、どちらにせよコイツがそんな言い訳をした所で、おれが素直に信じたかは疑問だけどな。


「タクミ? ビビなら大丈夫だって言ったのはタクミでしょ? 心配だったら直接見に行けば?」

「いや、見に行かなくても意識を集中すれば大体の状況は分かるんだが……コレはどういう事だ?」


 さっきから無言なタクミを不審に思ったナミさんが、背の高いタクミを見上げながら質問した内容から察するに、ビビちゃんが上の階で戦っていて、それを送り出したのがタクミみてェだが……


「『見ないでも大体分かる』って何だよ? お前もおれみてェに気配に敏感なのか? それとも占いの一種か?」

「…………「だから何か言えって!!!!」…………」

「タクミ? わたしも気になるから出来ればサンジ君の質問に答えて欲しいんだけど」


 おれが話しかけても反応すらしなかったタクミは、ナミさんの言葉を聞いて、ようやく視線を戻した。


「あぁ、何かこの塔に入ってカクを探そうと思った時から、妙に人の気配を感じやすくなってるんだ。この力は占いじゃなくて……もしかしたらって心当たりはあるんだが、まだ確信が持てない状況だからうまく説明出来ない。悪いな」

「そっか。でも、何でサンジ君が聞いた時に直ぐに答えてくれなかったのよ。隠すような事でもないでしょ?」

「そうだ!!! 人の事をいねェみたいに扱いやがって!!!」


 おれの声が今度は聞こえたみてェで、タクミは一瞬、本当に一瞬だけおれに視線を向けると、隣にいるナミさんに声を掛けた。


「あー、ナミ。存在感が無さ過ぎて何処にいるか分からないから、お前からサンジに伝えておいてくれないか? 『俺は今後、お前を完全に無視する事に決めた』って」

「てめェふざけんなコラ!!!」

「それはいくらなんでも酷いんじゃないかしら?」


「ほら!! ナミさんだってこう言ってくれてるじゃねェか!!! お前がそういう態度とるってんならな!!! オールブルーを見つけても、海洋調査手伝ってやんねェからな!!!」

「……まぁ、怒るのも無理ないわよね。伝えておくわ……ってサンジ君は? さっきまでそこに居たハズなのに「ナ!!? ナミさん!!!?」まぁイイわ。見かけたら伝えておくわね」


 ナミさんまでおれを無視してる……どうしてこうなった。やっぱナミさんもタクミ派なのか!!?

 ゾロが前に言ってたな『ウチの船員の大半はタクミ教の信者』だって。おれは断じて違うが、タクミに修行をつけてもらおうかと決心した矢先に無視されるのは勘弁してもらいてェ……謝るか……言い過ぎた気もするし。


「……悪かった。狭い船内で無視は流石にキツイから、勘弁してくれ。おれは料理人としてお前の夢をサポートするって決めてんだ。こんなつまんねェ事で仲違いしたくはねェんだよ」

「……(ちょっとタクミ!!! 悪ノリしたわたしが言うのもアレだけど、流石に不憫よ!!! 何か言いなさいよ!!!)」


 おれの精一杯の謝罪すら無視しようとするタクミを、ナミさんが小声で注意すると、タクミはようやく口を開いたんだが、ナミさんの方を向いている。


「サンジに追加で伝言を伝えてくれ。『おれのロビンへの気持ちを否定し続けるお前にいい加減ムカついていて、話を聞こうともしないで放ってきたさっきの蹴りで、ついに我慢の限界がきているんだが……ジャブラって狼人間から、「鉄塊拳法」の使い方を聞き出して、ついでにボコボコにして鍵まで奪ってこれたら、謝罪くらいは聞いてやる』ってな」


 そう言ってタクミは、また視線を上の階へと戻した。

 そうか、『二股』ってとこが禁句だったみてェだな。言われなくてもコイツがロビンちゃんに一途なのはとっくに気づいてる。

 ナミさんに向ける優しげな眼差しが、兄妹のソレに近いって事も分かってるんだが……

 自分の気持ちにケジメをつけるみてェに、突然タクミの事を『お兄ちゃん』なんて呼び始めたナミさんが、おれには未だにタクミに惹かれてるように見えちまって、どうしてもコイツを心から認める事が出来なかったんだ。


