小説『百獣の王』
作者:羽毛蛇()

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”殺される覚悟”



〜Side タクミ〜



 ダメだ!! 届かない!! 俺なんかが原作に介入したせいで主要キャラクターが死ぬ。そう思ったとき、ウソップの背後からナミが跳び出して来た。

 ナミは華麗な棍術で敵を圧倒!! このレベルなら問題無いだろうと感じた俺は、「月歩」で崖の上に行き様子を伺うことにした。重たい身体に苦労しながら崖の上に到着。どう考えても「生命帰還」なしの人獣形態は使い勝手が悪い気がする。

 一息入れて、俺は崖の下を見て一瞬固まった。


「どれどれ……なぁっ!!?」


 ナミ強いな!? 想像以上だ!! 一人ひとりを一撃で的確に気絶させるなんて!! でも、最後の一人を柄の部分で突いたときの『ズドンッッ!!!!』っという音はちょっと……『ズドンッッ!!!!』って……あの船員死んだんじゃないか?

 ナミの扱ってる武器はよくみると柄の部分が若干太くなっているタイプようだ、力がなくてもアレならうまく使えば相手を昏倒させられるし、何より捌きやすい。でも、原作では只の棒じゃなかったか?

 負傷したウソップに肩なんか貸してるし、男前だな。ナミの勇士も堪能した事だし、「紙絵武身」に戻って二人と合流するか。


「驚いたよ!! ナミ強かったんだな。ウソップも勇ましく戦ったみたいだしやるじゃないか。それはそうとアタマだいじょうぶか?」

「タクミ無事だったのね……まぁ、当然か」

「ていうかさっきのアレは何だァ!! お前メチャクチャだよ!!! みとれて不意打ちくらっちまったじゃねェか!! あと『アタマ大丈夫?』って言うなァ!!! なんか馬鹿にされてる気がしたぞ!」


 ナミは俺を見て安堵の表情を浮かべたけど、心配してくれたのか? まぁ、大部分はお宝の心配だろうな……ちょっと悲しくなったから、ウソップでもイジッて和もう。


「それだけ元気にツッこめるなら大丈夫だ、どうだ? うちの一味にツッこみ担当で入らないか? ルフィには俺から推薦しとくぞ?」

「ふっ!! ツッこみ兼キャプテンってことだろ? まあ、入ってやってもいいぜ!!!……ってアホかァ!!! どこの世界にツッこみの腕を買われて船に乗る海賊がいるんだよ!!!!」


 ウソップはノリノリだ。否定がツッこみになってる。でも、エニエスロビー編辺りまで、ルフィもウソップの事を”ツッこみ”だと思ってた気がするけどな。


「おぉ!! ノリツッこみも出来るんだな!! ハイスペックでお買い得だな!!」

「えぇえぇ、ついでにパチンコが得意で狙撃手も兼任、さらには手先も器用。コチラのウソップが今なら何と19800ベリー……ってさすな!!!!」


 やっぱウソップおもしろいな。『19800ベリー』のイントネーションが完全に某通販王だった。


「ウソップ、もう止めときなさい。きっとタクミは際限なくボケ倒すつもりだから。そんなテンションでツッこみ続けたら、出血多量で死ぬわよ……貴方死ぬわよ!!!!」

「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!! 俺は死ぬのかァ〜〜〜〜〜〜〜!!!!?」


 一見心配しているようで、その実ナミまでからかい始めた。死亡予告する姿が、某星占術士に見えた……哀れウソップ。


「ナミ!!! てめェ!!! よくも 俺を足蹴にしやがったな!!!!」

「タクミ!!! ウソップ!!! 北ってどっちかちゃんと言っとけェ!!!」


 やっぱりゾロはナミの足場にされたのか。ルフィはもしかしたらナミと一緒にくるかもって期待してたんだけど、やっぱルフィもファンタジスタだったんだな。


「遅かったな、二人でどっか遊びにでも行ってたのか? ナミと一緒に来るように言ったと思うんだが?」

「そいつがおれをあ「まぁいいじゃない、わたしたち三人でほぼ壊滅させちゃってるし」・・おぃ聞けェ!! てめ「タクミ、状況を説明してあげたら?」……もうイイ」


 ゾロはナミに被せられて諦めたみたいだけど、ルフィがあれ以上言い訳しないな。明確な指示が出てたのに暴走した自覚があるのか? まあいい。


「じゃあ説明する、二人が来るまでの間に俺が船長に特攻をかけて成功。船長はどっかに飛んでいってクルーも十人くらいは無力化した。その間の坂道の死守をウソップに任せてウソップが負傷、ナミが助太刀にはいって六人……正確には五人か、一人はウソップがほぼ追い詰めてたし、まぁとにかく六人無力化に成功。で、今に至るってわけだ。敵残存勢力は大体船の前でほうけてる十人くらいだな」

「無力化って、頭が無くなってんのはありゃ何があったんだ?」


 ゾロの口調は問い詰めるって感じじゃない。そのまま答えても問題なさそうだ。


「死角から攻撃されたからな。掴める所を全力で掴んだらああなった。まぁ、もとから加減はしていないが」

「以外だな。無闇に生態系を荒らすなって言ってるから、敵も殺さねェように闘うタイプだと思ってたぜ」


 ココだ!! ここでそれっぽい説教をかませば、ゾロの前で今後の実験に加減はいらないはず。


「??? 可笑しなこというんだな?? 俺は海賊はみんな”殺される覚悟”のあるヤツ等だと思ってたんだが違うのか? 俺は命をかけて叶えたい夢があるからこの船に乗ったんだ。だからどこで死ぬことになっても構わない。まぁ、全力で抗いはするけどな。海賊はみんな理由は違えど信念を持って船に乗ってる。そんな相手に加減をするのは失礼だ。だから俺は戦うのなら全力で戦うことに躊躇なんかしない。それが”殺す覚悟”だ。自分のために、そして仲間のためにな」

「「……そうか」」


 あれ? 何かルフィ達も一緒に聴いてたみたいだ、手間が省けて助かった。皆がこちらに視線を向けてくるので取り敢えず微笑んでおく。

 ……ていうか敵さんも? 何か呆けてた顔に喝が入ったみたいだけど……


 …………あれ?
 
 
 

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