「……わかった。伝えとく」


 そう言ってナミさんはおれの方を見て、『早く行きなさいよ』と目で伝えてくる。

 そんなナミさんが俺には、さっきのタクミの”ロビンちゃん以外は眼中に無い”発言を聞いて少しショックを受けているように見えた。

 それでもナミさんは、これからもタクミの事を『お兄ちゃん』って呼びながら傍にいるんだろうな。

 ……ふざけるのはもう止めよう。”全ての女性に優しく”このスタンスをコレからも変えるつもりはねェけど、おれの一番はナミさんだ。

 例え適当にあしらわれ続けても、コレからはこの気持ちがちゃんと伝わるように行動しよう。

 ……そういやタクミもそんな感じだな。ビビちゃんにはちょっとキツめだけど、アレは弟子だからだろうし……基本的に女に優しいけど、ロビンちゃんを明確に差別化して一番として扱ってる。

 おれに出来ていないそんな事を、当たり前のようにやっているタクミに、おれは憧れて……嫉妬してたのかもな。


「終わったみたいだ。ビビがコッチに戻ってくる」

「ホントに? 随分と静かだったけど、仮にもサンジ君を倒した相手よ?」


 おれを倒した相手!!? ビビちゃんはそんなヤツと戦ってたのかよ!!!?……待てよ? その相手に自信を持ってビビちゃんを当てたって事は、それってタクミがビビちゃんをおれより上だと評価してるって事だよな。

 ……当たり前か。おれがビビちゃんに勝てるわけねェよな。


「鍵は無事にGETしたわ!! コレで罰ゲームは無しよね!!!」

「それは元から冗談だったしイイんだが、どうやって戦わないで鍵を手に入れた? 俺が占いで知ったカリファって構成員は、天然だがプライドの高いヤツで、臆して敵に鍵を渡すとは思えないんだけどな」


 鍵を守るハズのCP9と戦わなかった? その様子を感じ取っていたから、コイツはあんな怪訝な顔をしてたのか。

 タクミから質問されたビビちゃんは、どう答えたらイイのか迷ってるみてェだ。


「んー、何か優しい人だったわ。ロビンさんを助けてあげてって鍵を譲ってくれたの」

「は? サンジ君の事は蝋人形にしたのに?」


 蝋人形!!? いったいおれは、どんな世紀末野朗と戦ってたんだよ!!!?


「時間稼ぎだって言ってたわ。戦ったっていう体裁はとっておかないとマズかったんじゃない? ロビンさんを助ける策を用意してたけど、本人に断られたから、後はよろしくって事らしいわ」

「時間稼ぎで蝋人形にされたなんて、ちょっとかわいそうね」


 ビビちゃんの説明でナミさんは納得したみてェだけど、おれには疑問が残る内容だ。それはタクミも同じみてェで、一人で考え込んじまってる。

 何か言おうかと思ったけど、今のおれが話しかけたって無視されるのがオチだし、さっさとジャブラってヤツを倒しに行くか。

 おれは三人に声は掛けずに、その場を後にしようと思ったんだが、思いがけず強い力で肩を掴まれて、歩みを止められた。


「何だよ。まだちゃんとした謝罪も聞いてもらってねェぞ?」


 振り返らなくてもタクミだとわかる大きな手を肩に感じながら、おれはそのまま話しかけた。返事が返ってくる事は期待してねェ。


「……嫌な予感がするんだ。お前は行くな。ジャブラとは俺が戦う」


 !!!?……コイツの嫌な予感ってのは死の宣告に近い。どうやらジャブラってヤツはとんでもねェ相手みてェだな。

 正直怖ェが、このまま何もしねェのは、タクミにも、ロビンちゃんにも申し訳ねェ。何より、ココで引いちまったら、おれは一生コイツと対等でいられなくなる気がするんだ。

 肩に置かれていた手を強引に振り払って、呟くように、誓いを立てるように声を発した。


「……コレは、おれのケジメだ」


 おれはそのまま歩き出す。タクミはもう止めなかった。何故か普段以上に研ぎ澄まされてる感覚に頼って、俺はジャブラってヤツの居場所を探ってみた。

 特に強そうなヤツの気配は……さっきビビちゃんが出てきた部屋と……三階だな。

 とりあえず三階に当たりをつけた俺は、螺旋階段に足を掛けた。その瞬間、


「サンジ!!! 絶対に死ぬなよ!!! 今度はお前に貸してやる!!!」


 タクミの声と一緒に、一枚のカードが投げられてきた。どうでもイイけど、なんでこんなペラペラのカードが真っ直ぐにこの距離を飛んでくるんだよ……本当にどうでもイイな。

『今度はお前に』って事はウソップが空島で借りてたカードか。”ラッキーセブン”戦車のカードだって言ってたが……コレをどう見たら戦車に見えるんだ?

 確かに”?”って書かれちゃいるが、天蓋付きの石製の何かの中に半身の男が居て、その前には二匹のスフィンクスが描かれている……考えても分からんな。

 魔術師の使う道具はそれと知られないようなつくりになってるらしいが、ここまで意味不明なモノだとは思わなかった。


「死なねェよ」


 タクミに渡されたカードを内ポケットに入れると、おれはそれだけ言って階段を昇り始めた。



〜Side ジャブラ〜



 おれは今、昨日フラれた給仕のギャサリンに呼び出されて、裁判所裏まで来ている。

『たとえフラれても、おれはお前を好きでい続ける!! それくらいは許してくれ!!』……昨日はそう言ってその場から逃げ出したけど、まさか、それが迷惑だってワザワザ言う為に呼び出したんじゃねェだろうな……

 ギャサリンはそんなコじゃねェ!!! あのおさげ、あの唇、そして何よりあの頬骨!!! ギャサリンの容姿を褒めればキリがねェが、彼女の真の美しさはその内面にこそ現れている。

 ギャサリンは……そんな酷ェ事は言わねェよな。

 任務から戻ったおれに、いつも『お帰り』と言ってくれるギャサリンが好きだ。鍛錬の後に食堂に行くと、頼んでねェのに大盛りにしてくれるギャサリンが好きだ。おれの髪型を見て、『お団子みたいで美味しそう』って涎を垂らしていたギャサリンが好きだ。『ルッチさんはいつ帰ってくるのかしら?』って、おれに会えばいつも心配そうに聞いてきてた、そんな優しいギャサリンが好きだ。


「おれはギャサリンが大好きなんだァァアアア!!!!!」

「そ、そんなに大きな声で叫ばなくても、昨日聞いたから知ってるわよ」


 !!!? 気づけばおれの前にはいつの間にかギャサリンが立っていた。考え事をしながら歩いてるうちに、目的地に着いてたみてェだな。


「おれは何度だって言えるんだ!! この想いを伝えるにはこんな声じゃ足りない!!! ノドが張り裂けるほど叫んだって、お前への愛は伝えきれないくらいに大きいんだ!!」

「……気持ちは嬉しいんだけど、恥ずかしいからヤメてちょうだい」


 やっぱりそうなのか!!? おれの気持ち自体が迷惑なのか!!?


「今日ココにアナタを呼び出したのは、どうしても伝えたい事があったからなの」

「な、何だ?」


 俯きながら話すギャサリンの様子におれの不安は膨れ上がっていく。もうダメだ!!! この場から逃げ出してしまいたい!!!


「……昨日は、フクロウさんが覗いてるのが見えてて……恥ずかしかったからアナタの告白を断ってしまったの!!! 本当にごめんなさい!!!」

「へ?」


 何だと!!!? じゃあおれがフラれたのはフクロウのせいって事か!!!?

 あの野朗フザけやがって!!! 今すぐボコボコに……って……ちょっと待て!!!!!


「って事は!!!? おれの告白を受け入れてくれるのか!!!?」

「えぇ、わたしもアナタが好きよ、ジャブラ」


 うォォォォオオオオオオオ!!!!! 来た!!! 来たぞ!!! コレからはおれの時代だァァアアア!!!!

 取りあえず、おれの昨日一日を灰色にしやがったフクロウをどつき回して……ってそんな事はどうでもイイな。

 おれはジャブラ、世界一の美女ギャサリンを彼女にした男だ。一生彼女が出来そうに無いあんなボールみてェな体型の男には、勝者の余裕を持って接してやらねばならん。

 フッ、持てる男はツライな。『戦場で生きる男は、女を悲しませる事しか出来ない』って長官は言ってたが、おれはギャサリンを幸せにしてみせる!!!

 道力なんかで勝っていても、おれは他では何一つ長官に勝てる気がしなかった。長官の持論を覆してギャサリンと幸せを掴んだ時、おれは初めて長官を超える事が出来るハズだ!!!


「ギャサリン!!! 式には長官以外のCP9の連中も呼んだ方がイイか!!? おれは出来ればルッチの野朗だけは呼びたくねェんだが」

「気が早いわよ♪……でも、式は二人だけがイイわ」


 気が早いと言っておきながら、ギャサリンは結婚式への要望を出してきた。ヤバイ、嬉しすぎて泣きそうだ。


「ギャサリンがそうしたいなら、おれはそれで……いや、おれもそれがイイけど、何で二人がイイんだ?」

「……だって……皆の前でキスするなんて……わたし……恥ずかしくて死んじゃうわよ」


 ………………ギャ…………


「ギャサリーーーーーン!!!!」


 あまりに可愛すぎるギャサリンを前に、我慢の限界が来たおれは、フライングキスを決行する事にした。

 近づく二人の唇……その距離がゼロになりそうな瞬間……



==============================



「”一級挽き肉(プルミエール・アッシ)”!!!!」

「ぬごぼべばらだげっちゃ!!!!?……」


 何だ今のは!!!? 身体中が骨まで焼け焦げたみてェに熱い!!!! 意識が飛びそうな攻撃だったぞ!!!?


「呆れた野朗だな。まだ意識があんのかよ……ってヤベェ!!! 「鉄塊拳法」とかいう技の使い方を聞きだせって言われてたんだった!!! おい!!! 確りしろ!!! まだ死ぬな!!! おれの質問に答えやがれ!!!」


「鉄塊拳法」の使い方?? そんなもん全身に「鉄塊」をかけて根性で動くだけだが、何でそんな事をコイツが……そうか、麦わらの一味には、銀獅子とかいう「六式」使いがいるとか言ってたな。

 別に教えたところでルッチすら出来なかったおれの奥義を、ソイツが使えるとは思えねェし、教えてやってもイイんだが……どうやら声が出せないみてェだ……咽頭を潰されたのか。

 それにしても、いったい何処から攻撃してきたっていうんだ??? ギャサリンに夢中で気配に気づかないとは…………ん??

 ギャサリンは何処だ??? どうしておれは自分の部屋にいるんだ????

 おれは確かに待ち合わせ場所に行って…………まさか!!!!?


「ゆ゛え゛ぇ゛ぇ゛!!!!?」


 夢!!!? 夢オチだってのか!!!?


「ココまで追い込んだ状況だってのに『言えねェ』ってのか……」


 うるせェ!!! 黙ってろ金髪!!! てことは何だァ??? ギャサリンに呼び出されたとこから全部夢って事かよ!!!?


「こりゃ拷問されたって言いそうにねェな……仕方ねェか。タクミには謝るとして……倒した証拠として鍵だけは貰っていくぜ。言っとくけど、戦場で寝てたお前が悪いんだからな? 別に恨んで貰ってもかまわねェけど、コレからはTPOを弁えるんだな……じゃあな」


 金髪の男はおれが置いていた鍵を拾い上げると、さっさと部屋から出て行った。


 ……もう、何もかもどうでもイイ……生まれ変わったらナマコになりたい。


 薄れていく意識の中で、おれは微笑むギャサリンを見た気がした。


 
 
 
〜おまけ〜



「はぁ……ルッチさん。海賊が攻めて来てるらしいけど、大丈夫なのかしら?……ジャブラに告白された噂が広まって、荒れてしまったわたしの心の隙間を埋めてくれるのは、ルッチさんだけ。それにしてもジャブラのヤツ、ルッチさんの話を聞く為にちょっと優しくしてやったら勘違いしちゃって、ホント迷惑!!! 今日は急がしいからムリだろうけど、明日はルッチさんに会えるかしら? グフフッ、楽しみね♪」



〜Fin〜
 
 
 


=================================================


後書き


 どうも、作者の羽毛蛇です。

『百獣の王』これにて移転完了です。次話はある程度の下書きがあるので、今日中に更新すると思いますが、それ以降は、最低三日に一回という本来の更新ペースに戻します。
 
 
 

-121-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ワンピース DXフィギュア〜THE GRANDLINE LADY〜SPECIAL★しらほし姫
新品 \1800
中古 \1600
(参考価格:\)